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光りやまねこさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 418
性別 男性
自己紹介 1959年生まれの48歳。
神戸市近郊に在住の、映画をこよなく愛する
市井の人であります。
ま、コツコツとレビューしようと思ってます。

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1.  タクシードライバー(1976) 《ネタバレ》 
冒頭のタクシー会社での面接からわかるよう、トラヴィスという男は世間一般の感覚からいうとかなりズレている。ベッツィを誘った時もそうだったし、シークレットサービスとのやり取りなんてほとんどイカレている。ベトナム帰りで不眠症という設定もそうだが、ロバート・デ・ニーロがこのアウトロー的な役に大いにハマっておりアブナイ雰囲気充分である。このような性格の持ち主が、社会に受け入れられず孤独と疎外感にさいなまれるとなると、常人では理解し難い行動に出るのであろう。オレはこのままでは終らない、何かひとつ大仕事をやってやる…。この映画のように一躍ヒーローに躍り出るか、狂気じみた犯罪者になるかどうかは両刃の剣。つまり何かが引き金となり、ゴミのような連中を拳銃で片っ端から一掃することだってあり得る。普通の感覚の持ち主だと、そんなものは都会の産物なのでしょうがなく、警察や政治家にまかせればよい事だと納得する。ところで、何事も無かったかのようなエンディングシーンからすると、この出来事はあくまでもトラヴィスの願望であり妄想として見てもおもしろい。またスコセッシ監督の夜のニューヨークを演出する、映像と音楽による巧みな雰囲気作りも、この孤独な男のストーリーによく似合っていた。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 21:07:51)
2.  史上最大の作戦 《ネタバレ》 
歴史的事実を題材にした戦争映画では、変にスター俳優を揃えてしまえば本来作品の持つテーマ性から離れてしまう。しかしユーモラスなシーンを取り入れたり、スター俳優を目立たせたりと、娯楽的要素の強い作風が観客に受け入れられたのかもしれない。また、4人の監督がそれぞれの国からの視点で撮り上げている割りには、作品全編に違和感は無く良くまとまっている。それにしても、この映画を見終えて思ったのは、連合軍側の無謀としか言いようのない戦法です。独軍が最も油断するであろう、悪天候の合間を縫った夜半からの奇襲は悪くないと思います。だけど、パラシュート部隊は地上からの格好の標的となるし、マシンガンが待ち受けているノルマンディー上陸なんて予想どおりの展開。多大な人的犠牲覚悟で臨む人海戦術だと、敵軍もやがて弾切れとなりいつかは突破出来るでしょう。第3波、第4波と兵をジャンジャン送り込めばよいわけですから。これは素人の発想なんですが、まずはドイツ兵が待ち構えている沿岸の拠点を、上空からのじゅうたん爆撃もしくは戦艦からの砲撃などで一掃する。それから、内陸へ向け怒濤のように兵を送り込む。これが本筋のような気がしますが。まっ、そんなこんないろいろ考えさせられる戦争映画だと思いました。
[DVD(字幕)] 7点(2007-08-19 21:03:04)
3.  ヴィレッジ(2004) 《ネタバレ》 
シャマラン作品のオモシロさのひとつは、台詞やシーンひとつひとつにヒントが隠されており、それをつてにジワジワと謎を解いてゆく過程にあると思います。そしてどのような結末が用意されているのか? まっこれは、評価のわかれるところでしょう。演技力確かな俳優陣、物語全体を包み込む哀しい音楽など、作品そのものがしっかりした作りになっているところが良い。銃と薬物の蔓延に脅かされる市民生活。大国アメリカが抱える闇の部分が下地となり、登場人物達も決して「目には目を」という思想の持ち主ではありません。この辺り、いかにもシャマラン監督らしい。短編ミステリーの小ネタとも受け取れるアイデアを、自らのイマジネーションを駆使して原稿を作り上げる。そしてそれを監督として作品化させる。やはりこの人、才能はあるなぁとつくづく思いましたね。その一方、怪物の造形なんですが、お世辞にもセンスがあるとは言えませんね。(何やら洋風ししまいみたいだったゾ) それともうひとつ。冒頭、1890~1897年と墓碑に刻み込まれてあるシーン。時代設定からすると、ちょっとズルいような気もしなくはないが…。
