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すかあふえいすさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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621.  ゴッドファーザー PART Ⅱ 《ネタバレ》 
「ゴッドファーザー」は好きなシリーズだが、特に「PARTⅡ」はもう何度見たか解らない。 人によっては「PARTⅠ」こそ最高という人もいるだろう。 だが、俺は冒頭からヴィトの悲劇で始まり、ヴィトが栄光を掴んでいく“光”とマイケルが様々なものを失っていく“闇”が交錯する「PARTⅡ」が一番好きだ。ヴィトだけでなく、マイケルの過去も映されるんだ。ヴィトの思い出と混ざりながら。 初見の者にとって、ヴィトが今後どうなるかが気になって最後まで画面に釘付けにされたのだから。 シチリア島で葬儀が行われるシーンから物語は始まる。父、兄、母親まで地元のギャングに殴りこんで失ってしまうヴィトの悲劇。この瞬間からマイケルの復讐が始まり、同時に彼を救ってくれた島の人々の優しさがヴィトに生きる力と人を助ける愛情を育む。村の名前がヴィトを守る“偽名”となって。だから彼はシチリアに戻って来たのだと思う。困っている仲間や家族を守るために覚悟を決め、彼らの代わりに引き金を引いて。 彼らが奥さんの手作りパスタを美味そうに食べるシーンは和む。どうしてこの映画はあんなにも飯を美味そうに食うのだろうか。クレメンザとソニーは若い頃(物心つく前)からつるむ仲。 前半2時間のクライマックスを飾るのは、そんなヴィト自らが暗殺に向う場面だ。 ヴィトがどん底から這い上がり仲間や家族を得る一方、現代のマイケルは後半1時間30分をかけて最盛期からまた次々に最愛の仲間や家族を失っていく。フレドとコニーの何気ない会話が、別れの挨拶になるなんてさ。 華やかなパーティーですら暗い影が差し、寝室に銃弾の雨が振り込み安心して眠る事も出来ない。 議員も机の上の大砲をマフィアのボスに向けてケンカ腰。 痩せていたアル・ネリは亡きクレメンザの代わりを果たすかのように膨れ上がる。 数多の血みどろの殺し合いの後に、以前のマイケルたちが揃って食事をする場面なんかもう何回見ても泣きそうになっちゃうよ。ソニーは元気だし、コニーにブツブツ言ったりフレドとじゃれあう姿なんて・・・それが独りで煙草を吹かし、現在のマイケルの瞳に光が失われて幕を閉じる。
[DVD(字幕)] 10点(2014-06-26 19:38:01)(良:1票)
622.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
「暗黒街の帝王レッグス・ダイヤモンド」よりも高密度で、「ヨーク軍曹」よりも出来すぎだと思うくらいの“実話”。 余りに出来すぎてて完全にギャグ映画の領域です。 人によってはその出来すぎ振りが嫌いな人もいると思う(俺だってエルビス・プレスリーの話は流石にギャグかよと)。 でも、俺は映画として本当に面白かったし、楽しかった。感傷に浸る間もなく次から次へとフォレストの半生は進んでいく。 待って、待って、待って。走って、走って、走って・・・。 政治家の背中よりも曲がった骨はいつしか逞しく伸び、「國民の創生」のように黒人への憎しみを募らせた祖父と違って、子孫のフォレストは黒人も白人も関係なく平等に、馬鹿正直に友情を結んでいった。 ババことベンジャミン・ブルーは良い奴だった。“ババ=ガンプ”は不沈だぜ。でもどんだけエビ好きなんだよ。 それに我等がダン・テイラー小隊長。 先祖代々名誉の戦死、でも本当は戦後に“生きる勇気が無かった”男だったのかも知れない。 ベトナム戦争のエピソードは好きなシーンの一つだ。いままで「M★A★S★H」の様な何処かふざけた雰囲気があると思ったら、雨のシーンの美しさ、そして音楽が鳴り止み銃声と悲鳴がこだまする戦場の恐怖。フォレストは友のために走るが、そこで運命はまたも彼に幸運と別れを授ける。 そこから時間をかけて“死ぬ勇気”から“生きる勇気”に目覚めていくテイラー。フォレストはテイラーの目の前で“足”ではなく“手”によって卓球をして見せた。「まだ腕があるじゃないですか小隊長」というフォレストなりの不器用な気持ちを感じ取っていたのかも知れない。やっぱり部下想いな男だったり、吹っ切れた後の小隊長はとにかくカッコ良かった。 何をやってもフォレストは総て上手くいく。だが、本当に心から欲しかったのはジェニーの愛。いつの間にか増えるポストのように、ジェニーに対する想いはどんどん大きくなっていった。 肝心のジェニーは、想う所があっても中々フォレストと一緒になろうとしない、いや出来なかったのかも知れない。ヒッピー、薬物、情婦・・・再会した彼女がフォレストと“歌った”のではなく“踊った”事が後を引く。彼女を待ち続ける変わりに、フォレストは走る事で彼女のいない溝を埋めようとしたのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-26 19:31:29)
