21. きっと忘れない
《ネタバレ》 見たのが20代前半だったので、夢も希望もまだあった頃。十分に感動し、いい作品だと思った。若者たちはやや没個性ながら、ペシの演技は流石に見せる。ラスト肩を抱き合って泣く輪に私も入りたかった。 若い頃に見ておいてよかったと思う。今見ると、若干のあざとさが目について仕方なかっただろうから。何と言うか、出来のいい加工食品を食べているような感じがする作品というべきか。こういうの作れば受けるんだよという製作側の意志が透けて見えるというか。 夢も希望も忘れ去り、すっかりひねくれてしまったようだ。私もこんなホームレスに諭されたい、が、多分真面目に話を聞こうとはしないだろう。 いずれにしろ、若い頃に見るべき作品で、それを逃したらもう見なくてもいいような気がする。 [ビデオ(字幕)] 6点(2014-04-06 22:10:16) |
22. ゴジラ(1984)
《ネタバレ》 恐らく人生において、映画館で見た二作目の映画。ちなみに一作目は「ロッキー3」だったような気がする…小学校低学年だったように思うが… それはともかくとして、当時すでにゴジラは一種のヒーローものだという刷り込みがなされている小学生にとって、この内容は酷であった。なかなかゴジラは出てこないし、どう見てもヒーロー扱いじゃないし、お兄さんとお姉さんが色々と小難しい話をしているし。というわけで当時は面白くなかった。 これではいかんということで、大人になってからきちんとビデオで見直した。が、当時とは違う意味であまり面白くなかったと言わざるを得ない。ストーリーに無理があるのはある程度仕方ないとしても、その展開が遅すぎてゴジラ以外の見せ場が乏しく、全然緊迫感がなかったように感じた。 そして肝心のゴジラだが、そのものの造形は悪くないと思うが、都市破壊シーンの活気の無さは致命的である。私には撮影の専門的知識はないが、角度なのか特殊効果なのかシーン切り替えなのか音楽なのか、とにかく寂しい都市をゴジラが控え目にうろついているようにしか見えなかった。 ただ、内容的には厳しい評価になってしまうが、それまでのゴジラ歴史をリセットし、軌道修正を図ろうとした意義は小さくない。アンギラスと会話していたゴジラよりはよほど魅力的である。 [映画館(邦画)] 6点(2014-04-06 21:49:46) |
23. 素晴らしき哉、人生!(1946)
《ネタバレ》 だめだ、私は腐っている。 世評の高さと、すでに感動的なあらすじ等(パッケージに書いてあること)を見て、私はこうしたハートウォーミングな作品を見て励みにして明日から強く歩いてゆくのだ!と誓って鑑賞したが、全然乗れない。 要するに私は勝手に想像していたのだ。お金も家族も職も生き甲斐もないような人が、すごく苦労しているんだけれども、生来の優しさから他人に親切ばかりして、損ばかりして、時に騙されたりして、いよいよ追い込まれたときに天使が現れ、自分が存在しなかった場合の世界を見て、戻ってくると自分が無意識に助けてきた人たちが逆に自分に手を差し伸べてくれて…みたいな。こりゃ泣ける。さあ泣こう、と思っていたのだ。 そしたら、主人公は幸せそのものの家族に包まれ、それなりに経済力もあり、ルックスも良く(映画ですので)、問題ないでしょあなた、という気にさせられた。確かにトラブルに陥るけれども、金銭貸与業はもともと生き馬の目を抜くような世界だし、家族の励みを受けて歯を食いしばって頑張れよ、と。天使さんもこの人のところへ行くくらいなら他に行くところたくさんあるでしょ、と。 確かにラストにはカタルシスを感じるが、映画の盛り上がりに私一人置き去りにされているような気がして、だめだ、私は腐っている、と思いつつエンドマークを眺めたのであった。 [DVD(字幕)] 5点(2014-09-13 21:39:15)(良:2票) |
24. 麒麟の翼~劇場版・新参者~