[映画館(字幕)] 7点(2007-07-20 18:17:30)
4.  宇宙戦争(2005)
見上げるほどドデカいトライポッドが人々を襲う様は、まるで捕獲から加工までする食肉工場のようだ。リアルで迫力ある描写はさすがスピルバーグというところだし、スリリングな演出においては言うまでもないでしょう。もっとも個人的には、無駄を一切省いた斬新なデザインの戦闘マシンがスクリーンを占める、1953年版「宇宙戦争」の方がはるかに衝撃的だったし、いつまでも記憶に残る。本作は、冒頭から察するとどのような結末で終えるか、SF好きならおおよそ見当が付きます。また宇宙人による襲撃という題材からすると、過去の幾多の作品からわかるよう、ある意味決まりきった展開にならざるを得ないかもしれません。同監督による「ジュラシック・パーク」は、アイデアに見どころ共々ギッシリ詰まったファミリー向けSF映画の名作だった。(「未知との遭遇」「E.T.」もまた記録されるべきSF映画です) 監督には申し訳ないが、今作はさほど新鮮味の無いSF映画にしか映らなかった。
[DVD(字幕)] 6点(2007-07-20 18:04:05)
5.  オリヴァ・ツイスト(1948)
オリヴァ・ツイストの運命を予見させる、ただならぬオープニングシーンからしてゾクゾクさせてくれる。本作ではセット美術とカメラワークが特に素晴らしく、いかがわしいロンドンの下町の雰囲気が存分に味わえる作りになっている。しかも子供向け映画にもかかわらず、全く手を抜くことなく丁寧に描き込まれていることにも感心します。孤児たちを食い物にするスリ集団の頭や孤児院の役人達。そんな大人世界にも悪人だけではなく、心優しき善人もいる。各登場人物の色分けがはっきりしているので、子供目にも分かりやすい。(とくにアレック・ギネスが演じるフェイギンなんて見た目どうりの悪党ぶり) また幸、不幸はまさに紙一重ではあるが、最後まであきらめず頑張れば幸せを掴むことが出来るという、子供たちへのメッセージ性。溜飲が大きく下がるスリリングな結末は、これぞっ少年少女向け感動物語。やはり原作者が文豪ディケンズだけあり作品そのものに深みがある。そしてリーン監督の大人の視線から観ても飽きさせない演出にただただ脱帽。本作は再三リメイクされたりで、いかに観客の心を掴み愛される物語であるかわかると思います。家族向け映画のお手本であり名作です。
[DVD(字幕)] 10点(2007-05-18 21:33:47)
6.  第十七捕虜収容所 《ネタバレ》 
邦題から察すると、スリリングな脱走もの、あるいは重厚な戦争ドラマを期待してしまう。が、しかし作風はと言うと全体的にコメディ色が強く、とくにコンビ二人の演技がしつこくやり過ぎ。辛辣な風刺を効かしているわけでもなければ、驚愕のラストが用意されているわけでもない。ともあれ本作は、何人もの兵隊が射殺されるという戦争映画。このような作調だと題材が題材だけにシラけてしまい、距離を置き冷めた目で観てしまうわけなんですよね。うーんそうかそうか、本作はもともとブロードウェイのヒット舞台劇を映画化したものなのか…。色分けした個々の登場人物、数々の小道具に趣向を凝らしたプロットなどなど。この辺り、やはりビリー・ワイルダー監督らしいとは思います。裏切り者、あるいはスパイは誰でしょう? まっ気楽に見れる群像劇というところでしょうか。
[ビデオ(字幕)] 6点(2007-05-18 21:29:53)
7.  ALWAYS 三丁目の夕日
オープニング、子供達がゴム動力の模型飛行機を飛ばすシーンなんか思い出しては胸が熱くなった。(私も子供の頃、友達とよく原っぱで飛ばしたものです) 集団就職で上野駅に到着するまでのくだりなんかはなかなかの出来で、ジーンと目頭が熱くなった。CGによるバーチャルな世界と俳優達が上手く溶け込んでおり、本作の売りともいえる昭和30年代へのタイムスリップ感が十分に味わえた。このように、観客の期待を裏切ることなく丁寧に描かれているところに好感が持てます。物語はといえば、昔懐かしの人情喜劇。鉄火肌だが働き者の鈴木オート。ぐうたらだがお人好しの茶川竜之介。この対照的な気質の持ち主である二人の日常生活を並行させる展開もオモシロイ。場内が感涙のるつぼと化すラストの愛情劇は少々くどい気もしなくはないが、まっこの辺り大目に見ることに致しましょう。日本映画だって製作サイドがその気になれば、客の呼べる良質な作品が作れます。本作はそのお手本みたいなものでしょう。そんなノスタルジック充分な本作に、ちょっと甘いが9点を付けさせていただきます。
