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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別 男性

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501.  GOEMON 《ネタバレ》 
キリヤについては好印象をもっており、今回も「よく頑張ったな」とは思ったが、お世辞にも「面白かった」とは素直に思えなかった。キリヤワールドを堪能することができてよかったとは思うが、「CASSHERN」ほどの衝撃は感じられない。 “万人向けのエンターテイメント作品”と“メッセージ性ある作品”との両立を目指そうと努力したが、監督の狙い通りには仕上がらなかったというところか。 歴史の改造については、むしろ好意的に感じる。ここまで思い切って脚色を加えることができるのは流石であり、原作や歴史の改造という部分にかけては才能を感じる。 CGアクションについては、かなりの粗さ、安っぽさ、ムチャクチャさがあるが、予算の制約等を考えれば、精緻なものを求めるのは酷な話である。むしろその粗さを利用して、大胆に仕上げており、なかなかの才能を感じる。 メッセージ性に関しては、前作に近い反戦的なものを描きこんでいる。あまり深くは考えなかったが、「争いのない平和な世の中を望むのならば、無関心でいるべきではない」ということだろうか。徳川家康に最後に斬り込んでいった姿からは、そのように感じられた。あれが、GOEMONの戦いであり、運命であり、責務だったのだろう。 豊臣秀吉に関しては、奥田が好演しており、尽きることのない欲求に飢える人間の浅ましさが感じられるようになっているが、“秀吉”以外の無駄に多数登場するキャラクターのほとんどを活かし切れてはいないのが勿体ない。 特に“佐助”がもったいなかったという印象が強い。監督の狙いは痛いほど理解できる。“効果”を相当に発揮できるキャラクターになるはずだったが、完全に空回りしてしまっている。“佐助”の描き方がパーフェクトに仕上がれば、本作のデキも変わっただろう。 本作においては、織田信長を理想化し、秀吉を邪悪化している。戦争を好む秀吉の姿は“争いのない平和”との対比と捉えることはできるが、信長の“理想”があまり見えてこなかった。信長が目指した“平和な世界”をもうちょっと描きこめば、信長と秀吉がいい対比関係になり、観客も理解しやすかったのではないか。 長所も短所もあり、ジャッジしにくい作品であるが、やはりキリヤという映画監督は今の日本においては貴重な存在だ。美的センスには優れており、チャレンジスピリットやパッションにも溢れている。次回作も期待したいところだ。
[映画館(邦画)] 6点(2009-06-06 13:12:58)(良:1票)
502.  デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~ 《ネタバレ》 
全貌が終盤まで明らかにならないため、先が読めなく、ストーリーに集中せざるを得ない。中盤まではテンポよく、軽妙な作品に仕上がっており、ストーリーのスジだけ追っていれば、しっかりしたオチもあるので、それなりに楽しめるサスペンスになっている。しかし、脚本家として有名なトニー・ギルロイは、監督としては、やや才能のなさを露呈したところがある。既存の映画のアイディアを借用しながら、健闘しているようにはみえるが、ラストでのすっきりしない種明かしは、観客にモヤモヤ感を与える。肝心のジュリアとクライヴの関係ばかりではなく、黒幕の仕掛けた罠の描き方が物足りない。「空になった工場」「偽の天才科学者」などの描き方が上手くないので、ダマされたというよりも、拍子抜けに近い気持ちになる。 時間軸のズラし方も、「ドバイ→NY→ローマ→NY→あと1回どこか→NY」程度に留めておけばよいものの、調子に乗って、何度も何度も繰り返せば、観客はイライラしてくると思わないのだろうか。 回数を減らせばプラス効果があったのに、かえってマイナス効果が大きくなった。 また、肝心のジュリアとクライヴのエモーショナルな関係が描ききれていないことが最大の欠点になっている。このミッションに必要なのは、“信頼”と“愛”ということをもっとアピールした方がよいのではないか。どちらかが裏切れば、簡単に大金を独り占めできるようなシチュエーションにしないとこの手の作品は盛り上がらない。 “信頼”と“猜疑心”の狭間で二人がもっと揺れないと観客はノレない。 脚本家としては、それらをしっかりと描いていたように思えるが、監督としては、抽象的な部分を画面に描けなかったように思える。 ラストでは「女が男を待っているシーン」があったが、これも違うような気がした。 あのシーンは「女が男を待っている」のではなくて、「男が女を待たない」と意味がない。裏切ったと見せかけたのは女であり、一見裏切られたと思われるのは男である。「男が誰かを待っており、諦めて帰ろうかという瞬間に女が現れる」ようなシーンを描いて欲しかったところである。そのときになって、女が裏切ったのはフェイクだと観客は気付くだろう。女が待っているシーンを描いた瞬間に、あれはフェイクだと分かってしまう。こういうシーン一つだけでも、トニー・ギルロイとはやや相性が悪いと感じてしまうところだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-05-16 11:31:59)(良:1票)
503.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
