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プロフィール
コメント数 21
性別 男性
自己紹介 どんな作品でも何かをつかみ取れるように、真摯に楽しく見続けたいと思います。

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1.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 
 2016年は本当に良い映画に出会えた年であった。「シン・ゴジラ」を見たときに、庵野秀明監督の素晴らしい実写作品に今年はこれで決まりと思ったのも束の間、今なお記録を塗り替えている新海誠監督の「君の名は。」が素晴らしい作品で思わず2回見ることになった。◆しかしこの2作品すら霞ませる作品が姿を見せた。「この世界の片隅に」という控えめなタイトルと水彩画のような淡く上品な絵柄をまとうこの作品、しかしその中身は見る人の心を揺さぶる傑作である。◆舞台は第二次世界大戦中の広島。この設定だけで身構える人がいるだろうが、その必要は全くない。主人公であるすずとその周りの人たちは、配給が少なくなろうと、空襲が来ようと、憲兵にいびられようと、日々の暮らしを淡々と過ごしていく。時に慌てながら、そして笑いも交えながら。たとえ戦中でも、人々の営みは何ら変わらないし、変えられないのだ。ある日不意に訪れる不幸。でも、すずはただ、前を向いて歩んでゆく。ただ、それだけのお話。◆見た後に残る思いは人それぞれだろう。自分の場合は、家族4人が毎日無事に一つ屋根のもと過ごせることの幸せを改めて実感させてくれた。そして、震災や災害の後、悲しみに耐えながらも歩み続ける人々の思いを代弁してくれているようにも思えた。◆大きな災害が起こる度に、海外の方から日本人が賞賛されるのだが、自分自身なぜそうなのか正直理由は分からなかった。しかし、この映画に、答えがあるような気がするのだ。守りたいのは、国のメンツでも、海外からのイメージでもない。日々の暮らしと、大切な家族、それだけなのだ。そして、このことは、この世に生を受けた者すべての想いのではないだろうか。◆国内のみならず、多くの国の方に見て欲しい、そして、世界の片隅で日々紡がれる生活が壊れないように考えるきっかけになれば良いなと思う。今まで見た映画の中で、ベストと言って良い作品。
[映画館(邦画)] 10点(2017-01-10 02:11:00)(良:3票)
2.  君の名は。(2016)
実はこの作品「シン・ゴジラ」上映前の予告を見るまでは完全ノーマークであった。前作「言の葉の庭」をテレビで見て、印象的な画だが話のテイストはちょっと合わないかな、という印象を持っていた。◆週末のチケットがほぼ完売だったため、代休の月曜朝に鑑賞した。それでも700人の箱に半分くらいは入っている。(中高生も運動会の代休が多かったのかもしないが)◆結論、翌週の連休のレイトショーに再び見に行くことになるとは・・・。画の美しさは言うまでもない。光の変化が短い周期で変わる黄昏時や時間を早送りするときの空と町の表現などは新海監督の持ち味全開だ。◆今回、画以上に素晴らしいのが「音」の使い方が圧倒的に上手いこと。音楽は邪魔にならず、良いタイミングで歌曲が入る。歌詞も所々にキーワードがちりばめられており耳から物語を補足する。サントラ盤を買ったのだが、CDを買うのがもう何年ぶり。それほどのインパクトだった。主題歌と劇中曲は別の作家が担当するのが通例のところ、今回はRADWIMPSがすべてを担ったことで、作品全体の音が実に心地よい。◆キャストの演技も見事で、主演2人のセリフのユニゾンは鳥肌が立つほど。最初と最後、セリフを重ねることで物語の始めと終わりを表現したのは特に印象的。◆ストーリーについては多くは語らないが、原作なしのオリジナルストーリーながら、破綻せず、わかりやすくまとめ上げたと感心した。劇中で描かれる災厄で多くを考えさせ、しかしメインの話を邪魔しない、むしろ主人公を突き動かす感情の原動力とした表現は、この監督の持つ物語作りの真摯さを現している気がする。◆テレビで見ても恐らくこの作品の持つ美しさは変わらないが、是非大きいスクリーンといい音の劇場で見て欲しい作品。