623.  廿日鼠と人間(1939) 《ネタバレ》 
ルイス・マイルストンは苦手だが、この作品は中々良かった。 ジョン・フォードの傑作「怒りの葡萄」を思い出す作品だ。確かに役者の深みは本作の方が上。でも、俺はリメイクの「二十日鼠と人間」の方が好きかな。
[DVD(字幕)] 8点(2014-06-25 19:41:50)
624.  二十日鼠と人間(1992) 《ネタバレ》 
農業&ロード・ムービーの傑作。 ジョン・フォードの「怒りの葡萄」を思い出すとても厳しくて優しい映画だ。  ルイス・マイルストンの「廿日鼠と人間」も悪くないと思ったけど、俺はリメイクの方が好きかな。  いつか大きな農場を持つと語るジョージ、それを楽しげ気に聞くレニーの二人。ジョージは知恵で、レニーは力でお互いを助け合う。 レニーは発達障害という壁を持つ。その壁が二人を衝突もさせたけど、何だかんだいって二人は互いを尊重して力強く生きてきて。 ジョージはいつも進んで貧乏くじを引き、レニーを支えた。レニーの心の壁を打ち壊して、彼をもっと楽にさせたかったのかも知れない。 レニーは自分なりに生きた。ジョージの夢を叶えようと彼なりに、精一杯。純粋が故に、農業も動物も人も同じように愛した。そんなレニーの純真さが悲劇を生んでしまうとは・・・皮肉としか言えない。 レニーはジョージの支えでもあったし、足に繋がれた鎖でもあったのかも知れない。そう思うと余計に切なくなってくる。 彼の姿は、何処か「フォレスト・ガンプ」を思い出してしまうのは何故なのだろうか。  ジョン・スタインベックの小説は、夢を持つ事の大切さ、現実とどう向き合うかをいつも教えてくれる。そこに映画という視覚が我々に生きる事の大切さも教えてくれるのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-25 19:35:45)
625.  絞死刑 《ネタバレ》 
「絞死刑」・・・タイトルを聞いただけで?と思った。どうやら“くびりころす”国(ひとびと) を描いた作品らしい。 実際に起きた「小松川高校事件」をモデルにした映画。  冒頭はドキュメンタリー風のタッチで、一人の人間が死刑執行される瞬間を描いていく。この頃から死刑制度が必要なのか不必要なのかが問われていたのか。 死刑を執行する人間は、これから罪を犯した“ケジメ”として殺される人間を見届けなければならない。首に喰い込んだ麻縄の跡も・・・。 人間が完全に死ぬまでをストップウォッチで計ったり、必死に諭して、飯まで食わせるんだぜ?酷い話だ。  大昔は磔とか、首を斬られた罪人をそのまま晒し者にして民衆の前で見せたそうだが、今の世の中そんな事はしない。殺される人間にも“人権”て奴が発生するからだろうか。  ところが、そこから事態は急変する。 一度しくじった刑を“殺り直す”って発想がまず思い付かねえよ。 記憶を失えば絞首刑(縊り殺す)が出来ない。 それでこれから殺そうとする人間の記憶を取り戻させようとする様子が何処かユーモラス・・・けど、ゾッとする。 法を破り人殺しもいとわぬ者、法を守って人を殺そうとする者・・・一体どっちが正しいんだろうね。劇中の人間のように、本当に笑いながら人を殺す相談をする奴もいるだろうよ。 つうか教育部長がウザイ。 人一人殺すのに愛情だの何だのと歪んでいるとしか思えない。  もし殺される奴が日本人の“K”で、殺す側が朝鮮の“R”の人々だったら・・・差別とかそういうものが立場によってがらりとひっくり返されたら・・・そう思うと怖くてしょうがない。ステレオタイプな差別描写が、より一層そういう事を考えさせる。  更に日本の男尊女卑の問題や宗教問題にまで踏み込んでしまう大島渚の大胆さ。 映画というジャンルで戦い続けた男のメッセージが刻まれた作品の一だった。  ラストシーンで検事以外の人間が見た“女”の姿。“R”は“R”である事を受け入れる・・・。  後味は悪いが、「儀式」と共に一度は見ておきたい作品だ。 この映画が嘲笑うものは、死刑制度、そして人間そのものに対する矛盾なんだろうね。多分。  俺は「少年」や「戦場のメリークリスマス」の方が好きだが、この映画は大島渚にしか撮れない最高傑作だ。
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-24 18:06:50)
626.  スラムドッグ$ミリオネア 《ネタバレ》 
