Menu
 > レビュワー
 > yhlee さんの口コミ一覧
yhleeさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 110
性別 女性
ホームページ http://yhlee.org/movies/
年齢 61歳
自己紹介 韓国映画多めです。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順123456
投稿日付順123456
変更日付順123456
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  エレンディラ
ガルシア・マルケスの世界の見事な映像化。 美術、音楽、演出、演技、どれも、あまりに自分にとってツボで、だれかに頭の中をのぞかれたかと思うくらい。 怪演というほかない、イレーネ・パパス、あくまでも可憐なクラウディア・オハナ(むかし、時計の CM かなんかに出ていたんだが、覚えている人は年がばれますな(笑))、どちらも別の意味で美しかった。
[ビデオ(字幕)] 10点(2007-07-25 16:03:54)
2.  大いなる陰謀
映画的緊張感に満ちたすばらしい脚本。俳優たちの演技も文句なし。  とくにトム・クルーズは、頭脳明晰で野心家で弁舌さわやか、でも兵士たちなんて駒としか考えてない、超いけすかない上院議員ぶりがとてもよかった。妙にチャーミングなところが、かえって小面憎いというか。  ほんとうに痛ましい、切ないストーリーなのだが、こういう映画が商業ベースで出てくるところが、ハリウッドの底力だね。  まだ今年は3分の1しかすんでないが、今年の私的ベストワンになりそうな予感。ついでに、映画私的ベスト「しょうもない邦題」部門でも、だんとつトップでしょう。どこが「陰謀」やねん。責任者出てこい。
[映画館(字幕)] 9点(2008-05-03 16:14:50)
3.  耳に残るは君の歌声 《ネタバレ》 
切り詰められたセリフ、1時間30分という短さで、断ち切られるような唐突なラストシーン。だが、過剰に感傷を排除するくらいでちょうどいいのだ。歴史を描く一大叙事詩ではなく、あくまでもひとりの女性を押し流していった運命を描いているのだから。 最初のシーンは1927年、ロシアの寒村である。晩秋の底冷えする空気を感じさせるような青みがかった映像。枯れ草も人々の服装も鈍くくすんだ色合いである。だが、父といる限り、この世に不足なことは何もない。少女の笑顔がそれを物語っている。その父が出稼ぎのために、アメリカに旅立っていく。父の手にしがみつく娘。泣き叫ぶでもなく、ただその手にすがっているだけ。祖母がやさしくさとして、娘の手をほどかせる。そして、父もまた、無言で、何度もふりかえりながら歩き去る。もうこのシーンで完全にやられてしまった。 祖母との別れ、イギリスでの養父母との別れのシーンでも、さよならの言葉をかわす様子は描かれない。パリのアパートの大家で、同じユダヤ人だと知って娘をかわいがってくれた老婦人との別れも、車に押し込められて去っていく顔がちらりと映るだけである。 そして、パリから脱出するため、寝ている恋人を起こさないように、そっと支度をして主人公が出て行き、ドアを閉めた音がしたその瞬間、男の目がぱっと開く。もちろん、寝てなどいなかったのだ。ジョニー・デップのエキゾチックな美貌がひきたつラブシーンもいくつもあったが、この場面の表情がいちばん胸に残った。 陽気で現実的な美しいダンサー、主人公の親友を演じたケイト・ブランシェット。ほとんど無表情な、ふきげんなキューピーさん、クリスティーナ・リッチと好対照を成し、ストーリーを動かす狂言回しの役どころでもあった。ふだんは、よくしゃべり、笑う、華やかな表情を見せているが、恋人のオペラ歌手がパリに入城してきたドイツ軍人に、主人公がユダヤ人だとばらしてしまうのを、車の中で固まって聞いているシーンが、圧巻だった。 登場人物の話す英語は、ロシアなまり、イタリアなまり、イギリス風アクセントなどさまざまで、その響きの違いがこの物語の通奏低音になっている。最後にやっと巡り合えた父が娘に語りかける言葉が、故郷で話していたイディッシュではなく、英語だったというところが、なんとも切ない。
[DVD(字幕)] 9点(2007-07-22 15:08:25)(良:2票)