[映画館(邦画)] 9点(2016-10-10 14:48:39)(良:1票)
3.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 《ネタバレ》 
◆上映直前まで試写評やレビュー記事も全く出てこない、情報統制がなされていた本作。実のところ、期限ぎりぎりまで手を入れていたと言うだけあって、インパクトは想像以上の仕上がりだった。◆「叛逆」というキーワードがタイトルにある以上、世界観をひっくり返す事は想定されていたが、謀反を起こしうる人物はある程度限定される。動機が予想と大きく異なり、最後まで見事に騙された。◆前半の至る所に不自然なカットを紛れ込ませてあり、見る度に発見のある芸の細かい作りに圧倒された。特に印象的なのは「不気味な飛行船」と「おかしな遠近感を含んだ描写」。空飛ぶモノはジブリの専売特許だが「夢と希望」から「絶望」を示す小道具として秀逸。遠近感も、ありえないモノがさりげなく描かれており、舞台空間の異常性を的確に表現している。◆前作までの観客を驚かせるエンタテイメント部分も忘れていない。主要人物5人そろい踏みやお菓子の魔女の活躍などの展開が楽しい。5人の変身シーンは影絵やコラージュに動きの多いデジタルアニメーションを足すという、20世紀から21世紀をまたぐアニメ技術史的表現が印象的。◆この作品の売りである「異空間」表現はさらに尖鋭さを増し、体感的には上映時間の7割以上を占めている感も。予算と時間が許すならこの空間のクリエイターである「劇団イヌカレー」を主にした3D作品をぜひ見てみたい。◆アクションシーンも異空間と言う事で物理制約にとらわれないアクロバティックな表現が見事。特に中盤の銃撃戦は「マトリックス」を思い出した。このシーンだけワーナーの洋画で実写として使ってくれないかな。◆後半のネタバラシが「キュゥベェ大いに語る」状態であることは減点。難解な用語の嵐になってしまった。ここで振り落とされた人も多いのでは。あと2~3分足してでも、絵で見せて欲しかった。◆既存作の評価と固定観念に対する作者たちの叛逆。そう読み取れば、本作は完結ではなく、「マギカ・サーガ」の始まりかもしれない。◆オスカーレースにもエントリーしたようだが、明らかな異色作。ファイナリストに残る可能性は厳しいだろうが、日本アニメーションの叛逆児として暴れて欲しい気もする。ジブリだけではないのだと。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-14 09:38:00)(良:1票)
4.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語 《ネタバレ》 
◆いきなり数学の用語で申し訳ないが、空間図形で「ねじれの位置」という言葉がある。中学生で習うのだが、2つの直線が平行でもなく、交わる事もない位置関係の事を言う。◆この作品では「ほむらの願い」と「まどかの願い」が、まさに「ねじれている」のだと思えるのだ。取り柄もない自分が役に立ちたくて、魔法少女に傾くまどかと、取り柄もない自分を守ってくれたまどかを守りたいと願うほむら。この両者の思いは接しそうで接しない「ねじれた」位置関係。◆大人になると何でも無い事でも中学生や高校生の頃はとてつもなく大きく感じられる、ある種危うくて尊い純粋さ。それを魔法少女のひな形を借りて描いた事が、まさに同じ世代の中高生からかつて同じ思いを抱いた大人まで、胸に響いたのだろう。◆途中、何回も失敗してしまうほむらの時間軸は残酷そのもの。絶望から魔女化したさやかに自爆して添い遂げる杏子、死を悟り錯乱する巴マミを一撃で倒さなければならないまどか、魔女になりたくないという最後の願いに応えるために引き金を引かなくてはならないほむら…。今の子どもたちを見ているとありえない設定ばかりだが、ほんの数百年前、人生が40年近くで閉じていた時代の14,5歳は、きっとこんな厳しい判断を迫られていたのかもしれない、と考えれば、やはり胸が痛い。◆そして最後、まどかの決意でルールを書き換える一方で、自分は消えてしまうというまとめ方で物語を閉じた。日常のシーンや何気ない伏線が、このラストにつながりきちんと収束させたところは本当に見事な終わりだった。◆この作品の感動のポイントは人それぞれだろう。自分の場合はOPのまどかの成長過程が反則と思える感動ポイントだった。筆者の息子も執筆時点で3歳だが、どうしても重ねてしまい、親目線で見てしまうのだ。そうやって見ると、本当に悲しく切ない話に思えてしまうのだ。◆どうか、まどかやほむらの同世代の人たちには、こんな殺伐とした時代だからこそ、支えあえる良き友を見つけて欲しいと切に願う。