ダニー・ボイル会心の傑作。 インド映画というよりハリウッド(ボリウッド)のノリ。 ボイルの最高傑作である「トレインポスティング」や初期の「28日後...」や「普通じゃない」の頃に比べると余り鋭さは感じられないが、それでも娯楽としてかなり良く出来ている。  昔のインドを捉えた映画とこの作品の状況を見比べてみるのも面白い。 ジャン・ルノワールの「河」やサタジット・レイの「大地の歌」の時代と比べると、確かに生活は豊かになったのかも知れない。極一部は。 昔と変わらぬ貧しい生活を送る者はけして減少していない。 拡がる経済格差がよりインド社会を複雑に歪める。 犯罪に身を堕とし破滅する兄、大博打に出て大金を手に入れた弟。 兄に無かったもの、弟にあったもの。  それは「信頼」である。兄貴は誰も信じずに身を滅ぼし、弟は愛しい女性を最後まで信じた。どんなに身を落としても、人を信じられなくなれば終わりである。  ムンバイの社会背景ならミラ・ナイールの「サラームボンベイ!」もオススメ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-24 18:03:45)
627.  ルパン三世 カリオストロの城 《ネタバレ》 
冒頭からカジノを飛び出して全力で駆け抜ける障害物競走、重力法則を無視したカーチェイスの荒唐無稽な破壊力と面白さ、ポール・グリモーの「やぶにらみの暴君」を彷彿とさせる城砦の美しさや空間表現、マニアも唸る重火器の描写、銭形軍団の奮闘、スリリングな居城への潜入、負傷と復活、対決・・・こだわり抜いた王道ストーリーはやはり何度見ても面白い。  絶望に満ちたはずの奈落の底から「待ってろよ」と不敵で頼もしい横顔を見せるシーンのカッコ良さといったら!そこには「1st」シーズンの狙った獲物は絶対に奪う、殺る時は殺るという殺し屋の、プロフェッショナルの素晴らしき誇りと意地も感じられる。 泥だらけになろうが血まみれになろうがコイツは死なない。何度でも逃げ、何度でも飯を美味そうに頬張っては蘇ってくる!  そう、コイツはルパンじゃない。紛れも無い“ルパン”だ(どっちだよ)  奴(パヤオ)はとんでもない物を盗んでいきました。あなた(視聴者)の心です。 ルパンを本当にブッ殺した男、宮崎駿。 義賊になってしまったルパン、 出番が少なすぎる五右衛門、 風の谷出身の傭兵と化した峰不死子(誰てめ絵)、 イケメンすぎる銭形警部、 そして次元の作画の安定ぶりは異常。  その前に「アルバトロス」も「さらば愛しきルパン」もルパンじゃない(良い意味で)。 パヤオらしい子供の好奇心をくすぐるワクワクするエンターテインメントに作り変えてしまった。  この映画のルパンは、歳を取った一人の人間。 「1st」はシリーズのような悪党では無くなり、泥棒稼業からもそろそろ引退しようかな・・・そんな時のルパンだった。  カリオストロでクラリスに助けられて以来、何の因果か再び恩人の住む美しき城に戻ってきた。 恩人から大切な物は盗めない(もっと大事なものを盗んじまうけどな)。  それでも城にどう潜り込もうか怪しい算段を立てている時のルパンの活き活きとした表情!城の住人や警官隊に気づかれないための慎重さ、そして走り出したら止められない人間離れしたパワーを発揮する瞬間は「1st」の強靭な顎でワルサーP38をスライドさせた時に緊張を奔らせたあのルパン以外の何者でもない。 その常識を破壊するようなエネルギーは愛してしまった女のためにバズーカ抱えて喰らい付く「ラピュタ」や呪いに立ち向かう「もののけ姫」にも繋がっていく。   不二子も「捨てられたんじゃない。捨てたの。」 俺このセリフ大好きなんだがなー。不二子らしくて。  そしてあのセリフを銭形が・・・いや警部だからこそ言えるセリフ。
[DVD(邦画)] 10点(2014-06-18 20:40:31)(良:3票)
628.  幕末太陽傳 《ネタバレ》 
「昔の映画を今やったってね~」なんて考えがひっくり返される傑作はこの世に五萬とある。 というより、今は人気の絶頂でも明日には「過去の映画」と化して忘れ去られる映画も五萬とある。  その辺で行けばこの「幕末太陽傳」は確実に前者!  スピーディーなギャグの切れ味と魅力的な登場人物、何よりフランキー堺の一癖も二癖もあるキャラは時代を超えた今でも色あせない。 俳優誰一人知らねえ?裕次郎って誰?でもこのイケメンカッコイイね?面白いって?ならば良し!  ぼんやりした白黒画面が、逆に新鮮で魅力的だったりする。「イリュージョニスト」が成功したのもそんな物珍しさ+普通に内容が良かったからだろうね。  主人公の立ち振る舞いは正に命懸け! 病を背負いつつ「大金集めりゃ治療費くらい稼げるだろう」と藁にもすがる思いで騙しては敵になったり味方になったりでコツコツ稼ぎ続ける。命懸けの大博打。  コメディだからあんま締まらないけど、普通に考えればいつ殺されるかも解らない侍相手にあそこまで振る舞えた主人公の勇気。並みの度胸じゃ船に二人っきりなんてマネはできない。とにかく傑作。
[DVD(邦画)] 9点(2014-06-18 20:38:38)
629.  未完成交響楽(1933) 《ネタバレ》 