4.  落下の王国
端正で美しい映像と、ベートーベンの7番がまさにベストマッチ。これは、ぜひ映画館で見ないと。っていっても、宇都宮での上映はもう終わりなんだよね。 子役の女の子は、どこまで演技してるって自覚があったんだろうか、と思うほど自然なできで、リー・ペイスも初めて見る役者だけど、演技もルックスも、とても気に入った。 少女がアメリカで暮らしている背景には、東欧らしき別の国で、家が焼き討ちにあって父親が殺されてしまう、という話があるのだが、ユダヤ人排斥かな? と思ったが、そのあたりは詳しく説明されない。 お話と現実が入り交じってしまうあたりに、何度かくすりとさせられた。 初期の映画産業を支えたスタントマンたちへのオマージュもかいま見えて、これもまた、映画への愛情を感じる作品だった。
[映画館(字幕)] 8点(2008-11-02 15:17:11)
5.  マラソン(2005)
チョ・スンウの演技のすばらしさは、まず最初に言っておかなければならないだろう。わたしは、身近に自閉症の人や知的障害を持った人と接したことはないので、ほんとうにそれらしいのか、ということは断言できないのだが、ほかの映画の少しクールな印象のチョ・スンウとは、まるで別人だったということは、はっきりいえる。 母親役のキム・ミスクもほとんどノーメイクで、生活感がよく出ていた。まあ、生まれついた美貌はそれでも隠せないが。息子のために必死で生きていながら、孤独にさいなまれている様子がひしひしと感じられたのはさすが。 雨が降りしきる中、幼い息子の手をかざし、ふたりともびしょぬれになりながら、「雨がざーざー降ります」という言葉と、手のひらに受ける雨の感覚とを結び付けようとする母。『奇跡の人』かよ、と思ったのだが、その後何度も出てくる、手のひらに雨を受ける、手のひらに風を受けるシーンを見ると、言葉を使うことによって、社会の側に障害のある子を引き寄せる、という以上の意味があることがわかる。 「がんばる障害者」をほめたたえる、みたいなのは好きじゃないのだが、そういう「美談」が持つ臭さを、母親のエゴを描くことによって、うまく回避している。音楽がちょっと狙いすぎのような気もしたが、まあ「感動作」には違いないんで、そのへんはしょうがないかな。 人にものをあげる、もらう、というやり取りの中で、相手との距離や好意を計る、という、この社会のお約束の外にいる主人公。決して他人から食べ物をもらわない、という母親のしつけが痛々しい。それだけに、主人公の練習に伴走して、いっしょに倒れこんだコーチに、水をわたす、という行動が、大きな意味を持つのである。 映画というのは、登場人物の心情を言葉以外の方法で見せるものだ。言葉で心情を表現することがむずかしい主人公だからこそ、走る主人公の目から見た、すぎさっていく風景を輝かしく描くことで、彼の喜びが伝わってくることこそが、この映画の最大の成功だと思う。 ラスト近くのファンタジックなシーンは、『ビッグフィッシュ』のラストを彷彿とさせた。全体に笑いも多く、歓喜を描いて終わる映画である。泣けるシーンもあるのだが、それを期待していくと、肩透かしかもしれない。 脇もみなよかったが、弟役のペク・ソンヒョンのみずみずしい演技が印象的だった。
[映画館(字幕)] 8点(2007-08-19 23:33:53)
6.  ミスティック・リバー 《ネタバレ》 
重い、後味悪い、と、どこを見ても書いてある。確かにそのとおり。だが、わたしにはそれ以上に、画面を支配している静かな緊張感が印象に残った。ダレ場がなく、全編かっちりとまとまっている。 もちろん、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンと、演技者としての評価が定まった主役級の俳優を3人もすえ、ワキも芸達者ぞろいときては、だらだらした映画にはなりようがない。また、派手なカメラワークがなく、ミドルショットが多用されていること、外は明るく、家の中は薄暗いという、自然な感じの照明が、その印象を強めているのかもしれない。 種明かしは、ティム・ロビンスとケヴィン・ベーコンが解説しているボーナス映像の中にあった。彼らの解説があまりにおもしろかったので、つい同じ映画を2度も続けてみてしまったのだが、その中で繰り返し語られているのは、イーストウッド映画では、撮影はテイク1で終わり。