[ブルーレイ(邦画)] 8点(2013-11-14 09:33:04)(良:1票)
5.  劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 《ネタバレ》 
◆映画やドラマには「ジャンル」と言われる縛り、言ってしまえば「お約束」というものがある。これが中々曲者で、縛りすぎると「つまらない」となってしまうし、ゆるめすぎると「何だこれ?」となってしまう。つくづく観客という者は勝手な思い込みを押しつけてしまっている、やっかいな存在なのかもしれない。◆だが、そのジャンルの理を少し外れた作品にこそ、傑作が潜んでいるから侮れない。この作品を知ったのは実はテレビ版がオンエアされてから随分経った後の地下鉄の車内。中吊りが「まどか☆マギカ展」なるイベントの告知で占拠されていた。ぱっと見はほんわかした美少女たちの群像だが、タイトルの不思議な語感が気になり調べてみると、「深夜アニメ」でかなり評判どころか、文化庁のメディア芸術祭大賞までかっさらっていたのだ。それからレンタルDVDでテレビ版を鑑賞したのだが、予想不可能な世界が展開されていて、ずぶずぶと魔界に引き摺り込まれてしまった。◆「魔法少女」という4文字がすでにミスリードとなっており、見る者にある種の予断を与える。きっと魔法で何とかなる、というような、予定調和的予断を。最初は世界設定含めての説明なので、やや冗長に感じるが、ある「出来事」をきっかけに、舵は海図無き予想外の方向へ切られていく。監督が「魔法少女」の4文字にこだわったのも分かる気がする。◆物語内の世界が近代都市的な表現ならば、対比する異空間は現代美術の世界に放り込まれたような異空間。でも決してグロテスクなだけでなく、気味悪さの中にかわいらしさも含んだ不思議な空間だ。登場人物たちが予測できない一歩先を我々見る側にも与える、破壊力抜群の演出だ。もし可能なら、3Dで見てみたいくらいだ。◆本作はテレビ版の再編集だが、テレビ版編集者による編集と言う事で流れのつかみやすいまとめになっている。編集者の腕は作品の流れを大きく左右する。分かりやすく見やすい流れだ。◆物語は人間の持つ「愛憎」「明暗」など、相反する2つの思いを軸にドラマが紡がれていくが、登場人物は最小限に絞り込まれているので混乱する事はないだろう。14歳の少女が背負うにはあまりにも酷で重い選択。そこにつけ込むキュゥべえのロジックが現代社会へのある種の皮肉を含んだ暗喩として考えさせられる。◆物語全体の印象については後編に譲るが、見た目で避けるにはもったいない作品だ。
[映画館(邦画)] 8点(2013-11-14 09:28:18)
6.  地獄でなぜ悪い 《ネタバレ》 
★東映系シネコンでジャンル関係なく予告が流れていたので凄く気になっていた。予告だけで何回見た事か。かなり力入れてるみたい。★中身はぶっちゃけ「アウトレイジ」+「8時だよ全員集合」血糊付き、と言う感じ。映画に思い入れのない人もたぶん大笑いできるのでは。残虐に見えるシーンもあるが、映倫が『すべてパロディ』と言い切っているのできっと大丈夫。腕も頭も飛ぶし脳天に日本刀突き刺さってたりするが、わざと安っぽく作る事でマイルドに見えるのは監督の作戦勝ち。今時のB級ホラーでもやらない表現がかえって可笑しくて笑える。★キャストもみんなそれらしい味を出しながら、崩すところは大きく崩して笑わせる。國村隼に横っ飛びガンアクションやらせたかと思えば、堤真一を和装のアイドル好きヤクザにしていじってみたり。★一方で、話の端々に映画界への皮肉をちりばめつつ、夢や希望を持ち続ける事の苦しさや家族への思いを描いたりと、深くはないけどほんわか暖かいメッセージを混ぜてみたり。話の引き出しの段数が多い映画だと感じた。★監督が撮りたいように撮って、観客も楽しみながら、その奥底のメッセージも嫌みにならない程度に伝わる。そんなバランスの取れたおもしろい作品と言えるのでは。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2013-10-07 11:28:29)(良:1票)
