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なんのかんのさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1041.  エリザベス
これがケイト・ブランシェットとの出会いだったが、なんてヘンな顔なんだろうと思った。えー、これがエリザベスなのー、場末のレストランの不機嫌なウエイトレスって顔じゃん、と思った。姉女王はそのレストランのおかみさん顔で、フランスの大使だったかは、イランのアマチュアレスラーって顔で、でもこのどんどん出てくる非史劇的な顔の連続に、そのうちリアリティを感じてくる。あんがい本物の王室世界なんてこんな感じなんじゃないかって。話はつまり『ゴッドファーザー』、次々と対抗勢力を処分していくあたりの演出は、音楽の使い方に至るまで全くイタダキでやってる。王宮の暗さを、マフィアの暗さみたいなもんだと同一視してるんだな。権力集団の暗さ。俯瞰の視点が多用されるのも、その暗さを強める。火あぶりを俯瞰で撮った映画なんて、あんまりないんじゃないか。あ、今ではケイト・ブランシェットもケイト・ブランシェットの顔も大好きです。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-01 12:10:25)
1042.  海の上のピアニスト 《ネタバレ》 
ハリウッド映画だったら、ラストは街へと一歩踏み出していく終わり方を選ぶだろうな。でもこれは、あえてとどまる。有限の鍵盤で無限の曲を奏でるピアニストとしての矜持か、それとも外の無限を怖れてのひきこもりか。船の中ならなめらかに自在に滑りまわれる男なんだけど。単に臆病なのなら、こんなに天使のように美しく描いてしまってもいいのかと思うし、でも船から下りない生き方を肯定しているようでもない。移民や娘たち、実生活のある無限へ乗り出していくものたちも描いている。その肯定とも否定ともはっきりさせないところが、つまり伝説の豊かさなんでしょうなあ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-31 12:07:56)
1043.  初春狸御殿
人間役は、出演の中で一番人間ばなれしている左卜全だけであった。ミュージカルといっても見どころはレビューショーで、別に映画であることを活用してはいないが、日本各地の民謡を狸うたにして巡ったり、チョーチンがいっぱい出てきて、ステージ階段があって、っていうあのレビュー的晴れやかさがたまらない。理屈抜きでシアワセになれる。後のほうでマヒナスターズが出てきて、なにやら脇で妖艶な女狸が大うちわをヒラヒラさせてるとこは慄えた。この題材の自在さ、セットの作り物の楽しみ、が今の映画には欠けていると思った。清順がちょっと復活してくれたけど。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-29 12:11:03)
1044.  呉清源 極みの棋譜
年譜がときどき小さく画面に出る。最初のうちは読んでやろうと、サササとテレビに走り寄ってまた戻るということを繰り返してたが、そのうちやめた。そのことによって得られる情報より、そのことで失われる心の平静の損失のほうが大きそうだから。この映画の最大の魅力は静けさだ。外に暴力が吹き荒れている中で、小さな盤面の宇宙の静寂をなんとか守り続けようとした人たちの物語だ。石による戦いではなく、石による会話なんだな、碁って。たとえ一方がぶっ倒れるような苛酷なものであっても。だから映画を見ているものも、息を詰め体を動かさず、その静けさに加担したくなる。屋外シーンも美しいが室内の美しさは格別で、静けさを守ろうとする者たちの張りつめた空気がその美しさを際立たせていた。呉清源の伝記映画ということで、璽光尊事件をどう扱うかが興味あった。どちらかというと戦後の混乱期のちょっとしたコミカルな挿話として語られることが多かった事件だが、ここではかなり真面目に扱っている。思えば日本の国家神道も、本来の日本の多神教的伝統とはかけ離れた一神教的な新興宗教だったわけで、あの戦争時の興奮とこの新興宗教の興奮とがパラレルに見られる。これは外国人監督の目を通したことで得られた新鮮な視角だ。もしかするとここに中国の法輪功問題やさらにチベット仏教の弾圧をも意識していたのかも知れない、そういえば田壮壮のデビュー作はチベットを舞台にした『盗馬賊』だったっけ。
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-26 12:22:41)