テイク2までいけば、ぜいたくだ、ということなのだ。もちろん、俳優、スタッフの技量、また監督の彼らへの信頼感がなければ、できないことである。映画本来の力にあふれた映画が、そのような舞台演劇的とも言える手法で作られているというのは、実に興味深い話だ。 で、ストーリーのほうなのだが、主人公3人のそれぞれの夫婦関係の対比がおもしろかった。映画から教訓を読み取るのはばかばかしいが、怪しい見知らぬおじさんにはウソをついてもかまわないが、長年連れ添った妻には、やっぱりウソつくのはまずいでしょ、という話。 ティム・ロビンスの妻は、自分の夫を信じられず、自分自身の心の重荷に耐えかねて、よりによって一番しゃべってはならない相手に、その疑いをしゃべってしまう。ひどい女房だ、ではなく、それ以前の結婚生活の中で、夫が撒き散らした小さなウソが、彼女をむしばんでいたのだろう。そして、どうでもいいことでも、とりあえずウソをついてしまう習性が、子供のころ、ふたりの友達はウソをついて難を逃れたのに、自分だけ正直に話して、性的虐待という最悪の結果を招いてしまった経験によるのだから、確かに救われない話だ。
[DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 23:25:45)
7.  ペパーミント・キャンディー
ソル・ギョングのカメレオンぶりは、評判どおりすごいよ。妻役が、『大長今』でチャングムの師匠、医女長徳役の人だったのでへーという感じ。主人公の年齢設定は、わたしより2歳くらい上で、光州事件など、この時代と青春時代が重なっている人間にとっては、いろんな感慨を禁じえない。大学時代よく歌った「アチミスル(朝露)」という曲も、劇中で使われている。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 18:13:08)
8.  殺人の追憶
ネットの映画評でもけなしてあるのは見たことないくらい評判のよい映画だが、いやー、やっぱりすごかった。これは映画館で見ないともったいない。CGとかスペクタクル映像がどうのじゃなくて、画面いっぱいに広がるソン・ガンホのアップが見ものなのである。あと、パク・へイルがすごく印象的だった。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-27 18:09:37)
9.  ヘヴン 《ネタバレ》 
予備知識はほとんどなにもなく、ケイト・ブランシェット主演というだけでレンタルしたものだが、これは思わぬ拾い物だった。 約90分と短い映画で、ストーリーといえば、一組の男女が愛(復讐も広義の愛だよな)のために破滅へと突き進んでいく、というだけのものである。 彼らの行動だけを見れば、何人もの殺人を犯した挙句、自分も死に急いでるに等しいのだが、愚かにも邪悪にも無軌道にも見えないのはすごい。 ケイト・ブランシェットの名演はもちろんだが、ジョバンニ・リビジのイノセントで、それでいて暗いまなざしが実によい。リビジの父親役のレモ・ジローネが、出番は少ないにも関わらず、印象的な演技である。 舞台はイタリアで、主人公ふたりの会話は英語なのだが、それもまた、彼ら二人の世間から隔絶された立場を効果的に伝えている。 多用される鳥瞰や俯瞰。映像も緊張感があり美しい。逃亡の途中、丸刈りにしたケイト・ブランシェットは、まるで古代エジプトの王妃のように静かな美しさを湛えていた。リビジの弟役の少年の無垢な美少年ぶりがアクセントか。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 17:19:05)(良:1票)
10.  ミリオンダラー・ベイビー
なかなかに密度の濃い映画で満足できた。とにかくだれるところがぜんぜんなくて、画面にずっと緊張感がただよっている。 イーストウッドって、若いときはなんかサルっぽいなぁ、と思っていたのだけど、年取ってからのほうがかっこいい。モーガン・フリーマンの演技とナレーションが全編をよく締めてたし。ヒラリー・スワンクもこの名優ふたりにはさまれて、すごい存在感を示していたと思う。悪役ドイツ人ボクサーの面構えにも、しびれましたねぇ。 「アイリッシュは世界中どこにでもいる」というのに、ぐっと来てしまった。マギーの姓、鮮やかな緑のガウン、カソリックの教会、そしてゲール語、イエイツ。ストーリーの中で繰り返し語られる「アイリッシュ」というキーワード。だが、「俺もアイリッシュ、おまえもアイリッシュ」みたいな同胞意識べたべたな場面が皆無だったのも、よかった。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-26 08:08:03)