[映画館(邦画)] 9点(2007-02-17 00:25:38)
8.  キング・コング(2005)
前回のリメイク作「キングコング」(76)は、見どころが多いとはいえないやや甘口な作品だった。ところが本作は、キングの名にふさわしくコングの暴君振りが味わえるやや辛口な作品となっています。期待に応えてのクモガニのシーンに、コングによる肉食恐竜たちとの格闘シーンなど見せ場たっぷりというサービスぶり。まぁこの辺り、自由に描けるCGだから為せる技であり、人物以外全編その大部分がCGによる絵づくりと思われる。つまり、バーチャルな世界を背景に俳優たちが別枠で演技をしているということを、見る側に意識させてしまうわけなんですよね。こうなると、昨今多量に輩出されている冒険ものやファンタジーと似たり寄ったりのカテゴリーに収まってしまいます。とは言うものの「コング」大好きな私としては、オリジナルにリスペクトを払った作りには好感が持て、劇場で最後まで楽しんで見たのは事実です。
[映画館(字幕)] 7点(2007-01-30 23:45:49)
9.  クイーン・コング
SF、特撮好きなら知る人ぞ知るカルトムービーなんだが、近所のレンタルビデオ屋に置いてあるでつい借りて見てしまった。これはもう噂にたがわぬ珍作。どうやら5年程前から25年の歳月を経て、ビデオやDVDなんかで出回っているみたいですね。76年当時、特撮映画の金字塔「キング・コング」(33)のリメイク版「キングコング」(76)を配給する際、ハリウッドの某大物プロデューサーがこの珍作の上映を阻止したらしいですが、その心情よーーくわかります。そんな誉れ高い名作中の名作をセンスのかけらもないパロディー調で仕上げており、これはもう断罪ものですよ。それと、70年代を席巻したウーマンリブをベースにしているわけですが、これも思いっきりパロッているしか見えませんね。そう、すべてをコキ落とすという徹底した作調。それにしても、こんなシロモノを世に出したフランク・アグラマってとんでもない奇人変人かも知れませんよ。
[ビデオ(吹替)] 2点(2007-01-30 23:41:01)
10.  東京原発
東京のど真ん中に原発を誘致するという切り口はオモシロイ。が、しかし都知事を演じるのが役所広司だとマッドな都知事であろうはずがなく、案の定という感じで進んでいく。これは明らかに現都知事石原氏を讃える意図が見え見えで、作り手の体制になびく姿勢がイヤラシイ。それではサスペンス部分はどうかというと、演出が弱々しくしかもコメディ調も手伝い緊張感に欠けます。いうまでもなく、原発反対派の教授一人が都合の良い不要論を気持ち良く一方的に述べるだけでは見ていて説得力がありません。反対派に推進派、双方の専門家達が素人目にもわかるようお互い意見を述べ合いぶつけ合い、白熱する激論のシーンがあってこそ盛り上がりなお且つ考えさせられ、作品に説得性を持たせるのではないだろうか。つくづく思うわけですが、日本国内に数多くの原子力発電所が存在するという戦慄すべく事実。実は極めて重大かつ身近な問題であり、放射能漏れによる大惨事が今日明日にでも起こってもおかしくはありません。ま、本作で評価出来るのは「太陽を盗んだ男」(この映画はスリリングで、しかも面白く作られておりお薦めの1本です)以来、邦画でひさびさに原発という一筋縄ではいかない難題を取り上げたことぐらいですかね。ん、でアンタはどっち派だって? もちろん反対派です。
[DVD(邦画)] 4点(2006-12-26 00:06:50)
11.  戦場にかける橋 《ネタバレ》 