原作未読。ザック・スナイダー監督作だけのことはあり、ビジュアルには文句がない。 練りに練られた映画であり、デキ自体は素晴らしいが、原作未読者にはあまりにも情報量が多すぎる上に、あまりにもストーリーがぶっ飛びすぎていて、付いていくのが精一杯だ。ストーリーは一本の線に収束されるように作られており、捨てる部分がないという気持ちは“理解”できるが、あまりにも詰め込め過ぎではないか。オジマンディアスの行動に“理解”はできるが、“賛同”もできないのと同じように、本作の作りには“賛同”はできない。ヒーローモノに必要不可欠な純粋な悪役が不在のため、軸の不安定さがあり、映画を面白くさせておらず、飽きる観客も増えるのではないか。 ただ、面白い点もいくつか見受けられる。 「ヒーローの限界」「この世の中はジョーク」「理解できない行動を起こすという人間の奇跡」というのは面白い部分だ。 ヒーローは火事から住民を救ったり、ギャング達をなぶり殺しにはできるが、世界を核戦争から救うことはできるのかという命題に対して、皮肉的ともいえる答えを提示している点は面白い。ヒーローの限界を知っていたコメディアンに世界地図を燃やされた際のオジマンディアスの目がとても印象的だった。 ヒーローの新たな一面や、善と悪との表裏一体性は確かに感じられるおり、この部分は評価すべきか。 また、「西部劇役者が大統領選に出馬する」ように、この世界は確かにジョークなのかもしれない。ロールシャッハのようなジョークが効かない人間にとっては、生きづらい世の中になったということだろうか。キーン条例制定により、ヒーロー活動を禁止されても、引退せずに地道に活動を続けてきた彼だからこそ、現実を受け入れることはできなかったのだろう。彼のような生き方が否定されるべきではないことは本作を通して描かれていると思われる。 さらに、人間は滅亡すべき存在なのか、救われるべき存在なのかという点にも触れられている気もした。 計算上では理解できない人間の本質や、人間という存在の奇跡的な面が描かれているが、こうした哲学的なテーマに飛んだりするので、本作を理解することが難しくなっているともいえる。 これらために、本作はまさに見る者によって、形が異なるロールシャッハといえる作品に仕上がっている。
[映画館(字幕)] 6点(2009-04-19 22:36:20)(良:3票)
504.  7つの贈り物 《ネタバレ》 
結論を抜きにすれば、全体的にはそれほど悪くはない映画とは思う。(賞を取りたいという)関係者の熱意やマジメさは十分に伝わってくるレベルの高い仕上がりにはなっている。 問題は、ベンの選択に対して賛同や共感ができるかどうかだろうか。批判を承知で映画を作っているとは思うが、「他人の人生を不幸にした者には、ああいう形でしか救いがない」というオチでよいのかどうかは疑問に思う。もし、そういう人が本作を観たとすると、どういう気持ちになるだろうかと考えてしまう。 映画というものは、観た者に対して、希望や夢を与えてくれるものではないか。 確かに、ベンのような気持ちになり、誰かを救いたいという気持ちは分かる。 彼のプランも十分に理解はできるが、エミリーとの出会いにより、ベンの心に何らかの変化が生まれて欲しかったところだ。 自分を犠牲にして誰かを生かすよりも、“償い”の方法には別のものもあるはずだと。 エミリーと接することで、人を救う方法には様々な形があるということを。 病気に苦しむ誰かの人生を助けようとして、助けようとしている誰かに逆に助けられていると気付く。そういうものが人生ではないのだろうか。 ベンの閉ざされた心を、死に迎えつつある病人のエミリーならば開くことはできたはずだ。仮に、エミリーが死ぬことになっても、エミリーはベンを助けることができれば、人生の意義を見出せたのではないか。ベンは愛する人を含めて多くの人を救い、助かる見込みのない愛する者を救いたいという想いを成就させたものの、彼の人生はある意味では絶望のままで終わってしまうこととなる。 どんなに酷いことをした者であっても、人生は続いていくものではないか・・・。 親友がいて、弟がいて、愛する者がいながら、一人で背負った苦しみから、誰も彼を救うことができなかったことが、何か寂しさを感じる。 気になったのは、交通事故を起こした者が考えることは「自分を犠牲にして誰かを助ける」ということよりも「もう二度とクルマには乗らない」ということではないか。 暴れたら事故が起きそうな大型犬をクルマに乗せることが、果たして事故を起こした者のやることだろうか。 映画自体はマジメには作られているが、こういったことも含めて根本的な部分で本作には相容れないところがあるので、やや評価を下げたい。 それにしても、序盤のアップの多さはなんとかならないものか。
[映画館(字幕)] 6点(2009-02-21 23:08:28)(良:1票)
505.  マンマ・ミーア! 《ネタバレ》 
ABBAについてはよくは知らなかったが、「どこかで耳にしたことがある、この曲ってABBAの曲だったんだ!」という驚きが大きかった。 それにしても、30年前のグループの曲なのに、音楽が生き続けて、歌い続けられるということは“奇跡”と思わざるを得ない。 年月を経てもまったく色褪せないのは、音楽くらいではないだろうか。 歌のチカラはやっぱり凄いと実感させられる。 はっきりいって「歌がそれほど上手くない」「ストーリーがメチャクチャ」「恐ろしいほどにダサい」とは思ったが、“それがどうした?”というような映画だった。 “楽しくて、ハッピーならばそれでいいじゃないか!”というノリで押し切られてしまった。 いい意味での“適当さ”や“ダサさ”がABBAの曲やギリシャの陽気さにマッチングしている。 ミュージカルは完璧さが追求される世界かもしれないが、完璧なダンスや、メチャクチャ上手い歌を聴かされたら、本作においては逆効果になるかもしれない。 また、ストーリーと世界観とのバランスが難しく、「二兎を追うもの一兎も得ず」ということになるくらいならば、「ハッピーになれる」という長所を確実に狙ってきたのだろう。 奥深さは全くないが、狙い自体は成功したといえるのではないか。 上映終了後、劇場で鑑賞していた女性たちは皆楽しそうな表情をしていた。 ただ、ストーリーにケチを付けるのは野暮だが、映画としては、あまり高くは評価できない仕上がりにはなっている。 ドナとソフィの親子愛、女の友情、ある意味では敗者であるドナの悲哀、若いソフィが狭い島から抜け出して、世界に羽ばたくといったことなども、きっちりとは歌い込まれているが、あまり高いレベルの深さはなかった。 すべてをきっちりと高いレベルにしろとは言わないが、何かひとつ“ドナとソフィの親子愛”辺りは感動できるようなレベルにまで、きっちりと描いて欲しかったところだ。