11.  マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 《ネタバレ》 
ギリシャ系アメリカ人の女性が、WASP の男性に恋をし、結ばれるまでの紆余曲折を描くコメディ。 原題は "Greek" という言葉が入ってるが、邦題にはそれが抜けている。 親や親戚は、同じギリシャ系との結婚を望んでいる。なにかというと一族が集まり飲めや歌え、「すべての言葉はギリシャ語に起源がある」というトンデモが持論の濃ーいおとうちゃん。。。。コメディとはいえ、わたしのように在日韓国人の、とくに女性なら、身につまされ、なかなかシャレにならない映画でもある。 主人公はふつうにアメリカの教育を受けているのだが、親の指示で子供のころからギリシャ語の課外教室に通い、そこそこ言葉もできる。「他の友だちは、ガールスカウトに行ってるのに、ギリシャ語より、わたしもそっちに行きたい」と、子供のころは思う訳なのだが、後年自分の子供を持つと、やっぱりギリシャ語を習わせる。このあたり、なんかうらやましく見ていた。 彼女と結婚するために、恋人の男性がとった手段は、「うーん、そうしないと、やっぱりムリなんかい?」ということで、ちょっとわたしには割り切れない感じだったが、マジョリティの男性という、二重に強い立場の側が、マイノリティの女性に歩み寄る、という点では、これでよかったのかも。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-25 15:49:16)
12.  フラガール
まったくノーチェックだったのだが、あるマイミクの方の日記で「激しくおすすめ」と書かれていたのを見て、急に思い立って見に行った。この時点では、監督の名前も知らなかった。松雪泰子にはぜんぜん興味なかったし、ほかの主役の女の子達は、「なんか名前聞いたことあるなぁ」程度。タイトルだけ聞くと『スイングガールズ』の二番煎じみたいだし。 しかし、これが大当たりだったのである。決して大作ではないし、アクションもラブロマンスもサスペンスもないのだが、実にバランスよく、きちんと作られた映画。役者もそれぞれの役目を確実にこなしている。 松雪泰子って、まともに演技するのを見たことなかったのだが、こんなにいい女優だとは知らなかった。都会のすれてふてくされた女が、いなかの人々のまっすぐな心に触れて、徐々に人間らしく変わっていく、なんて、実に図式的な役なのだが、炭坑町にはまったく場違いなルックスや、最初のころのとげとげしさが堂に入っているだけ、その変貌ぶりにも説得力がある。ダンスシーンも、つやっぽく迫力があって、フラをなにかの手段と見ていたダンサー候補生達が、彼女の踊りを見て、ダンス自体にめざめるという設定にふさわしいものだった。 岸辺一徳やトヨエツもよかったし、主役の蒼井優もはじめて見たのだが、表情が自然で、ダンスはちょっとバレエぽかったけど、体がきちんとできているので、安心して見られた。しずちゃんは、出てきたときこそ「しずちゃん」として見てしまったが、映画が進むにつれ、女優としてすんなり受け止めることができた。こういういい作品ででビューできたというのも、この人の持っている力かもしれない。 ストーリー自体は、「あ、次こうくるな」とわかるところもけっこうあるんだけど、エピソードが多彩で、だれ場がない。次から次へと涙腺を刺激する技が繰り出されて、観客はほとんどノックダウンしてしまうのだが、あざとさを感じないのは不思議。血の気が多いが人情に厚い(というイメージがある)、炭坑町の長屋が背景になっているせいもあったかも。 ジェイク・シマブクロの音楽も、でしゃばりすぎず、いい感じだった。 斜陽の炭坑町とダンスというと『リトル・ダンサー』なんだが、日英のマッチョな父の描き方を見比べてみるのも一興かと。 いやまったく、シネカノンから目が離せないなぁ。