《ネタバレ》 先に原作を読んでしまっていたので、内容的には特に驚きはない。スムーズなミステリものだが、映像や演出とかは豪華なドラマレベルといったところ。 何故このタイトルなのか?タイトルに込められた意味とは?という面ではどうにも弱すぎる。それは映画ではなく原作の問題なのだが、東野圭吾担当の敏腕編集者が麒麟像を見つけてきて、次作はこれで行きましょうと薦め、作者が乗ったのではないかと勝手に思っている。 それに加えて好きになれないのは、どうにも二人の人物に対しての温かな描き方が気に障るからである。 まず八島。単にその辺に落ちている鞄を拾い逃げたならまだ同情の余地もある。しかし逆恨みの対象とはいえ、自分が知っている人物が非常事態に陥っているのを知りながらその人の鞄を奪い逃げるのは蛮行としか言いようがない。仕事がない、子どもが出来た、そんなもん言い訳になるか。などと怒りを禁じえない。こんな奴のどこに惚れたんだこの彼女は…というのは関係ない。 次、青柳悠人。後輩に対する過失致傷の重さもさることながら、その後輩がどこで何してるかを気にも留めずに平穏に生き、そしてその後輩の姿と母の静かなる怒りを知りながら侘びを入れるでもなく匿名でネット上で罪の意識を軽減させる…そりゃ父親も怒るわ。ちょっと格好いいからっていい気になっているんじゃないか…というのは関係ない。 補足すると、この二人がやらかしたことは人の弱さに起因するものであり、私も当事者になったら同じことをするかもしれない。ただ、それをあたかも悲劇のヒーローであるかのように描かれているのが気に入らないと言っているのである。 で、ここでお願いだが、出来ればミもフタもない続編を作ってほしい。 真実を知った吉永母のマグマのような怒りは正視できるか。微笑から静かに放たれる罵声の数々。私立中学を襲った大スキャンダル。糸川先生に全て押し付ける校長の隠蔽工作。吉永母の代理人となった敏腕弁護士の猛攻撃。青柳家、父の祈りも虚しく一家崩壊。青柳妹、「殺人犯の妹」のレッテルを貼られ再度のリストカット。天空に向けて炎を吐く麒麟像。既に舞台は法廷と家庭に移り、事件は完結しているため手が出せない加賀。その加賀に必要以上に接近してくる看護師・金森との禁断の恋…タイトル「麒麟の復讐」。ま、間違いなく製作されないだろうな。売れないし。 [DVD(邦画)] 5点(2014-07-19 21:17:06) |
25. ナイル殺人事件(1978)
《ネタバレ》 前半、ピラミッドの上に颯爽と現れるミア・ファローを見て、お前は戦隊ヒーローかと突っ込んでしまうのであった。 それは置いておいて、やけに長い前ふりを終えてようやく豪華客船での不可思議な連続殺人になだれこむ。豪華客船といっても、頑張れば私にも乗れそうなレベルの客船だったが、容疑者が多すぎては作りにくいのでまあこんなもんだろうと思った。 肝であるそこからの展開と謎解きは、良くも悪くも皮肉にも、古き良きミステリ映画というところか。見たのが比較的最近なので、こうした時代の作品を参考にした後発作品をすでに見ている以上、話の無理と古さが目につくのは仕方のないことかも知れない。上映時に見ていれば、エジプトの風景に圧倒され、それに引きずられて内容も楽しめたかもと感じた。俳優陣も豪華だし。 それにしても、早くから事件の渦中ど真ん中に居ながら連続殺人を全く防げず、何ら有効な手も打てず、犯人に翻弄された揚句その自殺も許すポワロのどこが名探偵なんだろうかと罰当たりな印象を抱いたのも否定できない。「名探偵が最初から居れば連続殺人にはならない」というのはミステリでよく言われることだが、ここは映画の盛り上がりと興行のことをポワロが計算して、わざと泳がせたのだと(それで死者が増えることの倫理的是非は棚に上げて)思いたい。 [DVD(字幕)] 5点(2014-04-07 23:59:43) |
26. ミッドナイトイーグル
《ネタバレ》 一見し、誰もがいろいろな映画を想起するだろう。ホワイトアウトとクリフハンガーとダイハードとアルマゲドンを足して20で割ったような作品という感じだった。こうした謀略もの(ですよね?)は、ある程度無理のあるストーリーになってしまうのは仕方ないんだけれども、それに整合性をつける努力をした形跡も、勢いで押し切ろうとした情熱も見当たらない。多分撮りたくて撮った映画ではないのだろう。 ラスト「ナパーム弾使ってください」のところが泣き所なんだろうけど、そこで思わず失笑してしまったところで個人的にはおしまい。突如として今の日本国の問題(のようなもの)を立て板に水で喋る竹内結子の内心やいかに。撮影そのものは大変だったと思われるのでご苦労様でした。 [映画館(邦画)] 3点(2014-05-05 16:37:06) |