[映画館(字幕)] 6点(2009-02-11 22:47:39)(良:1票)
506.  ザ・ムーン 《ネタバレ》 
映像は豊富であるものの、「月面旅行」を体感できるような類の映画ではなく、基本的にはコリンズ(アポロ11号に乗ったのに月面を歩けなかった人)を中心とした宇宙飛行士たちが語るエピソードがメインの眠くなる類のドキュメンタリーだ。 しかし、この手の分野には興味のあるものの知識がなかっただけに、“人類の進歩や挑戦”の苦労や興奮を体感できたり、「冷戦」を背景とした当時の“宇宙開発計画”の時代の裏側を知れたりと、非常に興味深い時間を過ごすことができ、いい勉強にはなった。 神秘的な映像を見られると思った人には、おっさん達のつまらない話としか感じないが、関心のある人には優良ドキュメンタリーとなるだろう。 本作を見ることで、ニール・アームストロングの『That's one small step for a man, one giant leap for mankind』(これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である)という有名なセリフの深さや重さを味わうことができた。 このセリフには感動させられる。 先人たちの無謀ともいえるチャレンジスピリッツがあるからこそ、現在の豊かな暮らしに繋がっているとも感じられるとともに、人類や人間には不可能はないということも感じられる。 そして、“月”を描くということは、間接的には“地球”を描くということにも繋がっているとも感じられた。 本作の裏のテーマは“地球”であるのは間違いないだろう。 奇跡の惑星である“地球”の美しさは見事としかいいようがない。 “月”から“地球”を眺めてみれば、“地球”を汚染したり、ちっぽけなことで争いをしている人類の愚かさを改めて実感させられる。 “地球”の奇跡を享受することを当然のことのように考えるのは、間違っているとも感じさせられる。 確かに、眠くなるドキュメンタリーかもしれないが、本作を見ることで、人類や地球について何かを感じ取れることができるのではないだろうか。
[映画館(字幕)] 6点(2009-02-07 23:30:28)(良:1票)
507.  ウォーリー 《ネタバレ》 
決して「つまらない」とは思わないが、「どこか物足りない」と感じたのも正直な感想だ。 ピクサー作品のうち、「Mr.インクレディブル」や「カーズ」を非常に高く評価しているが、あれらの作品で得られた満足感のようなものが得られなかった。 甘いケーキを「美味しい」と食べる人がいる一方、甘いものなど食べられない辛いものが好きという人がいるように、これは“相性”の問題なのかもしれない。 子どもをメインターゲットにしているアニメ作品を「甘すぎる」と批判するのはナンセンスすぎるが、自分にはどうにも甘すぎた。 自分がアニメ作品を楽しめる純粋さを失ってしまったのだろうが、「環境破壊」でも「人間の過ち」でも「人類のツケ」でもよいが、ピリリと辛い“展開”が欲しかった。 「人間もロボットもみんなハッピーになりました」「地球は元のとおり自然を取り戻しました(砂嵐の解決はあったか?)」メデダシメデタシというだけで果たしてよかったのかなあという気持ちが残った。 自然を破壊しくしたのは人間のはずなのに、一部のロボットが悪者となって、自然を消滅させようというのもどことなく違和感がある展開だ。 そういう教訓めいたことは抜きにして、ウォーリーとイヴの二人を楽しめばよいのだが、この二人の関係についても上手くはハマれなかった。 ウォーリーの“孤独”のようなものを上手く感じ取ることができなかったからだろう。 ゴキブリの友達がいて、仕事があり、趣味が豊富なウォーリーからは“孤独”よりも“生き生き”とした感情すら伝わってくる。 ユニークなキャラクターにしすぎるあまりに、ほんの少し方向性を間違えてしまったのではないか。 また、イヴという友達を得たあとの“幸福感”、植物を回収してイヴが活動を停止してしまった“喪失感”のようなものも描かれているものの、ウォーリーの心のうちを感じ取れるほどではなかった。 やはり、CGキャラクターの限界のようなものがあるのか。 ウォーリーの心のうちを感じ取る前に、ストーリーがどんどんどんどんテンポよく進みすぎてしまったために、上手く感じ取れないという問題もあったか。 中盤以降は、わくわくする様な展開ではなくて、好みではないドタバタした展開も目立ち、やっぱり“相性”が悪かったという想いが強い。 ただ、映像は圧巻の一言。 特に、ウォーリーとイヴの宇宙空間での二人のダンスは素晴らしかった。
[映画館(字幕)] 6点(2009-01-12 23:13:15)
508.  トロピック・サンダー/史上最低の作戦 《ネタバレ》 