[映画館(邦画)] 8点(2007-07-25 15:39:14)(良:1票)
13.  ティム・バートンのコープスブライド 《ネタバレ》 
ティム・バートン、そして、ジョニー・デップとくれば、そりゃあ見るしかない。だが、残念ながら劇場では見逃してしまった。こういう映画は色が重要だから、劇場で見たかったんだけど。 声の出演は、ほかにもバートン作品でおなじみの面々が担当している。どの人もよかったが、クリストファー・リーがやはり貫録勝ちだろうか。 生者の世界は、人形はもちろん、建物などのセットの色合いも、モノクロかと見まがうような、彩度を押さえた色調で統一されている。あざやかな色は死者の世界にこそある。夜の夢こそ真、というところだろうか。 バーキス卿の正体とか、物語の結末とかは、途中ですぐわかるのだが、バートン印全開の映像に集中するためには、安心して見られる古典的なラブストーリーのほうがよかったのだと思う。 死体の花嫁の造形もすばらしいが、単なる怨念に凝り固まった妖怪でもなく、生者の世界への執着を失った聖女でもなく、その間を揺れ動く彼女の心情がくっきりと描かれていたのがよかった。 ヴィクトリア・ヴィクターのカップルが、絵的にはいちばん地味でさみしいのだが、フリークスが主役のバートンの世界では、まともなキャラの影が薄いのはいたしかたあるまい。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-25 15:28:31)
14.  チャーリーとチョコレート工場 《ネタバレ》 
冒頭の工場の内部から外観、ウォンカ印のトラック、チャーリーの住む傾いた家、などの絵を見るだけで、わくわく。あとのほうで、ウォンカマークの赤い自転車が出てくるのだが、あれいいなー。 いくつかのエピソードを付け足しただけで、大枠は原作どおり。あのウンパ・ルンパのへんな歌もすべて原作にあるんだよね。チャーリー以外の子供たちの辿る運命も忠実に作られている。 「ナルニア国物語」の公開ももうすぐだが、今の技術だと、ほんとうにこういう長く読まれてきたファンタジーを、納得いく形で視覚化することができるんだよね。これがいいことなのか、悪いことなのかはよくわからないが。 原作では、ウィリー・ウォンカは、まるでチョコの妖精みたいで、ほとんど人間味の感じられないキャラクターだったのだが、ジョニー・デップの描き出したウォンカ氏は、白塗りでわけわからん衣装と髪形、気持ち悪い裏声の笑い声、と、フリーク性を強調しつつ、感情の部分もきちんと表現している。 彼が人間にほとんど興味がなく、とくに子供は嫌い、「両親」という単語を発音しようとしただけで、吐き気がする、という演出を、父との葛藤という原作にないエピソードで根拠付けるのだが、このへんの臭さがファンタジーにうまくとけあっていてよかった。 何十年ぶりかで生まれ育った父の家に行ってみると、街がまったくなくなっていて、生家だけがぽつんと残っている。これで、ウィリーの帰りを待って父が引っ越さなかったのがわかる。そして、部屋にはウィリーの活躍を報じる新聞のスクラップ。でも、実際顔を見ても息子だとはわからない。歯科医である父が、口の中を見てはじめて息子だと認識するのがおかしい。 前作の『ビッグ・フィッシュ』でも、父子の関係が主題になっていたが、この映画でも、母は不在である。 『ビッグ・フィッシュ』といえば、魔女役だったヘレナ・ボナム=カーターが、チャーリーの母親役で出ていた。 しかし、ウンパ・ルンパは強烈だわ。夢に出そうだ。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-25 15:24:06)
15.  ドンファン(1995) 《ネタバレ》 
美しい妄想だとばっかり思っていたら、話が現実離れすればするほど、それが現実だという傍証が出てきて、物語自体がファンタジックになってくる、という、凝った仕掛けの話である。 ファンタジックなのはいいけど、マーロン・ブランドの巨体は、往年の彼を知っている人間にとっては、ほとんど悪夢の域だな。最初は、これって特殊メイク?と目をこらして見たが、どうも本物だったらしい。着ぐるみのような体つきに、若い頃と変わらぬ青灰色の瞳が、なんともミスマッチで、なかなか不気味だった。 フェイ・ダナウェイが、けっこう愛嬌のあるもうけ役。 デップ様は、彼独特のうさんくささとロマンチックさが、見事にはまっていた。最後に、正気に戻ったと判事を納得させるシーンでは、いままでのスペインなまりがウソのようにふつうの英語になっていて、笑えた。 身近にいた青い鳥をつかまえるには、ここまでややこしい妄想が必要なのだと思うと、そんなに気楽には笑えないのだが。