音楽伝記映画の傑作の一つ。まさかこんなに楽しく面白い映画だったとは。 実在の音楽家シューベルトが、貧しい生活の中で文字通り音楽を“楽しんで”いる様子が伝わってくる。三度の飯より音楽が好きだけど、やっぱり生きるためには食い物で腹を満たさなきゃいけない。生活のためにバイオリン?を質に入れ“金に換えざる負えない”姿は切実で胸に染みる場面だ。バイオリンを「今までありがとうな」と言わんばかりに手でなでる。それがファースト・シーンなんだから面白い。悪ガキ共もあれだけ歌が上手かったら文句は言えないね。 ヒロインとは結ばれるかと思いきや・・・あれだけ親しくなれた女性も忘れてしまうほど音楽に没頭するシューベルト。音楽馬鹿って感じが良く出ているが、やはり切ない。音楽を心から楽しみたい人、「アマデウス」のような音楽伝記ものが好きだという人にオススメな作品です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-18 19:23:26)
630.  婦系図(1942) 《ネタバレ》 
「婦系圖(婦系図)」。フィルムセンターで鑑賞。 マキノ正博(雅弘)の失われたメロドラマの傑作「白蘭の饗宴」。それに続くとされる恋愛映画の逸品。 文芸映画でセリフもやたら多いが、流石マキノの演出は退屈させてくれず総集編でもところどころの演出に恐れ入る。とにかく男と女の情景の凄味!そして謎のスパイ映画要素。 古川碌波と長谷川一夫の共演は「家光と彦左」も面白かった。  夜空の花火、祭りのにぎわい、響く花火の音、料理屋。 劇中で繰り返される火のイメージ。線香花火、煙草の火。  冒頭の軽快な会話、祭りの席で話す髭面の精悍な男。 男どもにからまれる女、腕を少し捻っただけで「あ痛い!」と本音がポロリ、荒々しさを見せる女の知り合いらしき。 一度は受け取るが、知り合いから慰めの金はいらない、自分で奪ってやる!と走り出す。  祭りでにぎわう町、仲間がリキに標的を教え、ゆっくりと近づき、「とん」、とぶつかり「気をつけろい!」と去ろうとしたら腕を掴んで捕縛。すった手をそのまま差し出させて「払っとけ」。男は一瞬解放されたようで、でっちの小僧さんと勘違いされて逃げるに逃げられないのだ。   植木を持ってきた駄賃の“お礼”に、逃げ場を失った男をあえて弟子にしてしまう、荒んだ心を優しく迎え入れてしまう、財布じゃなくて味噌でもすれとススメてしまう豪快さ。 奥さんは普通の客だと思って優しく御持て成し、男の告白、窓の手すりを掴んで煮るなり焼くなり好きにしやがれという諦めの態度。 事情が判明しても夫が連れてきた男なら大丈夫だろうと飯をススめる。飯を受け取り承知。  しかしところどころセリフのやり取りが面白い 「やい、殴るぞ」「逃げるわよ」の返し、5年前の出来事をまるで赤の他人のように語るやり取り、「未来で会え 未来で会ったら一生懸命縋り付いて離れるな 俺のような邪魔者に入られないように用心しろ」等々。  いつの間にか5年、料亭での思わぬ再会、襖で顔を隠す演出、手を掴んでうなだれ男泣き?する二人。 電灯を消した中で燃え尽きる線香花火の儚き一瞬の輝き、部屋に散乱したゴミが仕事の長さを物語る。  てい(鯛)の差し入れ、髪をリボンで結んだ女、結婚を隠さなければならない苦しみ、湯気の出る風呂場が物語る伏線。これらを盛り上げるであろうシーンがいくつかカットされていて飛び飛びなのが惜しい。 綺麗になった部屋、風呂をわかしていたのは・・・「もういい」。 散らかしておく方も悪いし、勝手に捨ててしまうのも悪い。昨日燃やして見せてくれた線香花火の印象の方が強い彼女。  奥さんがこしらえた座布団、弟分だった男にかつての自分を見て思わず殴ってしまう。 新しいタンスと茶碗、月夜、花が咲き誇る木々、散歩道での“おねだり”、蕎麦屋で食べる最初で最後の外食。この蕎麦屋は再び別れの前に過ごす場所として登場する。 黙って聞いていた男が「ぬうっ」と出てくる後姿よ・・・!  別れの列車、人込みを掻き分けて追うショットが繰り返される事でスピード感を出す。  後半42分の追い込み。 いつも芸者にうつつを抜かす男に酔って一言言いに行く男気、黙ってそれを聞き続ける男の真意とは。 髪結い、忘れられない男の花火を胸元に、闇夜につける線香花火、鏡に見る表情への反応が何とも言えない、それを見て髪結いを手伝う“母親”の表情、無意識の親孝行。  あの椅子に座って別れた日と男を思いだしもがき苦しむ、空風が悲しげに吹きすさぶ演出が凄い。  会話だけで語られ迫りくる病はちょっと違和感。倒れる描写もないし、なんかまだ元気に見えるんだよなあ。弱々しい声で喋るシーンは凄かったけどさ。  「行ってやれよ!」と叫びたくなるラスト。ふと聞こえてくる女の声、男の後ろでつぶやく幻、振り返ってももう・・・室内の電気も消える、かつて花を一緒に見た散歩道・・・。
[映画館(邦画)] 9点(2014-06-14 21:58:03)
631.  賭博師ボブ 《ネタバレ》 
メルヴィル作品が苦手という人にオススメな作品。メルヴィルファンにとっては佳作という人もいると思うが、逆にメルヴィルが苦手な人はこの初期のハードボイルドで彩らないウェットな作風が気に入るのかも知れない。  「海の沈黙」に続くジャン=ピエール・メルヴィル最初の傑作であり、後のフィルム・ノワールの傑作群に先駆けた作品。 初期の頃だからか、後のハードボイルド風の作風は抑え目。しかし、老いて尚も眼光鋭い賭博師の生き様が刻まれている。 解りやすく言えば、「仁義」で人生を“賭けた”強盗を襲撃する筈の男が、息抜きに寄ったカジノにハマッてしまい計画そっちのけになってしまうという話。 あれよあれよとツキが回り、止められない止まらない。 そんなボブの元に警察が。「まさかバレた!?」と思ったら参考人として逆に警察に保護されたようなもの。刑務所から出たら大金をポンだぜ? 「強盗なんて博打よりも、カジノでやる博打の方が面白いぜ!」と言わんばかりだ。メルヴィルのこだわりが感じられる美術も良いが、小悪魔イザベル・コーレイを初めとする女性陣や署長たちとの友情が心に染みる逸品。
