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ルクレツィアの娘さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 349
性別 女性
自己紹介 基本的には、お金を掛けた映画と歴史時代物が好き。

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1.  パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 《ネタバレ》 
王道ファンタジーを、ツッコミを入れつつ楽しみたい人むけ、かな。神々の集うオリンポスがニューヨークにある。……という設定が、もう、面白すぎる。これが日本のマンガなら、オリンポスは東京にあるんだよね♪  いくつか欠点を持ってるけど基本いい子な主人公の美少年は、ポセイドンの息子なのでいざというときは水が助けてくれる! 美少女ヒロインはアテナの娘で戦闘能力が高い! でもなぜか主人公のほうが強い! 二人を助ける、気のいい仲間(若干下僕扱い)もいて、設定も展開も王道ファンタジー。これを面白いと思うか退屈と思うかは好みによると思う。稲妻を盗まれた、盗んだのは誰だ、という騒動自体はとってつけたような感じで、ギリシャ神話を知っていたらまるわかり。要は、ギリシャ神話の怪物たちに出会いながら、アクション満載のアメリカ縦断の冒険をしていく話なのだが、結局、主人公はアメリカから一歩も出ない。ギリシャ神話ネタなのに……。主人公の名前がパーシー。ギリシャ神話のペルセウスと同じ名前。 というわけで出てくるヘルメスのお助けグッズも面白かったし、ユマ・サーマンのメデューサは、素晴らしすぎた。(メデューサだけでいったら「タイタンの戦い」よりずっと感動した!)  その他、小者っぽすぎるゼウス(ショーン・ビーン)に涙したり、訓練所でにこやかに先生をやっている5代目ボンドに苦笑したり、冥府のカロンにひそかに感動した直後に、ハデスとベルセフォネに爆笑してしまったり、エンドロール後のオチにうっかり「やったね!」と思ったり、最後までいろいろな意味で楽しめた。
[DVD(字幕)] 7点(2011-02-08 14:42:49)
2.  伊豆の踊子(1974)
この二人の主演だから何でも許せてしまうだけで、数ある伊豆の踊子の映像化作品の中では、駄作という気がする。原作の行間から染み出してくる人間模様があまり見えない。男たちが欲望を抱えて集まる温泉地で、客商売をする人々の底にある苦しみ悲しみ。歴然とある階級差。踊り子の人生の先にある転落。踊り子一座の現実が全然分かっていないお坊ちゃんの「私」に対する怨念。それをあからさまに表現しないところが良いのだろうか。
[DVD(邦画)] 5点(2009-10-07 11:44:40)(良:1票)
3.  いまを生きる
中学生の時も、高校生の時も、大学生の時も観た。そして、社会人になってまた観たけど、やっぱり私はキーティング先生は個人的に嫌い。ニールの死はキーティング先生のせいだと思っている。私の気分は、いつも、机の上に立たない生徒なのかもしれない。閉鎖的な、管理教育には悪い部分もたくさんあるが、その中でも子供なりに真面目に規律正しく節制のある大人になろうと、努力している生徒がいることを、ドリーマーな大人は認めてはくれないのだろうか? 子供時代にいろいろな大人に出会うことも、成長のきっかけではあるが、あまり出会いたくない教師だ。自由をはき違えているし、あまりに自分が正しいと思いすぎている。努力してきた価値観を勝手に突き崩し、生徒たちに混乱を引き起こす。この混乱は成長過程として必要なことかもしれないが、自分について来ない生徒を憐れむような真似をし、結局は中途半端に去っていく教師はいらない。そもそも言葉の持つ力を知る(詩の朗読)ということと、半端な自己主張というのは違うような気がするのだが。メッセージ性は認めるが、私には受け取れない。