[DVD(字幕)] 8点(2007-07-25 15:15:04)
16.  奇跡の夏
MOVIX のポイントがたまって、無料チケットを2枚ゲットしたので、息子達を連れて見に行った。映画や本に「兄弟仲良く」なんて教訓を期待するのは間違っているが、正直、その手の下心がなかったとは言わない。 というわけで、子供達に見せるのが主眼で、映画としてはそれほど期待してなかったんだが、けっこうやられました。数日経っても、映画のシーンをあれこれ思い出すような映画なんだな、これが。 子供が病気で死んじゃう、なんてストーリーは反則もいいところで、そんなの「泣ける」に決まっているし、涙腺刺激の技術は、韓国映画のお家芸みたいなもんである。そのへんの期待にはしっかり答える作りになっていて、涙もろい人は、ハンカチどころかタオルが必要かもしれない。子供達も、画面に食い入るように、鼻をすすりつつ見ていた。 まずは子役の演技がすばらしい。彼らの繊細な表現力には驚くばかりである。脇を固める大人達も、実力派ぞろいで、まったく浮いたところのない説得力のある演技だった。とくに、オ・ジヘがよかったなぁ。史劇でいつもかっこいいアクションを見せているソ・ボムシクも、子供二人をかついで、山道を走るのはさすが。って、へんなところで感心していたが。 役者にセリフで説明させるのではなく、映像に語らせるという、映画の基本的な文法をきちんとふまえていた点も、好感度大。 ちなみに原題は「アンニョン、ヒョンア(にいちゃん)」というのだが、「アンニョン」という言葉は、「こんにちは」と「さようなら」、両方の意味があり、文脈を見なければどちらかわからない。そこがストーリーのひとつのミソになっている。英語タイトルも日本語タイトルも、そのへんをうまくぼかしているのはよい。しかし「奇跡の夏」というのは、とうていセンスがいいとは言えないが。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-24 17:27:04)(良:1票)
17.  オアシス
分析したりすると野暮になってしまう話。まるごと飲み込んで楽しむのが吉。そう、確かに苦い味はあるが、とても楽しい話なのである。 「グリーンフィッシュ」でも主人公の兄弟たちが生き生きと描かれているが、この小説でも兄弟の関わりが重要なポイントになっている。それにしても、ジョンイル、ジョンドゥ、ジョンセって、なんつーいいかげんなネーミングだ。(正一、正二、正三みたいな感じ。)
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2007-07-22 20:33:05)
18.  王の男 《ネタバレ》 
日本でのこの映画の売りは、イ・ジュンギの妖しい美貌、カム・ウソンとの同性愛的関係、で、そこにさらに王様がからむ、というところだろうか。「それより奥は、見てはならない」というコピーも、ほんとに映画見て作ったんか、と言いたくなるほど、的はずれ。売り方が悪いとしかいいようがない。 DVD(韓国版)で見たときは、確かにわたしもイ・ジュンギの魅力に目を奪われたし、劇場でも、ふっくらした唇を見て、本人の美しさだけではなく、メイク・照明・撮影などの技術も、こりゃたいしたもんだなぁ、と感心した。しかし、暗い劇場で画面とむきあって物語の中に入り込むと、一番印象に残ったのは、暴君として歴史に名を残す燕山君を、実に人間的に生き生きと演じた、チョン・ジニョンの様々な表情である。うまい役者なのはわかっていたが、この映画での彼の演技はほんとうにすばらしい。 ほかの3人も、それぞれ自分の仕事をきちんと果たした、ということだろう。とくにカム・ウソンは、いままでわりと都会的なイメージだったので、こういうマッチョな役は、ちょっと冒険だったんじゃないかな。体格もイ・ジュンギのほうが大きいようだし、筋肉質だし。でも、配役通りの剛と柔をきちんと印象づけたのは、彼らの演技力と監督の演出だろう。