ニヤニヤとはできるが、自分も含めて観客の中で大笑いしていた者はいなかった。 コメディ映画にも関わらず劇場が静まり返っていたのは印象的だ。 本作はストレートで分かりやすい笑いで構成されているのではなくて、基本的にはマニアックな笑いで構成されている。 パロディの元ネタが分からなければ、そもそも笑えなく、ハリウッド風刺に対しても、その知識がなければ、笑えない。 日本人には合わないような笑いがメインではないか。 瞬殺された監督の死体をいたぶるシーンなどは、むしろ分かりやすい方であり、日本人にも理解できる笑いだ。 本作に描かれた“笑い”がアメリカ人の笑いのツボだとすれば、アメリカと日本はユーモアの質はかなり異なるといえるだろう。 しかし、ベン・スティラーはアメリカ的な笑いとも異なる“笑い”を描こうとしたように個人的には思う。 単純な笑いを追求するのではなくて、コメディ映画という枠を取っ払って、リミッター限界の際どい世界をベン・スティラーは描こうとしたのではないか。 ベン・スティラーの世界観に対して、理解も共感もできないが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではなかった。 マジメなプロ選手の試合ばかり見ていると飽きてくるものだ。 こういうプロ選手による暴投や乱闘だらけの見たことのないメチャクチャな試合を見るのも面白い。アマチュア選手による暴投や乱闘だらけのメチャクチャな試合ではない点がポイントだ。 プロフェッショナルがどこまでバカになり切れるのか、どこまで限界まで到達できるかを競っていたように思われた。 トム・クルーズの存在が本作にとっては大いなるプラスに作用している。 ベンやロバートの暴走をトムがなんとか引き締めているようにも感じられた。 本作に描かれた例えを引用すると、ベン・スティラーやロバート・ダウニーJr.は「アイ・アム・サム」のショーン・ペンであり、トム・クルーズは「フォレスト・ガンプ」のトム・ハンクスであるような気がした。 ベンのように本物のバカになりきるのではなくて、本物のバカを演じているのはトムだ。 トムがベンとは異なるタッチで演じたために、本作のマニアックさがやや和らいだような気がする。 ベンやロバートの暴走に対して、ジャック・ブラックの影が薄かったのも印象的だ。 スローモーションでケツを痛がるシーン以外に見所なし。 彼にも付いていけない世界だったのかもしれない。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-26 21:41:25)(良:1票)
509.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
本作は「三国志演義」の映画化ではなくて、まさにジョン・ウーによる「レッドクリフ」という三国志とは別物の作品に仕上がっているような気がした。 三国志演義を重視する人向けよりも、“ゲーム”を好む層や“三国志”を知らない人をターゲットにしたのかもしれないという作りとなっている。 序盤の「長坂の戦い」は非常に面白いと感じられた。三国志演義の「長坂橋」の張飛のエピソードがなかったものの、基本的には三国志演義の流れを汲んでいる。 息つく間もない怒涛の戦いの後につづく、各エピソードも素晴らしく、繊細な仕上がりとなっている点は気に入った。 「水牛のエピソード」で周喩の人格の高さや呉軍の結束の強さを描き、「馬の出産+琴の競演」で周喩と諸葛亮の言葉を交わさない会話や友情・ライバル関係を描き、「虎ハンティング」で孫権が迷いを断ち切り、会戦を決心するという姿を描いている。 “戦い”とは直接関係のないエピソードを使って、実に上手く“裏”を描いている点が素晴らしい。 「これはひょっとして傑作になるのでは・・・」という想いが強くなっていった。 しかし、八卦の陣の戦い辺りから、ジョン・ウーらしい悪ふざけが発揮されていくことになるとは思いもよらなかった。 見る人によっては面白い戦いだったと思うが、知っている人には突っ込みどころ満載の戦いとなった。「三国志演義」通りに描くことが“正解”とは思わないが、これは“悪い裏切り”としか思えなかった。 内容を思いっきりイジった割には、ハトを飼って、ハトを飛ばすだけの諸葛亮には不満。名軍師の采配や知略の影を薄くさせた真意が図りかねる。 また、緊張感や緊迫感が劉備・孫権連合軍に欠けるというのもいかがなものか。 先勝したものの、相手は80万の大軍であり、勝つ見込みがないほど追い詰められているはずである。むこうはサッカーをやって緊張感を欠いているのはいい描き方だが、戦いが終わった後、「荊州」の地をどうするかなどと言っている場合ではない。 さらに、終盤では多少触れていたが、基本的には劉備と孫権は仲間ではなく、“志”を異にする敵同士でもある。曹操という強敵を前にして一時的には手を結んだものの、仲良しクラブではなく、すぐにでも同盟を破棄してもいいというほど絆は薄いものだ。 この辺りの微妙な関係を重視せず、アクション重視となってしまったのは個人的には残念に感じた。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-01 23:40:54)
510.  センター・オブ・ジ・アース(ブレンダン・フレイザー主演) 《ネタバレ》 
TOHOシネマズ六本木で鑑賞。 3Dメガネ初体験だったので、予想外にゴツいメガメを渡されて、まずビックリさせられた。 肝心の3Dに関しては、ちょうど真ん中の席に座ったので、飛び出し具合は悪くない程度。 期待を裏切るほどではなかったが、体が自然と反応するような迫力ある仕上りというほどではなかった。 3Dの場合には、もうちょっと前方の席に座った方がいいのかもしれない。 こんなストーリーもない映画でもそれなりに楽しむことができるのが、3D映画の特徴だろうか。 技術の進歩には驚かされる。子どもが見れば、相当に楽しめる映画ではないか。 近い将来、アクション・ホラー・アニメ映画は3D映画が主流になるかもしれないと予感させられる。 しかし、もうちょっとストーリーを面白くする工夫はなかったものか(面白くさせるために、苦し紛れに携帯を鳴らすのは・・・)。 基本的には、「○○が出てきました」「××に襲われました」「△△に乗りました」「□□という状態になりました」という現象やイベントを単に映像化したにすぎない。 映画としては、非常にレベルが低い内容にはなっている。 アトラクションとして評価したものの、映画として評価した場合はもっと点数は低くてもよさそうだ。 子役と父親との関係や、それぞれが離れ離れになったりというイベントも単なる状態にすぎず、感情に訴えるような努力をほとんどしていないのはマイナスだった。 また、3Dの弊害は、字幕ではなくて吹き替えに見ざるを得ないという点になる。 ブレンダン・フレイザーを吹き替えた沢村自身は嫌いではない。 沢村だと知らずに見たが、吹き替えは抑揚がなくイマイチな印象。 子役の吹き替えはあまり印象には残っていないが、合格点とはいえず普通以下か。 ヒロインを吹き替えた矢口は、矢口だと知らずに見たが、それほど違和感はなかったという印象だった。 矢口自体は悪くはなかったが、実際のヒロインが個人的には好きではないタイプだったので、少々ガッカリした。 3人の登場人物と一緒に旅をするというシステムなので、肝心のヒロインにハマれないと少々ノメり込み具合が浅くなる。 ブレンダンと子役自体は特に問題はなかったように思われる。 この手のストーリーのない映画には、ブレンダンのような大味な役者は似合う。 彼の起用は正解だろう。