[DVD(字幕)] 4点(2009-10-07 11:37:25)(良:5票)
4.  フライトプラン 《ネタバレ》 
最後まで観た後は、あー、変な映画だった、なのだが、観ている間はいろいろ考えて、楽しんでいたと思う。秀逸なのは役者の人選なのかもしれない。ジョディ・フォスター演じる母親の妄想なのか?と途中までは疑ってしまうし、ショーン・ビーン演じる機長が犯人なのか?と一瞬でも思ってしまう。というか、この二人が犯人じゃなかったら、後はコイツだろう、と思うわけで・・・・・・ミステリとしては弱いし、犯行理由がまたショボすぎて、泣けてくる。アラブ人、かわいそう。主人公に対しては「何はともあれ、謝れよっ!」と言いたくなる。それにしても、ツッコミどころ満載なストーリだったのに、私が一番気になったのは、機長自ら腕まくりして捜索に参加しているけど、コックピットにいなくて良いのだろうか?ということだ!(いや、だから怪しかったのか)
[DVD(字幕)] 5点(2007-10-24 17:26:51)
5.  ミリオンダラー・ベイビー
淡々と、本当に淡々と描かれるストーリーが重かった。途中までサクセスストーリーと見せかけておいて、後は地獄へ引きずり下ろす。イーストウッドは容赦が無い。それにしても、この作品を観ていて、あだち充の漫画とよく似ている気がした。あの、独特の「間」にによって描写される、人物の内面。イーストウッドがここまで芸術的なワザを見せてくれるとは思わなかった。それにしても、救いの一切無い映画だった。
[DVD(字幕)] 9点(2007-10-24 16:49:18)
6.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
いやはや、日本のアニメは恐るべし! 制作者サイドの「あざとさ」が見え見えなのも、また大人にとっては娯楽要素だったりする。昭和の最後に産まれた世代としては、しんのすけサイドにも、大人サイドにも立てずに、昭和レトロってそんなに良いかぁ?と首をかしげつつも、しんのすけの言葉・態度にもカチンときたり。それなのにいつのまにか、展開されるてんやわんやに、ずーっと笑い泣き。高尚ぶってるけど中身のないダメダメ作品(ゲド戦記とか)を続けざまに観ちゃった後に、これ観て正解だった☆
[地上波(邦画)] 6点(2007-10-24 16:28:12)
7.  ゲド戦記
まず、絵柄の雑さが随所に目立った。また、背景そのものは美しいのに、背景と人物がちぐはぐだったり、急に光のトーンが変わったりする。観ていて非常にうるさく感じた。こういう気に障る感じは、今までのジブリ映画にはなかったように思う。また、いつもながらプロの声優を使わないので、セリフがゴモゴモしていて、いや。とくに今回の田中裕子のクモにいたっては、セリフを聞き取るために神経を集中しなければならない感じで、やめてほしい。また、劇中の歌が唐突すぎて、ちっとも感動できない。ストーリーは、もう思案の外。原作を再構築するなら、もっとやりようがあるはずだ。コレでは原作ファンが憤る。というか、宮崎親子はそもそもなんで「ゲド戦記」をアニメ化しようと思ったのだろうか。ただ、有名な作品だったから? そうとしか思えないのだけど。
[DVD(邦画)] 3点(2007-10-24 16:06:06)
8.  コラテラル 《ネタバレ》 
確かに、いつもと違うトム・クルーズではあった。あの、ニカッとした笑顔を見られずに残念なような良かったような。もっとどんどんアクションが続くのかと思ったら、案外、タクシーの中での会話が多く、それがまた妙に古くさい人生論議で(訳が悪い可能性もあるけど)、緊張感のないサスペンスだった。アニーと主人公のめぐりあわせ方があまりにもありがちで、どこにも予想を裏切る部分がなかった。ラストの地下鉄でもう少し荒唐無稽なアクションがあっても良かったような気がするんだけど、最後まで「非現実的なことに巻き込まれた現実的なお話」にまとまっていた。