1045.  セントラル・ステーション 《ネタバレ》 
前半で、薄情なせちがらい世を一人で生き抜いてきたドーラをしっかり描いているから、後半も甘さに溶けてしまわない。他人の街、他人の言葉を預かる代書屋、言葉なんて他人にまでちゃんと届かなくってもいいと思うまで、うんざりと他人に満ちている。かっぱらいもあれば臓器密売業者もいる。優しいお姉さんみたいのが罵り声をあげる。そういった混濁からしだいにブラジルの風景によって浄化されていき、カトリックの祭りのロウソクの波もあったなあ、この変化がロードムービーの味わい。ラスト、夜明けにドーラが旅立つ。兄弟の間で寝ていた少年が気配を察しても大声で叫ばないところ、普通の声でつぶやくようにドーラと言うところが泣ける。彼女自身の手紙、祭りのときの写真、泣ける泣ける。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-25 12:12:29)(良:1票)
1046.  ジェシー・ジェームズの暗殺 《ネタバレ》 
西部劇の時代に遅れてきた男たちの物語、ってことか。列車強盗ってのが、もう牧畜業と同じく時代遅れになっていく。非定住者が定住していく。ジェシーが最後に馬の絵を見ていたのも象徴的だ。林の中で帽子をかぶってワイワイやっていた仲間うちの楽しさは消え、逃避行の末に疑いが蔓延し、緊張しながら作り笑いをしなければならなくなる。連合赤軍の末路はこうでもあったかと思った。その“すがれた”トーンが全編を通して一貫する(やたら草原が出てきて、テレンス・マリックの映画を思ったら、この監督『ニュー・ワールド』のスタッフ欄でthanksとなってる)。その遅れた英雄に憧れるさらに遅れたボブは、デカいことするんだという遅れた夢を持ち続け、最後は厚化粧して舞台に立つ、時代のピエロにならざるを得ない。キャシー・アフレックスは、普遍的な青年の愚かを演じてとても良かったと思う。160分の長尺、ぜんぜん退屈しなかったと言えば嘘になるが、ピリピリしている人々の緊張の描写は素晴らしく、その果てに、恐怖することに疲れきった兄弟と、疑うことに疲れきったジェシーとによって、あたかも肩の荷を下ろすように演じられる暗殺の場は、いままでのどんな暗殺シーンとも違う悲痛さが漂うものになった。ここだけでも、この監督は注目する必要があると思う。 
[DVD(字幕)] 7点(2008-10-22 12:18:15)
1047.  風が吹くまま 《ネタバレ》 
例によってクネクネと道を行く車。子どもに導かれて近道の斜面をのぼると、またそこが上下左右がクネクネの迷路のような住まい。でもこれら迷路のようだけど、迷いこんだという感じはなく、言ってみれば豊かなヒダのよう。この風景というか風物というか空間が、映画のツボだ。ヒダのある豊かさ。丘の上が唯一外界と通じるケータイの聞こえる場所で、それが墓場の中でもある。死の近い老婆がいるが、あっさりとした出産もあり(すぐ洗濯物を干している)、猥談もかわされるし、顔は見せぬが若い恋人同士もいる。人生のさまざまな姿がヒダのように重なっている。死を待っていた主人公が、丘の上で人を救うことになり、その医者を老婆のもとに連れていく展開。天国のように美しい麦畑が映画を包み込んでいる。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-20 10:02:00)
1048.  男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎 《ネタバレ》 
寅は柴又でこそバカ扱いされるが、地方ではけっこう人物として見られることもあり、そのズレは興味深い。本作では、松坂慶子が弟の死を知ったとき、彼女は「なんで知らしてくれはらへんかった」って会社の人に言うが、身内の者として付き添った寅は「いろいろ面倒を見ていただいてありがとう」と感謝を述べる。こういうちょっと相手と距離を置いた“公の場”では、とても世慣れて大人なのだ。でも酔った松坂が宿に来て寝てしまう“私の場”になると、とたんにオロオロしてしまう。このズレ。その前に松坂が「弟のことをなんて呼べばいいかしら」と問うのに対し「ヒデでいいんじゃないの、俺なんて家ではいつもトラとかトラちゃんだぜ」っていうところ、テレビで見てるとつい見過ごすとこだけど、映画館ではすごくウケてた。なんか、柴又の寅と世間での寅との違いが、本人が意識せずにクッキリと出ていた。松坂、恋人がいたんなら悲しくて酔っ払ったらそっち行けばいいのに、とも思うが、その恋人ってのはヒロシタイプの真面目男らしいので、こういう場の慰め役にはならないってことなんだろう。で弟の死を知る場を一緒に体験した寅のほうに行っちゃう。ここらへんが寅の重宝なとこであり、またつらいところだ。松坂はこのとき寅とどうなってもいいと思ってたんでしょ、恋人がいるのに、フラッと。早朝ソーッと宿を出てタクシーに乗る松坂の場が印象深いのは、そういう酔いから醒めて、芸者をやめようとここで決心したからなんだろうなあ。