[映画館(吹替)] 6点(2008-11-01 23:33:42)
511.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
本作は「ハリウッド超大作」を自分たちでセルフリメイクするという内容になっているが、セルフリメイクした作品をしっかりと流してくれるわけではない(インターネットでは鑑賞できるらしい)。 セルフリメイクしたパロディ作品で観客を笑わせるという趣旨の映画ではないので、“爆笑”できると期待すると、肩透かしを食らいそうだ。 セルフリメイクした作品同様に、本作の中身もかなり粗い内容になっている。 “粗い脚本”“粗い演技”“粗い設定”という短所があるものの、本作を見ているとそんなことはどうでもよくなってくる。 本当に大切なものは、“完璧なディテール”や“完全なリアリティ”などではなく、“映画への愛情”ということを気づかせてくれる味わい深い映画に仕上がっている。 町の人々が参加して自由な発想やアイディアで映画を製作していく様や、完成した作品を皆で笑い合って楽しむ様を見ていると、“映画の原点への回帰”“古きよき時代を懐かしむような想い”を込めているのが分かる。 CGなどの技術に溺れたハリウッド大作に警鐘を鳴らしているかのようだ。 数多くの作品がリメイクされたが、リメイクされる作品に関するチョイスも何かしらの意味があるのかもしれないと感じた。 「ラッシュアワー2」は見たことはないのでなんとも言えないが、「ゴーストバスターズ」「ロボコップ」といった80年代の作品が映画にとってのターニングポイントということなのだろう。 見ていないので分からないが、ワイヤーやCGを用いない最後のアクション作品が「ラッシュアワー2」という趣旨なのだろうか。 そういえば、いつのまにか本作に描かれるような町の個性的なレンタルショップはなくなってしまい、画一的なビジネス優先の大手レンタルチェーンに取って代わってしまった。 現在のレンタル事業は、インターネットで予約してDVDが配達される形態も目立ってきている。 我々は確かに利便を得ているのかもしれないが、その代わりに何か大切なココロを失ってしまっているのかもしれない。 映画を通しての人々の触れ合いのようなものが無くなっているとしみじみと感じられた。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-01 23:31:49)
512.  イーグル・アイ 《ネタバレ》 
ストーリーに関してはリアリティゼロのトンデモ映画だが、リアリティを醸し出そうとしていない点によって救われている。 変にリアリティを出そうとすると、必ずボロが出るものだが、映画そのものが思い切りアクセルを踏み込んで突っ走っているため、もはや突っ込みようがない。 「どんなもんじゃい!」と高いテンションでここまでやってくれると、「はい、そうですか」とこっちは従わざるを得なくなる。 「アメリカ国家による監視・盗聴」「プライバシーの危機」といったテーマにはあまり触れずに、“アクション”に特化した戦略は功を奏したと思われる。 そのため、中身は薄っぺらい映画だが、個人的にはそれほど嫌いではなかった。 一言突っ込むとすれば、「あんな高度なシステムがあれば、テロリストなんて倒すのは簡単じゃないのか?」くらいか。 ラストのハリウッド的ハッピーエンドも怒りというよりも、呆気に取られてしまった。 「国家のために自分の身を挺する」なんて意外と立派なオチをつけるじゃないかと感心していたら、「おいおい・・・そんな訳ねえだろ!」というまさかの展開になってしまった。 「国家のために戦った若者は殺さない」というところがアメリカらしさを感じる。 この部分に関しても、もはや突っ込むのは野暮というものか。 製作総指揮のスピルバーグは何から何までハリウッドらしい娯楽映画という仕上りを目指したのかもしれない。 アクションのレベルや迫力、リアリティ度は高いので、何も考えずに頭を空にして見れば、鑑賞時間分はハリウッド大作映画をお腹いっぱい堪能できると思う。 まさにハリウッドアクション映画のお手本といっていい映画だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-10-20 23:20:54)(良:3票)
513.  イキガミ 《ネタバレ》 
原作未読。1ページも読んだことはない。 ほとんど飽きずに見ることはできたので、つまらない映画ではないと思う。 決してつまらなくはないが、それほど面白いとも感じられなかった。 ユニークな設定でありながら、使い古されたような「仲間割れしたミュージシャン」「引きこもりの少年と国会議員の母」「角膜手術が必要な盲目の少女と兄」という三本のエピソードを感動的に描くことが果たして正解だったのかが疑問に思っている。 単なる感動作をぶち込んで逃げてしまっている感もあり、少々浅く感じてしまった。 単なる感動作ならば、あえて見る必要もなかったかなというのが正直な感想。 各エピソードも「こういう設定はいつかどこかで見たことがある」と感じるものばかりであり、それほど大したことはないと思う。 「仲間割れしたミュージシャン」については歌が持つパワーの前に圧倒されたが、エピソード自体は大したことはなく、残り二本は正直中途半端だ。 