[地上波(邦画)] 9点(2014-06-14 21:32:50)
632.  ゲームの規則 《ネタバレ》 
過大評価だ!・・・と言いたかったのに、何でこんなに面白いの。いやマジで。 個人的にジャン・ルノワールの最高傑作が「ピクニック」で一番好きな映画でもある事は間違いないが、この「ゲームの規則」もすげえ面白い 「大いなる幻影」よりもずっと面白いし、ブルジョワ共の狂騒と没落していく様子を愉快に描いた傑作コメディだ。 第二次大戦開戦前夜、戦争の足音も聞こえずオープンな性と浮かれきった貴族たちの危うさが生々しく描かれる。 社交場での絶えない笑い声、裏舞台で本音を洩らすように辛辣に語り合う人々、ユダヤ人に対する使用人たちの声など皮肉たっぷりの会話も怖い。 大陸を渡った英雄も、この狂騒に包まれた社交場では一人の人間でしかない。 まず、ファースト・シーンで一気に引き込まれる。冒頭の闇夜、熱狂的に騒ぐ民衆がひしめく場面から物語は始まる。 車の衝突音だの、銃の発砲音だの音楽とかマジでうるせえ。 「大いなる幻影」や「十字路の夜」はパンッパンッとリアルな音だったが・・・拳銃の発砲音まで狂騒してやがる。 「大いなる幻影」では静かに泣くように発砲音は小さかった。この映画は、貴族たちの笑い声のように音がデカい。 食事会の場面や、その後のパーティーで起こる騒動、時折現れる人形の不気味さとカオス。 狩りの場面は、とても神秘的で俺が好きな場面の一つだ。貴族たちのスポーツとして、余興として、滅びゆく貴族たちの絶頂が垣間見れる場面でもある。 林にわんさかいるウサギや鳥たちを、木に棒を打ちつける音で林の外へと追い立てていく。まるで祭りの囃子のようにカンカンカンと。 猟銃を持った狩人たちは、獲物が出てくる瞬間をひたすら狙う。 獲物が出た瞬間に一斉射撃。爆音が辺りに響きまくり、次々と獲物は地に倒され堕ちてゆく。本当に撃ち殺しているのだから凄い。 まるで戦争映画みたいだ。 銃声が響く中で情事にふけようとする男女の様子が印象的。  後半のパーティーでの騒動も笑いが止まらない。 浮気をする召使の男女二人、それにブチ切れて拳銃片手に走る森番との追いかけっこ。それを咎められてショボーンと涙まで流して落ち込む姿の可愛さは何なのだろうか。仲直り?する場面は最高に微笑ましい。  で、熊の着ぐるみに入って何してんだよルノワールは(爆)
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-08 20:17:48)
633.  恐怖の報酬(1953) 《ネタバレ》 
クルーゾーは「悪魔のような女」の方が好きだが、この作品も傑作。ねっとりした恐怖を味わうアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの問題作。 ストーリーは至極単純、職にあぶれた男たちが「金のためならなんだってやる」という映画。 金も無く餓死するくらいなら、死んでもいいから一時の金と食事にありつける仕事を引き受ける。それがこの街の男たちだ。 ファーストシーンから素晴らしく汚い(褒め言葉)出だし。虫の群れにそれで遊ぶチ●コ丸出しの子供。 一瞬「これ別の映画?」と戸惑ってしばらくすると、おっぱいの飛び出そうな女の子が酒場の床を拭いているではないか! よかった!フランス映画だった!!(安心するところがおかしい)  最初1時間はひたすら登場人物の掘り下げ。 この丁寧すぎる掘り下げが後の恐怖を盛り立て、尚且つ酒場での緊迫したやり取りや燃え盛る油田の描写など退屈させてくれない。 毒蜘蛛?そんなもん足で殺っちまいな!  そして残り1時間30分に渡る恐怖の大仕事。 油田の火災にはニトログリセリンの大爆破が一番(どういう事なの) わずかな振動でも全てを吹き飛ばす悪魔の液体ニトログリセリン。 時限爆弾はまだ猶予があるが、今度の爆弾は何時でも運び屋を皆殺しに出来る。常に体にまとわりつくような粘っこい戦慄。 “橋”のスリリングな出来事からマリオとジョーのコミカルなやり取りで癒された。 もう完全にヒロインですジョーのおっちゃん。 仕事を受けた運び屋は二組、ニトログリセリンという爆弾は人の心も破壊するのか? しかしニトログリセリンは岩も破壊すれば、人の心の壁も破壊し、一時の安息も破壊する・・・恐怖を味わう間も与えずに。 爆風で吹き飛ぶ巻煙草、焼け焦げた爆発の跡の生々しさ、屍人の骸が眠る黒い沼、ぶらんぶらんの足、そして踏ん張る杭。 それでも男たちは仕事をやり遂げる。たとえ最後の一人になろうとも。 ただ一つ言えるのは、爆弾が人を殺すのでも、車が人を殺すのでもない。 それを扱う人間が一番の殺人者なのだから。 ・・・でも正直言わせてくれ。あんな終わり方したら恐怖を通り越して笑っちまうよ。だからこれだけは言わせて欲しい「クソワロタ」と。 何だったんだよ今までのカッコイイ主人公は。俺も思わず卒倒したくなったわ。俺の涙を返してくれ。 そんなワケで、俺はウィリアム・フリードキンの「恐怖の報酬」の方が好きです。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-07 23:48:18)(良:1票)