歴史的な実話を題材にした戦争映画というものは、実話にどのくらい基づいているか正直気になるところです。しかしこの映画はいろいろな意味で史実と大きく懸け離れているらしく、何よりも橋は爆破なんかされていなかったという。そのような切り口からこの映画を語ると、リアリティのない夢物語に過ぎないと映るかもしれません。ところが映画を出来る限り楽しみ味わい、多様な切り口かつ柔軟な発想で臨み史実のひとつにヒントを得た監督デビッド・リーン創作の戦争物語、と受け取ると話は別となります。敵国日本に対しても敬意を払った作風になっており、リーン監督の壮大でヒューマンな演出は賞賛に値こそすれイヤラシさも違和感も取り立てて感じることもない。それでは作り手が最も訴えたかったラストのクライマックスはどうであろうか。河の水位が下がった夜明けから始まるスリリングな演出は、人間ドラマとサスペンスが渾然一体となっており見る者を唸らせる見事な展開である。唯一自分というものを見失わず常に局外者でいようとしたクリプトン(ジェームズ・ドナルド)。敵味方が入り乱れ殺し合い、一瞬のうちにすべてが破壊され無になるという信じられない光景を目の当たりにする。「バカな。信じられない。」と発するその言葉に、戦争という愚かな行為を凝縮させているのは言うまでもない。
[DVD(字幕)] 9点(2006-10-19 13:01:00)(良:1票)
12.  グローリー 《ネタバレ》 
奴隷制度が廃止となる北軍の勝利というのは、長いアメリカ黒人史の中でもとりわけ重要な位置付けにあるものと思われます。またそれは他国の者が想像する以上に、黒人にとって勝利しなければならないものだったに違いない。この映画では、奴隷として酷使される黒人の様子がワンシーンでさえ挿入されていないので、他国の者からすると、黒人の白人に対する憎悪の気持ちや志願兵となりたがる動機付けなどが少々理解しにくいかもしれません。その辺の事情は「ルーツ」(映画ではなくテレビドラマだがよく出来た作品です)なんかを見ると、白人の手によりアフリカから捕獲され家畜同然のように酷使される黒人の様子が描かれているので、彼らの気持ちがよーくわかります。黒人の犠牲で成り立つ既得権益を執拗に維持しようとする南部の白人、それに対し、ただ人間としての自由と尊厳が欲しかった黒人という両者との構図。黒人志願兵たちの言う我々すべての黒人の為に戦うという言葉はズッシリと重く、またラストの玉砕覚悟の突撃シーンは感動的ですらある。事実、人間が生み出す“悪”が存在する以上、侵略なんかではなく正義の為の戦争もあり得るのだ…この作品を見終えてそんな事を思いました。
[DVD(字幕)] 8点(2006-09-30 00:10:38)(良:1票)
13.  天国の門 《ネタバレ》 
大作風に仕上げ凝りに凝った作品を世に出したいというチミノ監督の気持ちはわからなくはないが、冒頭の卒業式からダンスシーンまでの前振りは確かに長い。また、ストーリーの合間合間に表れるラブシーンも少々くどい。描きたい題材としては20年後に繰り広げられる封印しておきたい史実だけなので、序盤のダンスシーンやくどいラブシーンなんかは思い切ってカットしても良かったのではないだろうか。(ビデオ鑑賞で210分という長尺だった) しかし、同監督による前作の「ディア・ハンター」でもそうであったように、主人公達は幸福の絶頂から予想だにしない悲劇が待ち受けることになる。この天国から奈落の底へという図式はチミノ監督の作風ではあるが、今作もしっかりと踏襲されている。ところで、本作がラジー賞受賞という烙印を押され、しかも興業の失敗から配給元であるユナイト映画を倒産に追い込んだという。たしかにアメリカ人(とくに保守勢力)にしてみると、ほじくり出されたくない開拓史なのはまぎれもない。むしろ、当事者である米国以外の国で正しい評価を受けるべき作品なのかもしれない。
[DVD(字幕)] 7点(2006-09-30 00:07:33)
14.  吸血鬼(1931) 《ネタバレ》 
主人公の青年が旅先で吸血鬼を退治するという物語だが、現実と非現実が交錯するためとりとめのない夢を見ているかのような錯覚に陥る。そのため理屈でもってストーリーを追うと、釈然とせぬまま話は進み幕が閉じてしまう。むしろ、この映画はイマジネーション豊かな主人公がある夜に体験した夢の一部始終、と受け取り鑑賞すると不思議な魅力に満ち満ちている。冒頭の死神のようなシーンからして不気味だがシュールな雰囲気を漂わしており、途中、死霊たちであろうか音楽に合わせて楽しそうに躍る様子が影絵みたいに映し出され、作り手のセンスの良さを充分に感じ取ることが出来る。また主人公の青年が死体となり棺で運び出されるシーンがあるわけだが、その時の窓を通して映る外界の何と郷愁を誘い神秘的なことか。つまりこの感覚、理屈ではなく感覚に働きかけるよう作られているわけです。モノクロ映像が放つ魅力を知り尽くした光と影の巧みな共演。(本作ではある意味、影そのものが主役とも言える) 薄気味悪いオブジェに、音楽はもちろん効果音でさえも味わい深い。深夜に鑑賞すると雰囲気満点で、監督カール・ドライヤーが描く幻想的な空間を心ゆくまで堪能できる。