7.  劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 《ネタバレ》 
◆泣けると評判なので、涙もろい自分が挑戦してみた。原作に関しての知識は皆無の状態。知っていたのは、タイトルが長いと言う事、幼なじみが不慮の死を遂げたが幽霊として帰ってきた、と言う事くらい。フライヤーに書いてある事レベルの知識で挑戦してみた。◆基本テレビ版の再編と言う事らしいが、初見の人間にはかなり想像力で補う点が多く、泣けそうなシーケンスであっても、中々入り込めなかった。とくに、ゆきあつの『女装ラン』は重要なエピソードだと想像できるが、一見の自分にはどん引き。ほかにも「あなる」と「つるこ」のケンカも経緯が分からずぽかーん。もっと上手い見せ方はなかったのだろうか。◆全体で11話、260分のエピソードに新規エピソードを加えて99分は尺として少し短かったのでは。もう少し上手く整理して欲しい気も。◆しかしながら、泣かせテクは中々のモノで、『secretbase』で攻めるのは反則技かと。自分はここで陥落。ハンカチ必須になってしまった。◆音楽の使い方や絵の書き込みの上手さは本当に見事。ちなみに音楽担当のREMEDIOSは80年代に松任谷夫妻のプロデュースでデビューした麗美の事。その名前を聞いて驚くとともに、音楽の良さに納得。絵の美しさも近年の作品の中でも写実的で良くできている。秩父の町並みの美しさも現地に行きたくなるような美しさで、秩父が賑わったのも分かる。現実の町も潤わせているようで、実に幸せなコラボと言える。◆ただ、現実の商品を作品に取り込む「プロダクトプレイスメント」の中途半端さは良くない。やるなら完全に許諾を得る、許諾のないものは出さないくらいの覚悟は欲しい。プロデューサーのインタビューで「信用ある商品が出てくることでこの作品に市民権を得させたい」と記されていたが、それなら許諾のない品物を一部もじって出すのは、許諾しなかった会社の名誉を逆に汚す事にはならないか。特に、テレビ放映時点から時間が経ち、劇場版を作るなら、調整を行い作品に手を入れる時間はあったのでは。数点のモノがニセモノと分かったが、現存するモノと混ざるのは強烈な違和感がある。ものすごい『惜しい感』が漂ってしまった。◆オリジナル作品と言う事で、その心意気は評価するが、細部の詰めの甘さが本当に惜しい。一度テレビ版を通して見ると評価が変わるかもしれないが、劇場版初見としてはこの点数にとどまる。決して悪い作品ではないのだが…。
[映画館(邦画)] 5点(2013-09-21 11:32:49)
8.  ホワイトハウス・ダウン 《ネタバレ》 
◆『エンド・オブ・ホワイトハウス』の記憶が薄まりつつある9月、この作品を鑑賞した。◆ぶっちゃけて言えば、作品としてはこちらの方が数段上だと思う。もちろん、ツッコミどころ満載なのは折り込み済としてだが。◆まず、各々のキャストが、みんな「それらしく見える」事。名前を言わなくても、にじみ出る「悪役臭」で、コイツ悪っ!と分かるのが何とも爽快。テロリストの切り込み隊長なんか、いかにも『悪いです』って顔に書いている感じだし。人物像も、洋画を見慣れている人なら、こんな悪役いるいる状態ではなかったかと。副大統領や下院議長や国防長官も、みんな何となく含みがあっておもしろい。黒幕臭もかなりなもんだ。◆でも、ストーリーの根底には、うっすらと家族愛や愛国心を隠し味程度に入れてみたりして、見た後のめでたしめでたし感は決して悪いモノではなかった。◆ただ、テロ行為の目的が復讐なのか、利権なのかが少し交錯してしまったところが惜しい。見せ方次第ではサスペンス色も加えられたかもしれないが、下手にいじって壊すよりはずっとまとまりよく出来上がったので、これはこれでアリかな。◆最後に、娘役の存在がストーリーを引っ張る力になっていたのが良かった。このような映画の場合、悪役とヒーローだけではどうも濃すぎるので、その調整として機能するヒロインは不可欠。そのような視点でも、他人の息子より実の娘のストーリーにした本作の方が良かった。◆エメリッヒ監督の意外な一面を見せられたような佳作。次回作は、できるかな?
[映画館(吹替)] 7点(2013-09-18 10:58:54)
9.  エンド・オブ・ホワイトハウス 《ネタバレ》 
◆今年はなぜだか『ホワイトハウス陥落モノ』が2本立て続けに公開されるというアメリカのアクション映画界。◆そのうちの1本目が『エンド・オブ・ホワイトハウス』。今回はもう1作の『ホワイトハウスダウン』を見た上で比べてみる事にした。◆劇場で見たのは6月。予告野時間に『ホワイトハウスダウン』の予告がかかり、思わずもう始まったの、と焦ってしまった。そのくらい表面は似ている。◆内容は北朝鮮の工作員が韓国大統領を**してアメリカにケンカ売る、というかんじ。北朝鮮がおおっぴらに出てくるところが今のアメリカの政治的立ち位置を感じさせる。◆主人公はある事情から前線を退いたSP。それが何故だか事件解決に1人で奮闘、と言うもろ「ダイハードのテンプレート」を使った作品。◆だからといって、つまらないわけではなく、アクションとしては見せ場連続という感じで、結構楽しめる。ただ、緊張感を煽るために人を生々しく殺しすぎなのが芸が無い。もう少し描き方に工夫をすれば良かったのに、と思う。アジア情勢を描きながら、日本蚊帳の外、と言う脚本も、ホワイトハウスのリアルさに注力している事と比べるとかなりお粗末。もっとも、すべてセリフで済ませているので、あってもなくても良いのかもしれないが…。◆娯楽作としては良い出来だが、それ以上でもそれ以下でもないので、平均点、と言ったところ。劇場のサラウンド音声で楽しむにはいい映画かも。
[映画館(吹替)] 6点(2013-09-18 10:05:47)
10.  風立ちぬ(2013) 《ネタバレ》 
◆自分がはじめて飛行機に乗ったのは大学2年の帰省の時。羽田から徳島まで、今はもう無くなった日本エアシステム。離陸と着陸の時の独特の感覚は今も覚えている。あの感覚のせいで飛行機嫌いの方も多いと聞くが、自分の場合は、何かわくわくするモノを感じた。◆この物語はそんな飛行機に魅せられた天才青年の半生記。映画内の『現実』と二郎青年の『夢(妄想?)』を行ったり来たりしながら、かけがえない伴侶との出会いと別れを絡めていく作品。◆見る前は評価が分かれていたので不安だったが、見て納得した。評価が分かれるのも致し方ないかな、と。鑑賞者の人生観や経験した事によって、大きく感動のポイントが変わってくるのだろう。自分も独身だと仮定したら、そんなに深く感銘しなかったと思う。が、嫁や幼い息子の事を思い浮かべながら見ていると、本当に感慨深い作品だと思う。◆主人公の二郎にとって、設計の仕事は大空へ飛ぶ事につながる夢。でも、決して平坦な道ではなく、目の前で無残な現実を突きつけられていく。でも、彼は計算尺と鉛筆を離さない。一方、菜穂子との時間も決して平坦なものでなく、現実は厳しい。でも、二人の互いに慈しむ気持ちはスクリーンからダダ漏れしていて、思わず泣けてきた。たとえ、結末が辛く悲しいものであったとしても。◆話の中で特に印象的だったのは、刈り上げ頭がなんだかかわいらしい黒川さん。一見意地悪そうなこの人が実に良い人で、もし叶うなら黒川さんに焦点を当てたスピンアウトを見てみたいくらい。◆仕事の後に楽しそうに議論する光景、特高にねらわれて姿を消すときのやりとり、今の日本の会社からは無くなりつつある光景かもしれない。何でも『数値目標』に置き換え、目標設定と達成に汲汲とし、不要となったらゴミを捨てるかのように仕事仲間を捨ててしまう今の日本。宮崎監督なりの強烈な提言なのかもしれない。◆主人公の声は最初は一瞬驚いたが、後になるにつれ、二郎の『誠実さ』がよく分かるものに思えた。そういう意味では、中々絶妙な人選だったような気がする。◆生きていれば、山もあれば谷もある。でも、その火が自然に消えるまで、前を見て生きる事、それが監督の最後の『遺言』なのだと最後のシーンで思えた。心に残り続ける言葉を全力で投げかけて舞台を降りた宮崎駿監督に、心からの感謝を。
[映画館(邦画)] 10点(2013-09-11 09:47:55)(良:1票)
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