634.  恐怖の報酬(1977) 《ネタバレ》 
ウィリアム・フリードキンの映画で唯一面白いと思えたのが、皮肉にも世間での評価が低いクルーゾー版「恐怖の報酬」だったとは。 いや、この作品こそ俺が求めていたウィリアム・フリードキンの映画だったのだろう。  それに、俺はクルーゾー版の「恐怖の報酬」におけるラストに大きな不満があった。 最初から最後まで退屈する暇も無いくらい最高の映画だったのに、あの幕引きだけは納得いかなかった。  あとどうでもいいんだけどさ、クルーゾー版のピチピチタンクトップにマフラーだけの格好が好きじゃない。熱いのは解るが、上半身まっぱの方が涼しいよな?中途半端に肌にくっついてて気持ち悪くないの?何て事を思ってしまった。 モチロン「悪魔のような女」は文句なしの大傑作です。  登場人物の掘り下げはクルーゾー版は人間ドラマしての面白さがあったし、フリードキン版はドキュメンタリー風の味わい。 他のフリードキン作品は、そのリアルタッチが真面目すぎてちょっと退屈に感じてしまった。けど、今回はダルむ事無く終始退屈する事が出来なかったんだ。  淡々とポンコツのトラックをチェーンナップする描写。爆弾を運ぶトラックは、下手をすれば運び屋の棺桶となる。その棺桶になるかも知れないトラックを黙々と整備していく様子に痺れる。 命にかえてもやり遂げなきゃならない事がある。金のため、夢のために。 そこにはジャン=ピエール・メルヴィル作品のようなプロフェッショナル集団しかいない。  嵐の中の渡橋シーンのスリル。橋が崩れ落ちるか落ちないか、渡り切れるのか渡りきれないのか。嵐のように吹きすさぶ風と猛烈な雨が、彼らの集中力や体力も奪っていく。、  クルーゾーは徹底的に渇いた砂、風、重油のねっとりした緊張。 フリードキンは湿り気というか、肥沃なジャングルや雨風、流れる血、濡れた刃が心臓を刺すような怖さ。正にクルーゾー版とは水と油。  例えば、中盤の渇いたニトログリセリンから流れる湿った部分。濡れた部分が「パンッ」と爆発する瞬間。クルーゾー版では固形とか液体といった部分にまで立ち入らなかった。 徹底的に渇ききった環境で液状なのは容器に入れられたニトログリセリンであり、重油であり、それに恐怖して流される汗だけ。それがクルーゾーの映画。 一方、クルーゾー版は散々濡れまくった後に渇いた大地を駆け抜ける。   最後の最後、クルーゾー版とは違う結末に俺は惹かれる。 未だに追われる不安と行く宛も定まらない者。受け取った“手紙”がその者の行き先を決める。そして現れる“追う者”たち。 主人公の運命は・・・暗示される未来は生か死か。そんな感じのラストが気に入っている。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-07 22:36:22)(笑:1票) (良:3票)
635.  キング・オブ・コメディ(1982) 《ネタバレ》 
「タクシードライバー」は嫌いだけど、この映画はとにかく素晴らしい。スコセッシの映画の中でも一番好きだ。  「タクシードライバー」を超えた内に潜む凶暴性を描く。 メディア社会、強いてはアメリカン・ドリームという名の理想と現実へのアンチテーゼを主題にしている。 それを世間に投げつけ痛烈に笑い飛ばす。  デ・ニーロの怪演も癖になる。 「タクシードライバー」のような肉体的な強さではなく、転んでもタダでは起きない心の強さ。 それをユーモアを交えて見事に演じきった。クレジット見るまで誰か解んなかったもん。 本当凄い役者だよこの人は。 やってる事は狂気の沙汰、ただ彼の演技からは狂気をまるで感じない。 子供がドタバタはしゃぎまわっているような自然な面白味があるからだ。 ルパートだけじゃない。 異常な愛を見せたマーシャ役のサンドラ・バーンハードの狂演、 地のキャラを最大限に発揮したジェリー・ルイス。「底抜けいいカモ」や「画家とモデル」等でも楽しませてくれた偉大なコメディアンだ。 声だけ出演の監督のお母さんキャサリン・スコセッシも「名役者」だね。 そしてあの時代には当たり前にいたユニークな市民像。 個性に富み夢と希望に満ちていたあの時代。 そんな時代と人々は今も生き続けているのだろうか? いないのだろうか? そんな事も語りかけてくれる作品だ。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-04 18:48:55)