[地上波(邦画)] 7点(2008-10-19 12:19:31)(良:1票)
1049.  シュリ
けっきょくこういう映画が作られるようになったということは、韓国でも南北分断の悲劇がもう生々しいものでなくなってきた、ってことでもあるか。娯楽映画として楽しめちゃう。町の男が実は情報部員、その恋人が実は北の潜入暗殺者、って、なんか市井の隣人が実は歴史上の大人物っていう歌舞伎の世界みたい。しかしまったく借り物のテーマってほどには歴史になりきってなくて、そこは不真面目には扱えない重みもある。そこらへんがうまく釣り合ったのではないか。「北の兄弟が飢えているとき、南はゲロ吐くほど飲み食いしてる」なんて北の人物に言わせている。愛しつつも敵になる、と民族愛を恋愛に変換しているのだ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-16 12:11:21)(良:1票)
1050.  独立少年合唱団
香川照之っていいな、と思い出したのはいつからだったか、『犬、走る』のシャブ中の刑事は印象深かったが、これの香川も良かった。断念を秘めた情熱家、あるいは情熱を残した断念者。内側が複雑になっちゃってる人をやると、あのボーッとした表情がすごく生きてくる。これは過去の点検の話で、現在から見た70年代の点検、あの革命の気運は何だったのか、という問いかけ。世の中を良く変えていきたいという欲求は、なぜ空回りしてしまったのか。「骨まで愛して」を求めていた人々へ、ロシア民謡を歌いかけていたそのズレ。それが死のモチーフとどう絡み合っていくのかが、もひとつ不鮮明だったけど。歌が生まれる前の沈黙に耳を澄ますこと、しかし沈黙の後で必ず歌が生まれるとは限らない。歌は無意味だから美しいんだよ、だったかな。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-15 12:10:57)
1051.  日本の青春 《ネタバレ》 
『壁あつき部屋』や『人間の条件』ともつながる“軍隊の内なる暴力”のテーマを扱っていて、でも60年代後半という、剛直より軟弱へという時代の流れを感じさせるとこが、いま見ると面白い(映画で言えば任侠ものから寅さんへという時期)。武満徹の音楽もフォーク調。藤田まことが軟弱な人間の真率さを演じるが、やや哀感過剰気味、これが60年代末のトーンだ。元上官佐藤慶は、時代がどう移ろうともその時代時代をちゃんと生きているという自負があり、バーの一角での対決が、セリフ劇として見応えがあった。しかしそれがこの映画の限界でもあって、図式が整いすぎて、イメージが膨らむ余地が少ない。主人公が家に帰って終わるってのはどうかなあ。それが、家にしか帰るところがないという絶望や苦みでなく、まだ帰るところがあるというニュアンスでまとめられていた。それでいいのかなあ。奈良岡朋子がカワイイやつになってしまっていたけど、そのカワイさの束縛ってのもあるんじゃないか。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-09 12:14:21)
1052.  壁あつき部屋
BC級戦犯の話。浜田寅彦って、単純な表現しかできない俳優と思っていたが、この映画では、とりわけ後半、素晴らしかった。申し訳ない。小沢栄太郎が「卑屈」とか「傲慢」を一対一対応で演じているのに対し、浜田はあらゆることを「思いつめる」人間を演じ、思いつめていながら、そこでは集中と茫然とが同居している。言葉で単純に表わせない心の状態を、体で表現する名演だったと思う。信欣三の壁にポコポコと穴が開く場もいい。あつい壁に穴が開いてもその向こうには自由ではなく罪が待ち伏せている、という追い詰められた感じ。戦争指導者もつまりは犠牲者だった、という現在もある粗雑な思考は、こんな頃からもうあったのだな(公開は56年だが製作されたのは53年)。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-08 12:11:42)
1053.  からみ合い