[地上波(吹替)] 5点(2007-10-24 15:17:13)
9.  300 <スリーハンドレッド> 《ネタバレ》 
「ラストサムライ」の最後の戦闘シーンで語られていた、300人の戦士の物語。けっこう期待したのだが、がっかり。映像がスゴイということで鑑賞したはずなのだが、既視感ばかりがあって、しかもマッチョと飛び散る血ばかりが印象に残って、ストーリーは陳腐だった。「ロード・オブ・ザ・リング」などの映画からの既視感もそうなのだが、どちらかというと少年漫画や青年漫画の、どこかで見たようなシーンが繋ぎ合わさっている感じだった。他の方も言っているように北斗の拳とか、そういう系。死者を穴に落とすシーンなんて、すごく漫画的。で、いきなりスロー映像になるから、この穴はそもそも何のための穴なのか? ゴミ捨て場か?とか、変な方向へ思考が脱線しちゃうのだ。 冒頭でクドクドとスパルタの男子が戦士になっていく話が描かれたが、あれじゃあ、耕作したり商売したり外交をしたりする人間が育たないわけだ。しかも結局は国の危機に王の近習300人が戦うってだけの国になっちゃってるじゃん。戦士養成計画自体もダメダメってことじゃん。王がボロクソに言っている神官たちは、戦士になれない人間が山に捨てられた末路のようだが、違うのか? むしろペルシャの文化の高さや動員力に、国としての凄味を感じちゃうのは、アジア人だからだろうか。笑わすために出てきたとしか思えないペルシャの王のほうが、存在感があったなぁ。何から何まで漫画的だった。 それから、「ロード・オブ・ザ・リング」とそっくりな戦闘ゾウさんたちが笑えた。しかも、この語りはファラミア(ウェンハム)じゃないか。
[DVD(字幕)] 4点(2007-10-24 15:08:18)
10.  ヴァン・ヘルシング 《ネタバレ》 
導入部がいきなりモノクロ映像で、古典的なドラキュラ映画の記憶を喚起させてくれて「これはいいかも!」と思ったのだが・・・・・・後ろへ行けば行くほど何だか面白みのない作品だった。ヘルシングの苦悩とかも全然描かれないままバトル。バトル。バトルで、緩急がない。戦うシーンが同じような感じで繰り返されるので、最後のほうでは飽きてくる。ドラキュラの花嫁たちがやたらと変身しながら、瞬間移動で戦うのが最初は面白かったのだが、何度もそればっかりでもういいやと思った。せっかく武器発明係のカールというキャラがいるのだから、「どこに持ってたんだよ!」というツッコミが入ることを承知で、もっと新しい武器を登場させるとかしてほしかった。まあ、あまりにキャラが違うせいで、カールがファラミアに見えることがなかったのが救いだった。アナはホラーの闇に映える美人だったが、衣装がイマイチ。画面も暗いし、アナの兄とヘルシングが見分けがつかないかと危惧したが、そうでもなかったので良かった。冒頭から意味ありげに登場した村人のリーダーみたいな人も、フランケンシュタインも、せっかくのキャラがもったいないなぁ~という感じ。十字架も聖水も銀の杭も効かないドラキュラの弱点はこれだった!というのが出てきたが、どうしてそうなるのか納得できなかったし、ヘルシングの正体?もなんだかなぁという感じがした。ラストシーンもパッとせず、心に残らなかった。音楽だけで、場面を盛り上げようとしないで欲しい。
4点(2005-01-06 09:38:25)
11.  十二人の怒れる男(1957)
少年が無実かどうかはちょっと疑問もあるが、大変緊迫感のある人間ドラマ。初めて観たとき、ラストの、建物を出たところで「あなたのお名前は?」と聞くシーンで、ああ、名前も知らない同士だったのか、と胸を熱くした。あと・・・・・・思春期に観たので、話に出てくるオバサンのように、めがねの跡が顔についたりしないように、めがねを触る癖を付けないように、とっても気を遣うようになりました。
7点(2004-11-07 12:28:41)
12.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード
せっかくのジョニー・デップ×アントニオ・バンデラスなのに、イマイチ。話のノリに付いていけない私が悪いのか、この映画が駄作なのか、よく分からなかった・・・・・・。銃撃戦が意味もなく始まり、所々ミョーに手の込んだ演出があって笑えるんだけど、話の流れは意味不明。ジョニー・デップの変なキャラも意味不明なだけで、もったいないと思った。全体的に話がつまんないので、結局は銃撃戦しか記憶に残らなかった。たぶん、銃撃戦を撮りたいから、この映画を作ったんだろうなぁー。映画館に行ってみなくて良かった。
3点(2004-11-05 16:04:45)
13.  ゴシカ 《ネタバレ》 
最初、冤罪の話なのかと思っていたのだが、違った。予想していたよりショッキングな展開で、びっくりした。画面も暗くて怖かった。ありがちの展開とも言えるが、復讐するために、ここまでやる幽霊というのは、けっこう珍しいと思う。幽霊にとっては、ミランダも共犯者だったのだろうか? そしてミランダの殺人が、法的に、幽霊の仕業だと認定されるのって無理だと思うのだが・・・・・・。ミランダ役に何もオスカー女優を使うことはないだろうと思うし、ペネロペ・クルスも彼女の持ち味は全然出ていなくて、この映画にこの二人って、キャスティング的にもったいないなぁと思った。
4点(2004-10-28 08:57:55)
14.  ザ・リング
日本版のほうが断然、怖いですね。でも、テンポが良くなったのと、映像がゆったりと広がりのあるものになった以外、話の運び方も解釈も映像も、みんな日本版と同じです。ココまで同じじゃ、リメイクしても意味無いじゃん、と思ったのは「サイコ」以来、久しぶりです。 ただ、貞子は思わず目を背けちゃう怖さがあったけど、こちらはサマラがそんなに怖くないので、正視できてしまいます。あの「テレビ画面の砂嵐を見るだけでゾッとしてしまう」ような強烈な恐怖感は、味わえません。
2点(2004-09-27 11:46:44)
15.  イノセンス
映像はスゴイ。本当にスゴイ。でも、作品としての価値、エンターテイメントとして人を感動させる力は、薄い。話の進むテンポも悪いし、分かる人だけ分かってねと言う、閉じた世界の作品だと思う。
5点(2004-09-27 11:28:43)
16.  すべては愛のために(2003)
タイトルのせいで、壮大な純愛大河ロマンを思い描いていたため、ちょっと期待はずれだった。しかし、各地の難民の問題を、わりと真摯に扱おうとしている映画だった。世界各地に悲惨な状況の人々がいる、そのことを示したいために作った映画のような気がする。それに、食料援助や物資援助に絡んで武器の密輸が行われたり、現地のゲリラが救援物資を奪っていったり、子供が地雷探知機代わりにされていたり、さまざまな「現実」を盛り込んでいる。盛り込みすぎて消化不良だが、伝えたいことはたくさんあるのだろう。国連親善大使でもある主演のアンジェリーナ・ジョリーは頑張っている。そこに、映画としてラブストーリーを加えた感じ。ハッキリ言って人間ドラマとしては、非常に物足りなくて、成功しているとは思えないが、ラストシーンで何とか挽回している。あの、カチッという音は強烈だった。主人公二人が、押しの強さというか神経の太さというか、美男美女とはちょっと違う感じの迫力があって、面白い取り合わせだった。
5点(2004-09-27 11:23:44)
17.  マイノリティ・リポート
起きる前に犯罪を抑止する、という発想。近未来の映像。この2つが良かった。いわばアイデア部分である。だが、作品として創っていったとき、アイデアは良くても最後にはどうにもこうにも鑑賞に堪えないモノになってしまうことは、世の中たくさんある。アイデアは良かったんだけどね。それだけ。・・・・・・最近になって、犯罪を起こすと予見された犯罪者をとらえて収容する、という発想が、アメリカのやったイラク攻撃とミョーに頭の中でリンクするようになってしまった。考えすぎ?