もともとの話は舞台劇なので、シナリオが破綻なくまとまっていた、ということも大きいと思う。 低予算で、セットや衣装もいまいち、という話なのだが、カン・ソンヨンの着る衣装のデザインはよかったなぁ。伝統的な韓服の枠の中で、国王の寵姫という権高さをよく見せていた。 字幕はおなじみ根本理恵なのだが、「広大 광대」という言葉が、すべて「芸人」と訳されているのは、ちょっとうーんという感じだった。これだと、ラストのセリフの感動が、字幕だけで理解している人に、伝わるんだろうか? 劇中で何度も「身分が低い」ということが出てくるので、まあそこで説明済み、ということなのかもしれないが、王や重臣たちに比べれば「身分が低い」というのは、当たり前っちゃあ当たり前で「賤民」であるということは、映画を見ただけでは、はっきりわからないような気がする。 かといって字数制限の中で、どう訳せば伝わるのかは、わたしもよくわからない。むずかしいものである。
[映画館(字幕)] 8点(2007-07-22 17:42:16)
19.  僕らのミライへ逆回転 《ネタバレ》 
ジャック・ブラックにダニー・グローヴァー、ミア・ファーローと来ては、劇場に見に行くっきゃないでしょう。毎日余裕のない日々を送っているおばさんには、ジャックのオバカ養分が必要だ! というわけで、夜9時20分からの回をムリヤリ見に行った。 "Be Kind Rewind" というしゃれたタイトルだったのに、わけわからん邦題が不入りの原因になってるのは、間違いないよね。わたしも、ジャックが出ていると知らずにこのタイトルだけ見たら、まず行こうと思わないだろう。 いまどき、DVD がまったく置いてない、VHS オンリーのうらぶれたレンタルショップ。前半は、ビデオの中身がぜんぶ消えてしまったため、自分たちで「リメイク」してしまう、というドタバタ。「仮装大賞」をさらにチープにしたようなしょうもない撮影風景は、かなりおかしかった。 しかし、なぜか後半は、下町人情喜劇になってしまう。それも、みんなが親しんでいる建物が取り壊され、店がなくなっちゃうので、それを回避するために、町の人々が一致団結してがんばっちゃう、というべたべたに手垢がついたストーリーである。 感動するか、というと、別にそれほどでもないが、音楽と映画への愛情が感じられるので、そんなに悪くはない。ほのぼのします。 シガニー・ウィーバーが実にもったいない役で出てくるのも、なんだか笑える。
[映画館(字幕)] 7点(2008-11-02 11:23:45)
20.  クローバーフィールド/HAKAISHA
象が踏んでも壊れないアーム筆入れ。  映画の終盤には、このフレーズが頭の中をぐるぐるしていた。超ダイハードなビデオカメラの話である。  そうじゃなくて。  手持ちの家庭用ビデオカメラで、怪物に襲われて逃げまどうさまを、逃げてる人間の視線から見せる、というそのワンアイデアでできちゃってる映画。  生きるか死ぬかで逃げてるのに、ビデオどころじゃないでしょ、というまっとうな考えを排除するために、撮影者のキャラクターがすごくアホっぽかったり、彼が恋する女性がとても勇敢だったりと、設定もちゃんと工夫されている。  「酔う」という評判だったが、見ているとカメラの揺れにも慣れてしまってそれほどでもなかったものの、臨場感はとにかくすごかった。これを味わうために劇場まで足を運んだかいがあったね。  しかし、登場する女性たちは、みなぐちゃぐちゃと泣き言を言ったりせず、どんどん行動している。いまや怪獣映画にも、「スクリーム・ヒロイン」の出番はないらしい。  マンハッタンで大災害が起きて、人々が橋に向かって列をなして押し寄せる、というシーンを、『宇宙戦争』でも『アイ・アム・レジェンド』でも見たので、正直またか、という感じだったが、アメリカの経済の中心地が島である、というのは、こういうとき実に絵になることは確かだ。
[映画館(字幕)] 7点(2008-05-03 16:13:22)(良:1票)
000.00%
100.00%
200.00%
310.91%
4109.09%
53128.18%
62220.00%
72825.45%
81513.64%
921.82%
1010.91%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS