1.「事件を風化させない」という監督の理念は伝わる。しかし、72分ワンカットに拘って上手く機能しているとは思えなかった。ノルウェー国内での公開を前提にしているため、当事者と遺族に配慮して、単独犯の姿もその凶行も映すことはほぼない。そして演出の辻褄合わせで実在しない少女とナンパ青年との下世話が絡み、逃げ惑う彼女を追うカメラマンの休憩を挟んだ台本が逆に単調で臨場感のないものにしてしまった。そこに監督の実力の限界を感じる。予備知識がないと理解できない部分が多いため、別のアプローチで挑んだグリーングラス監督による『7月22日』の観賞を勧める。