636.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
冒頭から素晴らしく不安になる強烈なBGMが流れ、暗くジメジメとした街中を一台のタクシーが駆け抜ける。 主人公にも暗い影が差し込んでいる。 元陸軍出身だというトラヴィス。 この映画はヴェトナム戦争の直後だが、彼もヴェトナムから帰還した兵士の一人なのかも知れない。 戦争の時は散々祭り上げておいて、いざ帰ってくるなり辛い仕打ち。 何のために戦ったんだと打ちのめされる日々。 トラヴィスのように若く多感な人間ほど、そんな社会に心を蝕まれる。 オマケにタクシーに乗ってくる人間は平気でゲロを吐く、暴力を振るう酔いつぶればかり。 運び屋を掃き溜めにしているわけだ。 受け止める側に溜まった鬱憤は、やがて犯罪という“はけ口”にブチまけられる。 ナンパした彼女をいきなりポルノ映画館に連れ込もうとするトラヴィス。 価値観の違い以前にもう馬鹿だろコイツ・・・。 そんなんで軽蔑しない女の方が不思議である。 戦場で生きてきた男は、常に平和な時代には無力なもんだし、不器用にしか生きられない。 戦場の常識がここでは非常識へと変わる。(だけどトラヴィスは単にポルノ脳のアホ) デ・ニーロは“カッコイイ”、トラヴィスは“イカれポンチのクソ野郎”だ。 そんな社会の“歪み”が再びトラヴィスに銃を握らせる。 「世の中間違ってる、俺が正しい!」と強く思い込み狂気の世界へと走り続ける主人公。 「俺に言ってんのか?」 イメージトレーニングという名の“見えない誰かと”戦い続ける。 銃社会のアメリカじゃあ、一度銃を持てば子供だって大人を殺せてしまう。 トラヴィスの正義は危ない正義。 「勝った者が正義なんだろ?」と言いたげだ。 そんな危い正義感がいきつく果て・・・つうか何であれだけ撃たれて生きてんのコイツ? モヒカンヘアーにすると戦闘力が上がんのか? 「マッドマックス2」とか「北斗の拳」とかもあの髪型だからタフなんだろうか? 理由わからん。 個人的にはトラヴィスもくたばった方がスッキリしたんだが・・・「時計じかけのオレンジ」以来のモヤモヤが残る映画だった。 モヤモヤは残ったが、再見して前とは違う印象を持った。 出兵してた戦争でも死に損ね、殴り込んだ先でも死に損ね。でも他の奴はみーんな死んじまう。トラヴィスが彼女の乗車を拒んだのも、そんな“生き地獄”に彼女を巻き込んでしまうのではと不安に思っての事かも知れない。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-04 18:36:59)
637.  列車の到着 《ネタバレ》 
「ラ・シオタ駅への列車の到着」。 リュミエール兄弟が撮った短編群の作品の一つ。 駅のホームで列車を待つ人々、遠くからグングン手前に近づいて来る列車。それを待ちかねたように近づき、止まった列車に乗り込んでいく。 列車の先頭は劇中二度と出てこないが、ファーストシーンの列車のインパクトと人々の移動が最後まであの黒い物体を「列車」だと観客に認識させる。  このドキュメンタリーの先駆けでもある1分にも満たない“一瞬”が、今の映画の“一瞬”の積み重ねに繋がっていく。
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-02 02:10:52)
638.  砂漠のシモン 《ネタバレ》 
45分の高密度で撮られた一篇。 この話の流れそのものはかなり解り易い。高い塔の上に引きこもっているオッサンをただ引き摺り下ろすだけでいいのだから。 聖歌を歌いながら広い荒原を歩いてくる人々。冒頭はシモンを頼ってやって来る人々が彼を地面に降ろす。 求道者として人々の願いに応えるシモン。普段はずっと塔の上で日向ぼっこだ。食料は紐のついたズタ袋によって塔の上に運ばれる。実際のシモンは大も小も垂れ流しでもの凄い臭かったとか。流石のブニュエルもその“匂い”が伝わってきそうなほど汚い身なりにはしなかったようだ。服の下の脚はボロボロだけどね。 身体が欠損した人間は「忘れられた人々」等にも登場。両の手を求める人間は思い出したかのように手が戻り、ある者は泡を吹いてシモンの下を流れていく。 それにしてもドラムでドンドコやるのが好きだねーブニュエルは。  15分を過ぎた辺りから引きこもりvs悪魔による闘いが始まる。ここから時代設定とか色んなものがブッ壊れ始める。いや、彼にとって本当の“現実”は何なのか解らなくなり始めると言うべきか。 地上を通る人々の姿。鶏を追う老婆、シモンのために働く女と戯れる自分の幻、そして子供のようにはしゃぐシルヴィア・ピナル! 酷い歌詞を歌いながら輪っかを高々と掲げてリム回し(輪回し)を始め、漆黒のセーラー服?で迫り来る。 「ビリディアナ」ですらピナルは谷間だけ見せたが、今回は豊満なおっぱいとガーターベルトと太ももとパンティを惜しげもなく見せる。シモンを誘惑するために。 ヤギのおっぱいもビンビンですね。 おっぱいを見せたかと思うと瞬時にシモンの横に移動、長い舌を出し、スプーン?でブスブスッと刺す。 また次の瞬間にはさっきのピナルの帽子を被った全裸の婆さんが。誰得だよっ!! ウサギに食べ物を分け与えるのは、掌にとまった虫を潰さずに解き放つのは求道者としての自分を保つため。 シモンに従う女もまた謎が多い。さらっと蟻の巣を埋めるとか鬼かwww ゼウスが羊を抱えるのは蹴り飛ばすため、羊の毛で鞄を作るため、石を詰めて投擲するため、カエルは爆発するため。 今度は橋が倒れ、地面を走る棺桶から片乳出したサタンとして再びシモンの真横に現れる。そしてシモンにトドメをさすように飛来する翼が発する音・・・。 ラスト5分の踊り狂う人々の姿。果たしてどちらが本当の「シモン」なのだろうかアッー!(最後の絶叫)
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-01 18:00:09)
639.  激怒(1936) 《ネタバレ》 
いやー本当アレだ。タイトル通りこの映画のラングは“ブチ切れ”てる。 ナチスのクソ共よくも私が映画を撮りづらい環境にしやがって、 ユダヤ人迫害しやがってあのクソチョビヒゲ、 おかげで私の愛しいテア・フォン・ハルボウと離れ離れだよファ●キンゲシュタポ、 まあ ど お せ?私の「メトロポリス」をメチャクチャにしくさった奴らのいる国なんかもうウンザリだね、売り込んで延命?そんな価値はもう無えよ!!アメリカでテメえらを散々disってやるよあ゛あ゛ーん゛!?・・・てな事をラングが何処まで思っていたかは別として、とにかくそんな感じにラングの怒りがズドンと伝わってくるアメリカでの記念すべき第一作「激怒」。  序盤は普通のドラマだが、徐々にドイツ時代の禍々しいまでの戦慄と恐怖が画面を支配しはじめる。  「凶悪犯が捕まった」という知らせがまるで伝染病のように拡まり群衆を狂気に奔らせる。これは「M」や「メトロポリス」等で見せてくれた群衆心理の恐怖。ラングがドイツで描き続けた恐怖であるし、同時に「私はドイツでこういう映画をいくつも作った。それもこの作品でひとまずお別れだ」という具合に、つまりドイツ時代との決別を感じさせる。 事実、アメリカ時代のラングはドイツ時代にあった“まがまがしい”ほどの恐怖は消えてしまった。だが、その代わりにドイツで研鑽を重ねてきた技術や美術はアメリカでより一層発展したと言える。後の「死刑執行人もまた死す」や「スカーレット・ストリート」「暗黒街の弾痕」「ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(アメリカでは一番評価が高いラングのフィルム・ノワール)」へのな。「激怒」はそのはじまりでもある。  中盤の法廷劇で感じるのは、まるで河から溢れ出し止めようのない激流、それに何も抵抗できずに押し流されるような・・・とにかく圧倒的な恐怖だ。 祖国ドイツがナチスの狂気で染まり、意を唱える者はその声すら誰にも聞いて貰えず溺死させられる・・・問答無用で。 それにしたってウォルター・ブレナンの何と素晴らしいこと。「死刑執行人もまた死す」でも印象的だった。シルヴィア・シドニーは「暗黒街の弾痕」「真人間」だろ? この頃から出演していると思うと胸熱。 クライマックスは何度見ても衝撃的。 オマケに製作にジョセフ・L・マンキーウィッツ!傑作にならないワケが無い。 
[DVD(字幕)] 9点(2014-06-01 00:33:56)
640.  弥太郎笠(1960) 《ネタバレ》 
1952年の「弥太郎笠 前後篇」の3時間を90分にまとめあげてしまうマキノ雅弘の妙技。 これぞ股旅時代劇「弥太郎笠」の決定版。   いや、淀川長治さんが絶賛していた稲垣浩の「弥太郎笠(彌太郎笠)」がいつ発掘される解らない。 なので、現時点での決定版という事で。  この「弥太郎笠」こそマキノ映画の文字通り“祭り”のエネルギーが脈打つ代名詞的な存在だろう。  本当は旗本の御曹司である弥太郎は、武士社会に嫌気がさして股旅の渡世人としての人生を選ぶ。 序盤からテンポ良く惹き込まれるのはいつもの事だが、幻想的な祭りの場面の踊りは御曹司(エリート)としての踊り、歌、剣の腕前を隠し、武士ではなく一人の人間としてお雪と交流する。   かつて世話になった恩人のため、惚れた女のためにヤクザ一家との死闘を選ぶ弥太郎。   全身からエネルギーがほとばしる中村錦之助のパワー、 少しふっくらした感じだが町のおっとりした可愛らしさが美しい丘さとみ、 これを中心としたマキノ流アンサンブルが繰り返され心地良い。  日本の時代劇の面白いところは、殺陣が無くても話の面白さで見入ってしまうところだ。    いや、殺陣もあるからこそ更に面白い。  1957年の「浪人街」じゃ本当に火花散らす鍔迫り合いがあったし、本作も負けてねえぜ。  「血煙(決闘)高田馬場」も、 「次郎長三国志」も何処か狂気地味たフルスピードの斬り合いが強烈だった。 この映画も凄い凄い。  お腹一杯になる傑作です。
[DVD(邦画)] 9点(2014-05-31 11:52:38)
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