[ビデオ(字幕)] 10点(2006-09-24 11:42:18)(良:1票)
15.  フランケンシュタイン(1931)
皆さんのおっしゃるとおり有名なシーンが数多くある怪奇映画の古典ですね。人造人間の造形はもちろんのこと、別監督の手によりリメイクされたりでいかに映画人に愛されているか見ておおいに納得です。(怪物というより、あえて人造人間という言葉を使わさせていただきます) 人造人間が少女と花遊びをするところや炎上する風車小屋での哀しいラストなど共に有名ですが、個人的にはフランケンシュタイン博士が人造人間を蘇生させるまでの過程が好きなんですよね。こだわりにこだわったケレン味たっぷりな実験装置に凝りに凝ったセット美術。怪奇物の雰囲気をこれでもかと言わんばかりに醸し出しておりゾクゾクさせてくれた。科学が今現在のように発達していない当時、死体に強力な電気エネルギーを与えると生き返るのでは、と本気に思った観客は少なからずいたのではないだろうか。そのくらいハッタリ度充分な演出です。またこの映画は単なる恐怖ものではなく、神をも恐れぬ科学の暴走が悲劇をもたらすという側面を持っています。ところが、同じホエール監督が手掛けた続編(むしろ番外編という感じだったが)「フランケンシュタインの花嫁」では、笑うに笑えないブラックなトーンに包まれたパロディ色の強い作風となっており、両作品のその余りの方向性の違いに唖然としたのを覚えています。
[ビデオ(字幕)] 8点(2006-09-04 00:35:28)(良:1票)
16.  吸血鬼ノスフェラトゥ(1922) 《ネタバレ》 
深夜でも昼間のように明るいという発想は一瞬面喰らうが、奇怪な白昼夢と受け取ればイマジネーションが喚起されてオモシロイ。この当時のヨーロッパ、何がオソロシイといえばペストやコレラなどの疫病の蔓延だったに違いなく、その眼に見えない恐怖を兼ね合わせることにより吸血鬼の悪夢的イメージを増幅させている。この作品を見た当時の観客(とくに女性)は背筋が凍り付くほど怖かった違いない。物語はといえば、恋人の無償の愛こそが悪鬼を滅ぼすという溜飲の下がる古典的スタイル。しかし本作で特筆すべきは、吸血鬼ノスフェラトゥの一度見たら忘れられないその何とも形容のし難い姿かたちに尽きるでしょう。尖った耳に枯れ枝のような細長い指、フロックコートに身を包んだ吸血鬼が棺からスゥーっと起き上がる様はゾッとするほどの不気味さである。その一方、「大事な血が」といって来客の切り傷の血をチューとすすったり、自分の寝床である棺を抱えていそいそと引っ越し先に向かったりするなどちょっとユーモラスな一面も垣間見える。怪奇映画の古典に登場するキャラクターとしてはある意味カリガリ博士を超えるインパクトを放っており、コワいが味のあるお気に入りの一本です。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-09-04 00:32:36)(良:2票)
17.  ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 
ラストにより評価が大きく分かれるタイプのミステリーですね。基本的にこのテのオチは認めたくありません。というのは真面目に見ると、鍵となる人物や小道具などかなりの伏線がパーになってしまいますから。となると見終った後はまぁ5点ぐらいか…と、最初はそのように思っていたわけなんですが、それがジワジワと考え方も評価も変わってくるんですよね。作風そのものはサイコスリラーの様相を呈しているが、妻も子もいる一人の男の悲しい物語と受け取れば何ともいたたまれない。遠く離れた異国の地で男は一体何を見て何を体験したのか。シュールリアリズムを取り入れた悪夢のような表現は独創的で(とくに担架で病院内を移動させられるシーンなど)、戦争による悲劇性が充分に伝わってくる。時が経つにつれ、視点も評価も変わってくる作品ではないだろうか。
[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-15 23:22:16)
18.  血槍富士
「私は酒で◯◯を棒に振りました。この世に酒というものさえなければ・・・」 私のまわりにも現にいました、こういう人。シラフならホントにいい人なんだが、いったん酒が入ると別人のように人が変わった。それはさておき本作は、庶民の観点から描いた時代劇として完璧といってよいほど良く出来ています。冒頭早々より主要登場人物をカメラでゆったりと捉える。袖振り合うも他生の縁、みなさん渡し船にこじんまりと収まる。そしてこれらの登場人物が、物語が進むにつれすべてつながってゆく。作品そのものはちょっとユーモラスな作風で、富士を背景に描かれるは天下太平の世。さしずめ人情味溢れる和風ロードムービーと言ったところか。監督はあの邦画史上に燦然と輝く人間ドラマの傑作「飢餓海峡」を世に出した内田吐夢。縁日や旅籠の味わい深い雰囲気描写、多彩な人間模様の数々、庶民に向ける温かい眼差しなどなど、巨匠の名にふさわしく人の描き様が感心するほど上手い。しかも、中国抑留をはさむ10年余の空白を全く感じさせることはない。個人的にはやはり、月形龍之介演じる藤三郎の話が意外性も手伝い大きく胸を打ちましたね。ラストに用意された、青天のへきれきさながらの斬り合いのシーンも迫力充分。あの息づかいといい、見ているこちらまで仇討に参加しているみたいだ。そしてエンディングシーン、骨箱を抱えてトボトボと去ってゆく権八(片岡千恵蔵)の姿がなんともダサカッコイイのだ。まさに異色のヒーローが絵になる時代劇の傑作。
[ビデオ(字幕)] 9点(2006-02-11 23:32:43)
19.  マークスの山
オープニングの雪山のシーンから、タイトルが表示されるまでの一連のシークエンスは秀逸。高村薫の同名小説の映画化なんだが、これが一回見ただけではどうにもわかりづらい。(原作は未読) おそらく小説では登場人物も多種多様で、著者の思想もかなり盛り込まれているものと思われる。冒頭の組員殺害のくだりは良いとして、途中皇民憂国の会なる者が刑事を刺したり、さてまた組員の発砲を絡めたりでこれらが話しをややこしくする。本作では重要であるはずの、内ゲバ時代における人間模様が浮き彫りにされておらず、警察内部のゴタゴタとか本筋とは関係のないところを描き過ぎている。映画は小説とは鑑賞スタイルが違い、劇場で一回見て観客が満足するかどうかで決まる。しかも2時間前後という枠組の中で、必要でないものをいかに削り落としまとめ上げるか。そのために脚本というものがあるわけだから。それと、はねっ返り刑事役の中井貴一はミスキャストでしょう。この人、生真面目なエリート役が似合い最後まで違和感がつきまとった。サスペンスの題材としては申し分なく、しかも独特のもの悲しさを放っていただけにもったいない作品です。
[映画館(字幕)] 5点(2005-11-20 23:46:31)
20.  北京原人 Who are you?
つまらない映画というものはレビューする気など起こりません。が、本作は違った。これぞっ迷作って感じの映画です。東映の岡田社長が、東映はじまって以来の愚作と言ったのもうなずけます。緒形直人がいきなりフランスパンを原人に差し出すかと思えば、片岡礼子が突然裸体を披露。何やら原人が片岡礼子をテゴメにするシーンもあったぞ。その時の丹波哲郎の台詞がまたスゴイ。「科学者なら身体を張って原人の子を産め」って丹波さん…。何だかもう酔っぱらって一晩で一気にぶっ書いたかのようなシナリオに、呆気に取られるシーンの連続。それにしても舞台と設定が目まぐるしく変る。このような日本映画に出くわすたびに思うんですが、日本にもぜひゴールデンラズベリー賞みたいなものが欲しいですね。邦画界にもそれぐらいのユーモア精神があっても良いと思いますよ。(もっとも、週刊文春より「文春きいちご賞」なるものが本年より作られたみたいですが) 突っ込みどころ満載なので発想を切り替え、さぁ~突っ込むぞと一風変わったモノが好きな方にはある意味おすすめです。(責任はもてませんが)
[ビデオ(字幕)] 4点(2005-11-03 23:52:47)(良:3票)
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