なにせ『人間の条件』と『切腹』の間に作られた作品なんで、どんなかなあ、という興味があった。遺産をめぐりニセの跡取りを作ったりするだまし合いの話で、もっとコメディタッチにしたほうが収まりがいい題材だったかもしれないが、そこは小林正樹、そして重厚な大作の間の作品、正攻法で攻めてくる。これはこれでいいのだろう。重々しさというのも、そういうものがまったく尊重されなくなった現在から見ると、美点である。話のほうより、美術の戸田重昌の仕事が記憶に残っている。中央に水槽があり奥に二つ扉がある左右対称の部屋や、冒頭、岸恵子と宮口精二がはいる喫茶室など、セットを味わえる映画だった。戸田は以後も小林作品(『怪談』!)や大島渚作品(『儀式』!)で、重厚なセットの記憶を日本映画史に残していく。音楽が小林作品で初めての武満徹、本格的なジャズであった。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-07 12:19:37)(良:1票)
1054.  どこまでもいこう 《ネタバレ》 
画面ではまだ何も起こっていないが、何かを待っている時間の緊張がしばしば描かれる。たとえば冒頭のヤクルト奪取のとことか、公園での逃走。悪い報告をする前の先生のためらいも含めていい。こういう待機の時間の緊張がいい映画だ。これがあって走るシーンが生きてくる。花火も似たようなものだな、点火からしゅるしゅるまでの間。爆弾紙飛行機も。女の子たちがときどき一輪車で軽やかに通過するのが、緊張して待機したり走ったりしている男の子たちといい対照。拾った金を川岸で山分けしている写真が、マスコミによって「ミズスマシがいた」というホノボノ記事になるのがおかしかった。
[映画館(邦画)] 7点(2008-10-04 12:15:52)(良:2票)
1055.  グリーンマイル 《ネタバレ》 
そうか、キリスト伝説みたいな話になってるのか。いえね、彼、冤罪じゃなくて、大きな罪を犯したために癒やしの能力が罰として降りかかってきた、って話かと初めのうちは思ってたもんで。なんかそういうほうが面白いと思いません? 愛を使って悪を為した、という罪のテーマもあって、なんかドストエフスキー的なダイナミックな構造が、もうちょっとで現われそうなとこだった。どうしても死刑を執行したい執念を持つ敵役を、三枚目っぽく造形してるのが、かえって怖い。しばしば悪は、おどけの面相をして登場する。感動的なのは、闇に差し込む光として映画を捉える場。『トップ・ハット』! I'm in heven と見守るJ.C.の頭上に、後光のように映写光が輝いていた。
[映画館(字幕)] 7点(2008-10-03 12:14:00)
1056.  ロゼッタ 《ネタバレ》 
カメラは徹底してヒロインに密着する。ロゼッタの登場しないカットはない。ときにヒロインが見ている方を捉えるが、それは彼女の視界としてより濃厚にロゼッタを存在させる。長靴履いた少女って、たくましくていいな。愚痴らず、ただまっとうな暮らしを熱望し続けてる。それでいて、自分の代わりに失業した女性が気にかかったりもする。これがあるから、あとで男友だちのリケを密告する凄味が生きてくるんだ。自分が溺れかけ、母が逃げた池、リケが溺れかけたとき、ちょっと助けるのをためらうとこも怖い。職が転がり込んでくる可能性。仕事で抱え込む小麦粉の袋の重さが、ラストのガスボンベの重さと拮抗する。この重さを運び続ける彼女は死ねまい、と思う。そして初めて彼女が他に頼ろうとする瞬間が待っている。立派な作品なんだけど、この振り回されるカメラが、どうも生理的に苦痛で。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-30 12:20:20)
1057.  エリン・ブロコビッチ
なによりも勝訴すると和解金の40%を弁護士が取る、ってとこに驚いた。もし日本でこういう映画作るとしたら、そこらへんは伏せとくんじゃないか、観客の反発を招く可能性があるので。あるいはその金は被害者救済基金に寄付します、とかいう場面を入れるかもしれない。でもあっちでは、そういう情とは切り離して、仕事の報酬は報酬と割り切っているわけだ。こういうとこ個人主義が徹底してるというか、あっちとこっちの違いをすごく感じた、どっちがいいとかでなく。まあそもそも日本では、公害訴訟を題材に娯楽映画を作るという発想は生まれそうもないけど。女性の生きがい探しの話にもなっているので、ずっと主人公が出っぱなしなのがちょっと鬱陶しい。交通事故のシーン、ジュリアが車に乗り込んで交差点でぶつかるまでワンカットじゃなかった? どうやって撮ったんだ?