この三本のエピソードが有機的に結びついて、いい効果をもたらすという作用があれば評価できたと思う。 各エピソードは以下のようなものだっただろうか。 ①「仲間割れしたミュージシャン」→「消えようとする生命の灯火を自分の夢と共に燃や上がらせた若者の姿を見る」→「有意義に最後を迎えさせる何かが自分にも出来るのではないか?と考える」 ②「引きこもりの少年と国会議員の母」→「あと1時間生きられたのに」→「自分の役割を考え直す」 ③「角膜手術が必要な盲目の少女と兄」→「自分ができる可能な範囲のことを遂行する」 これらの流れを考えると、藤本(松田)の心情の変化が感じ取れるので全く有機的に作用していないわけではないが、どこか釈然とはしないものとなっており、あまり上手さは感じられない。 個人的に良かったと思うのが、松田翔太の演技。 感情を表には出さないものの、内面に複雑な思いや疑念を抱き続けながらも職務を全うしようとする演技はなかなか渋さがあった。主役ながら出番が少なすぎて影が薄かったが、役作りを念入りに行った跡が感じられる。 国家に一人で反逆して転覆させるようなムチャクチャな内容ではなくて、国家の体制に対して悩める姿をリアルに描いた点は評価したいが、各感動エピソードが逆に本作の趣旨をどこか曇らせていることにもならないか。 結局、何が言いたかったのがピンとこない人もいるのではないか。
[映画館(邦画)] 6点(2008-10-02 23:24:41)
514.  アイアンマン 《ネタバレ》 
かなり期待をしていたが、意外と平凡で物足りなかったのが正直な感想。 自分の体調が悪かったのか、集中力が途切れたのか、期待があまりにも高すぎのかが分からないが、それほど楽しむことはできなかった。 ロバート・ダウニーJr.のヒーローらしからぬヒーロー像、美しく緻密なデザイン・フォルム、スーツを流れるように身に纏う描き方、掌からの光線をぶっ放すシーンなど、確かにカッコいいと感じられるシーンは随所に見られたが、既存のアメコミヒーローモノに比べて、それほど評価すべきポイントが見当たらなかった。 ユーモアかつクールな仕上がりともなっているが、この点においても“好み”というわけではなかった。 スタン・リー作品の「インクレディブル・ハルク」が全く面白いと感じなかったこともあり、この手のアメコミヒーローモノはそれほど“好み”ではないかもしれない。 ラストの“アイアンモンガー”とのバトル以外の見所は、ほとんど予告編で嫌というほど見てしまったためか、目新しさがほとんど感じられなかったのも面白いと感じられなかった原因かもしれない。 また、トニー・スタークの内面の部分があまり深く描かれているとは思えなかった(ヒーローの苦悩があれば、良い作品というわけではないが)。 序盤の能天気なプレイボーイ武器商人の姿から、拉致られて武器根絶という決意を固める姿への変化がそれほど著しいわけでもなく、決意を固めた後に自分の信念を貫き一人孤独に戦う姿が描かれているわけでもない。 何度も命を救われたペッパーとの関係や絆についても、深そうでそれほど深くは描かれていない部分もあると感じた。 完全には恋愛関係にならない微妙な関係というのは面白いが、その微妙な関係の描き方に物足りなさを覚える。 「失いたくないからもう仕事を手伝わない」といった趣旨のセリフはあったが、表には出せない信頼感や愛情をもっと伝えて欲しかったところだ。 ラストのバトルについても見応え十分というわけでもなく、意外とあっさりとしたものとなっている。外見的にはボロボロになっているものの、追い込まれているようで大して追い込まれているという状況でもなく、ハラハラ感など微塵も感じなかった。 ボロボロになっても立ち上がり続けるという感傷的なラストではなく、アメコミらしい大味なラストだったと思う。
[映画館(字幕)] 6点(2008-09-29 22:08:19)
515.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 《ネタバレ》 
あまり期待していなかったせいか、それほどつまらないとは感じなかった。 むしろ、イエティやドラゴンが登場するなど、盛りだくさんの内容となっており、飽きずに楽しむことができる。 レイチェル・ワイズが降板してしまい、ジェット・リーの出番も少なく、ストーリーもご都合主義万歳であり、練りに練られた脚本とは言いがたいが、万人が楽しめる作品に仕上げようとしている。 「どうやってこのピンチを脱出するのか」というドキドキ感がなく、先が全く読めない作品でもないので、傑作とは言いがたいが、気軽に楽しむ映画としては落第点ではないと思う。 また、詳細には書かないが、「ハムナプトラ」の「3」の作りや構造は、基本的に「2」と変わりがない。 はっきり言って、エジプトから中国へ舞台が変わっただけのほとんど焼きなおしに近いものであり、このシリーズが好きな人には楽しむことができるようにという製作陣の意図が感じられる。 オコーネル夫妻のキスシーンを見た息子の反応や、カバンに入れられた大量の武器を親子で競い合うシーンなどは、このシリーズを観た者には特に楽しめるだろう。 既存のシリーズと大きくズレることなく、期待を大きく裏切らなかったので、続編としては悪くないものとなったのではないか。 少なくとも「インディ・ジョーンズ」や「ナショナル・トレジャー」の続編に比べれば、あまり文句のないものに仕上がっている。 さらに、中途半端であり、深くはないが、素直になれない父子関係、息子を心配する母子関係、夫婦関係、恋愛関係、三角関係などの定番の基本的なネタは盛り込まれており、努力の成果は見られる。 肝心のオチはつまらないものだったが、オチのつまらなさは予想通りなので、全く驚きもしなかった。 観ている途中から、これは大したオチにはならないと思っていたので、あの程度でも「まあ、こんなところか」と納得できた。 素晴らしいオチを付けてくれると期待すると、裏切られた感が強くなるかもしれない。 気になるのは、ハリウッドの若手俳優の層の薄さだ。 もし、オコーネルの息子に華があるスターをキャスティングできれば、彼の息子が活躍する新シリーズを展開させることもできただろう。 ルーク・フォードは特別悪くはなく、落第点というわけでもないが、個性を発揮できたとはいえず合格とはいいがたい働きだった。 少なくとも、彼を主役にすることはできないだろう。