4点(2004-09-22 20:44:17)
18.  レボリューション6 《ネタバレ》 
クールで、面白くて、実はちょっぴり人情系でもあるクライムムービー。「左と右の戦いなんて終わってる。勝ち組と頑固な負け組だけだ」というセリフが、良くも悪くもこの映画を象徴する。闘争してた時代なんか消し去って、現実に生きる4人。リッチになっている人もいれば生活に疲れている人もいる。一方で、闘争し続けるテロリスト2人。現実にそぐわない行動の空回りと虚勢が、ほろ苦さを覚えさせる。そして追う警察側も、古きヒーローと新しいエリートが対立する構造。なかなか上手い。とにかく6人の描写が、なかなか丁寧で、作り手の愛を感じる。とくに映画制作者にとっては、広告会社の社長が、もっとも自分を投影させたヒーローなのだろう。ヤケに活躍している。彼の鏡像にも見えるテロリストのティムも、「変わる時代に背を向ける男」としてカッコイイ。映画全体のクールな雰囲気は、この二人を軸に支えられていると思う。ラストは、ちょっと予想外だった。
7点(2004-09-06 00:02:17)
19.  アマデウス ディレクターズカット 《ネタバレ》 
天才モーツァルトと凡人サリエリというあざやかな対比が、忘れられない強烈さで迫ってくる映画である。音楽家・宮廷・18世紀。どこをとっても、我々の世界とは全然、別世界のストーリーであるにもかかわらず、観ているうちにサリエリの心の闇へ入り込んでしまう。真実のモーツァルトやサリエリやコンスタンツェがどうだったかという以前に、これは人間を描きあげた見事な作品だ。お菓子が好きで、女も好きで、皇帝をも内心でバカにしているようなサリエリの俗っぽさが、観客に親近感を持たせるし、時には嫌悪感も感じさせる。他の人間にはモーツァルトの真の偉大さが分からず、自分には分かるという倒錯したサリエリの自負心。ある意味、サリエリは自分がただ凡人だとは最後まで認めたくないのだ。サリエリの負の感情の出発点が、自分がバカにされたことよりも、自分は欲望を抑えて神に気に入られようと身を正してきたのに、あの天才は努力しないで楽しんでるなんて許せん(ホントはオレだって遊びてぇ~)という部分だというのが、面白い。音楽の価値を解さない商人の家に生まれ、父の死を「神の啓示」「幸運」ととらえるほど音楽の環境に恵まれなかった少年が、血のにじむような努力をして、階段を駆け上がり、ウィーンの宮廷へ入り込んだのだ。それはそれで非凡なことなのだ。でも、天才にはなれない。だから神を恨み憎む。もっとも、サリエリはそのどす黒い感情を神へ向けたと思いこむことで、ただの嫉妬・屈辱への恨みであることを認めないようにしてるのかもしれない。けれどサリエリは根本的に音楽が好きだから「君の作品を見逃すものか」とか言っちゃうし、死の淵にあるモーツァルトの仕事を手伝いながらどこか嬉しそうだったりする。こういう屈折した感情の描写が、すごくうまい。それにしても、天才児モーツェルトとは、まさに猿回しの猿だったのかもしれない。父を亡くせばすべてを無くし、まともな埋葬もされないまま生涯を終える。父親の支配から逃れられない。乱痴気騒ぎをする息子をにらみつけ、コンスタンツェを怒鳴りつけ、だが、結局のところあの父親は息子を頼り、息子の才能を食いつぶすことしか考えていない。無邪気で浅薄で下品なモーツァルトを形成したのも、突き詰めて考えれば、あの父親なのではないか。それにしても、最後まで脳裏をエコーするモーツァルトのバカ笑いが、なんとも強烈。
10点(2004-08-19 19:51:14)
20.  ミスティック・リバー
非常に後味が悪い。一つにはラストの詰めが甘いのだ。ミステリーとしても人生を考えさせる物語としても、ものすごくいい加減に、終わりにされたような印象がある。現実の不条理を描きたいのだとしても、ああいうラストでは納得しにくい。映像も音楽も、重厚すぎるほど重厚。ただ、ミステリーとしてはストーリーがイマイチなので、演出に騙されたような気がしてしまう。作り込んだ映像も素晴らしいカメラワークもあざとい演出に感じるし、なんというか、すべてがクドイという感じが強い。この題材でココまで作り込む必要はないんじゃないだろうか。これが現実だ、という諦観をしたいようにも思えないので、イーストウッドが何故この映画を作ろうと思ったのか、よく分からない。ショーン・ペンの演技が過剰で、これ見よがしで、うざったい。その分、大学出の、きちんと捜査を行う刑事などという珍しい役を振られたケビン・ベーコンの存在感が出ているし、ティム・ロビンスの演技の秀逸さが光る。三者のバランス、という意味では、これで良いのかもしれない。セレステとアナベスという二人の妻も、最初は似ていてだんだん対照的になり、最後はハッキリと明暗が分かれるというのが印象的だった。
6点(2004-08-17 11:17:01)
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