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-24 12:10:59)
1058.  田舎司祭の日記 《ネタバレ》 
神に祈れなくなった司祭の苦悩なんて、悪いけどどうでもいいです。こういうこと悩んでる人がいるんだ、という興味以上には突っ込めず、また中途半端に分かったつもりになるのも失礼かと思って、それなりに眺めるように鑑賞した。重要な領主夫人との会話の場、信仰論争の凄味は伝わってきて迫力あるんだけど、語られている言葉が頭の中で整理されないうちに次々進んでしまい、やはり私には消化不良気味。でもこの映画は、世間知らずの若者が社会に出て戸惑う、という普遍的な青春ものの面も持っていて、頭でっかちの青年司祭が、領主夫人が抱く現実のナマな苦悩・悲惨に対してはまったく無力で、ぺちゃんこにされちゃう、という話でもあるわけだ。村人たちが向ける冷たい視線、こいつ司祭やってく能力あるのか、と常に量られているような不安感、少女ですらそういう目で見てくる。そういうところはシミジミ迫ってきて、つまりすごく分かるところとすごく分からないところとが、渾然としている映画だった。オートバイの青年(領主の甥なのか)と出会うとこなんか、やっと主人公が明るい顔になったぞとホッとすると、駅に着いてまた神様の話始めちゃうから暗くなっちゃう。ブレッソンとしては『抵抗』や『バルタザール…』みたいに無条件で感動はできなかったが、スタイルはもう完全に出来上がっていて、きっと見る人が見れば傑作なんだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2008-09-23 12:17:35)(良:1票)
1059.  ザ・ハリケーン(1999)
本や手紙といった文字の力、の話。一過性の救出運動があり、しかしそれはすぐに飽きられ、でも本は漂い続けて読まれるべき読者のもとに運ばれていく。そういう意味では希望の話だが、またこれは騒いでいたときに売れた本が真の読者に出会えなかったという苦みも含んでいるわけで。そして場所も歳も離れた者の間で手紙=文字が交換されていく。撒かれた希望の種としての書物。白人への憎悪が融けていくあたりは類型的だが、再審請求が何度も却下され希望を持つこと自体を恐れるようになるあたりはグッときた。D・ワシントンだと、最初っから無実に見えてしまうのが問題。いつも思うんだけど、アメリカの監獄の自由に電話できる権利って、どうして日本では許されないのか。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-20 12:09:43)(良:2票)
1060.  スペース・カウボーイ
西部劇の空をジェット機が上昇していくという、この映画を要約するようなシーンから始まる。そもそも西部劇ってのが時代おくれの男の哀感の映画なのだ。農業の時代になってもまだ牛を追っている牧畜業界関係の男たち。コンピューター時代になってのパイロットが重なる。『七人の侍』と同じで、メンバーが集まってくるあたりが一番面白い。あの女性科学者は、いわば開拓地にいる夫を亡くした母のような役割りか。後半舞台が宇宙に移るとフツーの映画になってしまうのが残念。思い残したことについての映画、あるいは意地についての映画。
[映画館(字幕)] 7点(2008-09-17 12:08:51)
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