[映画館(字幕)] 6点(2008-09-02 03:16:19)
516.  ハンコック 《ネタバレ》 
深みは全くないが、十分楽しめる内容になっている。気合を入れて観るというよりも、夏の暑いときにボケッとしなかがら眺めるには最適ではないか。そういう製作趣旨の映画と感じられた。 シャーリーズ・セロンにも鑑賞前は全く分からなかったサプライズがあったのも大きな裏切りとなっており、前半と後半で雰囲気がやや異なる点も面白い作り。 前半は「嫌われヒーロー・ハンコックの更生とヒーローとして認められるまで」を描き、後半は「スミスとセロンの関係」を中心に彼らの正体や秘密が描かれており、前半と後半で二度美味しい映画となっている。 ただ、面白いのも事実だが、物足りないのも事実。 意外と簡単に更生してしまうハンコックなど、軽さと重さのバランスの取り方がこれで適していたかどうか判断するのは難しい。 あまり重くすると一般性を欠き、これ以上軽くすると非難を浴びる。 一般的に好まれる作品を目指せば、この程度で妥当だったかもしれない。 個人的には、もうちょっとスミスとセロンの関係を重めに描いて欲しかったところだ。 彼らの関係というのは、軽くはないと思われる。 互いに引き合いながら、近くにいればいるほど自分達の能力が無力化していき、かつ敵を引き寄せるという設定はメチャクチャでもあるが、面白い設定でもある。 スミスのカラダに刻まれた傷の深さだけでも、彼らの長年に亘る関係は奥深いと分かる。 彼らが愛し合えば愛し合うほど、スミスたちの体が傷ついていくので、彼らが別れと出会いを繰り返しているということが分かる。 それだけ二人の愛情も深いはずだ。 セロンは今の旦那とも上手くいっており、ようやく幸せをみつけたと言っていたが、今の旦那とスミスとの間で葛藤があってもいい。 セロンに葛藤なかったので、こういう葛藤が生まれようもないが、スミスにもセロンとともに暮らして、人間として生きるか、ヒーローとして生きるかという葛藤が生まれるとさらに深みが増したかもしれない。 このような葛藤の結果、セロンは今の旦那を選び、スミスはあれほど嫌われていたにも関わらずヒーローとして生きる道を選べば、もっとココロに残るストーリーになったかもしれない。 もっとも、能力がないのにスミスを庇うセロンや、セロンを救うためにフラつきながら飛び出していくスミスの姿を見れば、お互いがお互いのことを真剣に考えているのはよく分かる作りにはなっていると思う。
[映画館(字幕)] 6点(2008-08-23 23:24:11)(良:1票)
517.  スピード・レーサー 《ネタバレ》 
平日の最終回とはいえ、470人キャパの有楽町の劇場に20人ほどの観客しかいないという惨憺たる光景を目の当たりにするとは思わなかった。 観客の中には『「マッハGOGOGO」懐かしいな』と楽しそうに語っていたおじさんもいたが、自分は生まれてこのかた、元ネタを見たことは一度もなく、元ネタの情報を一切知らずに鑑賞した。 原作を知らず、ゲームもやらないのでこんなことを言っていいのか分からないが、誰も見たこともない世界・映画を構築しようという高い理想を感じられるようにはなっていると思う。 問題点はあるが、製作陣は一切妥協をせず、批判を恐れずに、真摯な姿勢で努力している跡が窺われる。 画面だけ見ていれば、それなりに楽しむことはできるだろう。 ただ、その世界観に上手くハマれず、乗り切れなかったというのが正直なところ。 やや、自分と映画の間に温度差を感じてしまった。 「この人たち、なぜ一生懸命走っているのだろうか?」「この人たち、なぜ戦っているのだろうか?」「主人公、なぜ家を出ようとしているのか?」と感じる冷めた自分が劇場にいた。 なんでもかんでも詰め込もうとして、まとまりが悪くなってしまったのが問題か。 世界観は豊かなのだから、子ども達が楽しめるようにもっと単純でも良かったのではないか。 「レースを金儲けの道具にしている悪い奴を倒す」「レースは八百長ではない」というだけでよく、株価がどうのこうのとか、ビジネスがどうしたとか、買収とか、訳の分からない、どうでもいい背景などは要らない。 余計なことを描きすぎたために、「スピードの兄が自分の身分を隠してまで本当にやりたかったこと」なども上手くは伝わってこず、「家族の繋がり」などの重要なメッセージも伝わりにくくなってしまった。 余計なストーリーだけではなく、余計なキャラクターも多いので、各キャラクターが生殺し状態に陥っている。 本作の描き方では、真田広之、RAINの扱いに合格点を出すことはできないだろう。 肝心のレーサーXですら、あの程度の出番では足りない。 「マトリックス」と同じく世界観を広げすぎたために、上手く収束させることはできなかったようであり、反省が活かされていないようだ。 優れたクリエイターではあるが、もっと単純にまとまりよく物事を伝えることができないと優れたストーリーテラーとはいえない。
[映画館(字幕)] 6点(2008-07-20 00:50:02)
518.  インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 《ネタバレ》 
再びインディ・ジョーンズと冒険を出来るのは、喜ばしいことだ。 過去のシリーズで良かったアイディアを流用している部分があり、好ましいと感じられるところもあった。 しかし、肝心の冒険の内容はあまり好ましいものではなかった。 ストーリーは分かりにくいものではないが、あまりに変な方向に大きく膨らましすぎて、付いていけない。付いていくことができないのではなく、付いていきたくないというストーリーだ。 あり得ないようなストーリーが本シリーズの特徴でもあるが、今回ばかりはちょっと間違えた方向に進んでしまったのではないか。 そういった存在をぼやかす程度ならば許せるが、ここまでモロにやられるのは困惑する。 また、キャラクターも多数登場するが、誰も使い切れていないのが問題だ。 敵役のケイト・ブランシェットは頑張っているものの、全体的に出番が少ないため、魅力や存在感が薄い。悪役としては合格点とは言い難い。彼女よりも「最後の聖戦」のエルザの方にまだ魅力があり、もっとイヤらしさを醸し出して欲しかった。 シャイア・ラブーフもロープアクションやバイク、ナイフなど頑張っているものの、こちらも存在感が少々薄すぎる。母親マリオンとインディの恋愛にヤキモチを焼く子どもっぽさは悪くないが、出番が足りない。 親が子のために、子が親のために命をかけるような展開に出来なかっただろうか。 親子愛という要素をもうちょっと工夫すれば、いい展開になった。 マリオンの同行は許せるが、マックとオクスリー教授は本当に必要なキャラクターなのかと問いたくなる。どちらにも確かに重要な役割はあるが、脚本を工夫すれば同行させる必要はない。同行させるならば、それ相応の役割を演じさせるべきだろう。 マックのとって付けたような退場のさせ方は酷すぎた。 主役であるハリソン・フォードのアクションは悪くないが、還暦近い考古学者のオヤジが殴り合いで屈強の兵士に勝つという設定よりも、歳を取ったなりにもっとアタマを使ったクレバーさやスマートさも身に付けて欲しいものだ。 アクションはもっとシャイア・ラブーフに任せてもよかったのではないか。 全体的に既視感のある演出・ストーリーであり、目新しさを感じることができない。 キャラクターも魅力ある活躍をせず、ストーリーもおかしな方向に進んでしまったため、高い評価はしにくい作品だ。
[映画館(字幕)] 6点(2008-06-15 02:54:11)(良:1票)
519.  ザ・マジックアワー 《ネタバレ》 
予想以上に十分笑える映画には仕上がっている。双方の勘違いによるシチュエーションを上手く利用したハイレベルの笑いが随所に盛り込まれており、その点は評価できる。 特に、「カット」の使い方などはハマった。 ただ、一本の映画としては高い評価をしにくいところはある。色々と詰め込みすぎたためか、“収まり”や“バランス”が悪くなったという印象をもつ。 結局、何が描きたかったのかという点が見えにくくなっているのが欠点だ。 監督が当初伝えようと思ったのは、タイトルにある通り「マジックアワー」だと思う。 昼と夜の間の一番美しい瞬間というような説明だったと思うが、その「マジックアワー」を人生にみたてたかったのではないか。役者として全く成功することなく、役者から足を洗うかどうか悩む佐藤浩市に対して、“きっと「マジックアワー」は来るものだ”と教えるのが本作の趣旨と思われる。 佐藤だけではなく、誰のところにもきっと「マジックアワー」は来るはずだということを伝えるのが落としどころと思っていたが、こういう趣旨が上手く伝わりきれていないのが惜しい。「今日はダメでも明日がある」という大事なメッセージが唐突になりすぎている。 そして、肝心のオチが悪すぎる。 俳優に現実の殺し屋を演じさせるという面白いシチュエーションを思いついたものの、オチは思いつかなかったようだ。 終盤に進むにつれ、面白みを失っていくのが残念だ。 本作はボスとデラ富樫への二段階のオチが用意されているがどちらも上手く落ちていない。完全にスベったのではないか。三谷は、スベり芸という高度な芸を披露したわけではあるまい。 例えば、二つの組の抗争に佐藤浩市が絡んでいき、映画だと思い続ける佐藤浩市が抗争にピリオドを打ってもよかっただろう(もう一つの組も佐藤がデラだと思うという設定にすれば面白くなったはず)。 または、佐藤が最後の最後に現実の出来事だと気付き、自分の命を守るために、役者らしい一発逆転の策を練ってもよかった。 もしくは、妻夫木を悪役にして、騙しているつもりが、最後には騙されてしまうというものでもいい。 確かに、随所で笑える映画にはなっており、評価も悪くない点に落ち着きそうだが、笑えるだけでは物足りないと思う観客もいるだろう。何かが足りないのではないか。
[映画館(邦画)] 6点(2008-06-08 01:49:42)
520.  幻影師アイゼンハイム
この手の映画はネタが命なので、詳細なレビューは書けない。 端的に書くと、①このオチは個人的には好ましくなかった、②ストーリーは辻褄が合わず、基本的にはご都合主義満載、③イリュージョンは単なるCGにしか見えないので面白みに欠ける、④全体の雰囲気はそれほど悪くはない、というところか。  これら以外で最も気になったのは、ポール・ジアマッティ扮する警部の内面の変化だ。 キーパーソンは間違いなくポール・ジアマッティ扮する警部であり、彼の内面こそこのイリュージョンの成功のカギとなる。 胡散臭いアイゼンハイムを信用するのかどうかという問題は、ポール・ジアマッティ扮する警部の問題ばかりではなく、本作を見ている観客の問題でもある。 「ポール・ジアマッティ扮する警部の内面=本作を見ている観客の内面」といってもいいかもしれない。 この肝心のポール・ジアマッティ扮する警部へのイリュージョンが、そのまま観客へのイリュージョンに繋がるようには、上手くオチていないのがもったいない。 中盤と終盤のポール・ジアマッティ扮する警部の内面の変化がやや突飛すぎるところがあるのが少々残念だ。 ポール・ジアマッティの内面の変化にももう少し注意を向けて欲しかった。  冒頭にオチは好ましくないとは書いたが、工夫次第ではそれほど悪くはないものになりそうだ。 気になるご都合主義も細部を丹念につぶしていけば、クリアできそうな気がする。 オチで驚かせてやろうという根性を捨てて、もうちょっと全体を通して筋が通るものにすべきではなかったか。
[映画館(字幕)] 6点(2008-05-28 21:31:28)
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