6.芸術家=塚本晋也。観る者に全くおもねらない、しかし己の技量に浸るわけでもない。「六月の蛇」に、芸術という意味での映画として、個人的には最高のカタチをみた。これをみたら、日本の他の映像作家なんぞ、うわっつらだけのテクニックで、「どう?クールでしょ?」てな感じで、ただのパクリにみえてくる。つーか、なりたい。塚本晋也に。 【ドレミダーン】さん 10点(2004-01-31 19:48:16) |
5.正常に機能しない歪曲した性愛とその果てを描いたものとしては「ピアニスト」以来の衝撃作だった(アプローチと方向性は全く異なるけれど)。あの土砂降りの雨の中の、男2人対女1人の肉体的接触のない性交。全てが終わり、果て、立ち尽くし、ファインダーを静かに見据えるあのりん子の壮絶な美しさ。長い間心にとぐろを巻いて居座っていた大きな蛇が、六月の雨の中に解放されて行く。凄い。映画の序盤とは全く別人の顔を見せる彼女。黒沢あすかって、こんなに美しい女優だったんだ…。掛け値なしに素晴らしい女優だと思う。この密度の高い作品を見事に撮り上げた監督の手腕にも脱帽する。監督は当初、この作品は女性に評判が悪いかも…と思っていたそうだけれど、そんなことはない。逆に私はこれを、究極のフェミニズム映画だと断言出来る。真性のフェミニストでないとこんな作品は撮れない。久しぶりに文句なく素晴らしい邦画に出会えた。嬉しい。 【ひのと】さん 10点(2004-01-29 17:45:07) (良:1票) |
4.DVD借りてみました。ごちゃごちゃ考えずに、画がきれいだなぁと思って見ました。『これぞ!日本映画!』って感じの作品です。1.1・1.0・0.5・1.9 【にしざわ】さん 5点(2004-01-24 19:13:08) |
3.死期が迫る男へ生きる喜びを与えた女、その男が最期に選んだ本当にやりたいことが女を心身ともに解放することだった。女もまた自ら最期にやりたいこととして自らを解放する道を選ぶ。雨の中全てをさらけ出しフラッシュの光に犯される。2人の肉体関係の無いSEXにより夫も溜め込んでいた想いが解放されてゆく。これは塚本監督の「生きる」なんだろう。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2004-01-19 22:14:46) (良:1票) |
2.せっかくベネチアで審査員特別大賞獲ったのに、新聞各紙の見出しは「北野武、受賞ならず」ってそりゃ無いだろう・・・涙。塚本の受賞をもっと華々しく扱ってやれ!こんなスゴイ映画作ったんだから!正直言って『鉄男(1)』以来、「嫌いじゃないんだけど、でもなあ」ってのが感想だった。しかし今回は違った!映像演出脚本ともに文句なし。そう、今まで何が不満って脚本が不満だった。誰かいい脚本家つけて監督した方がいいんじゃないか?とずっと思っていた。ところが本作品は脚本がとても良くできている。その上で炸裂する塚本ワールド!美しくてエロティックで観ているこっちが息苦しくなるほどの圧迫感。これを演出力と言わずして何と言う!※※以下ネタバレあり注意※※緊縛された夫が見世物小屋(?)で強制的に見せられる悪夢。閉塞感薄気味悪さ、撮影編集効果音あいまった迫力!塚本にしか描けない世界と言い切っていいだろう!だけどまさか、こんなリアリティ寄りの映画でも蛇チンコが出てくるとは!(笑)そんな塚本ワールドを炸裂させながらも・・・ラスト、妻への愛に目覚めた夫が乳房を切り取られた胸板にキスをする。現実には、丸々と残された乳房・・・切ない。まさか塚本晋也に切ない思いをさせられるとは夢にも思いませんでした(笑)10点あげたいけど蛇チンコが万人受けするはずも無いので-1点・・・いえ、私は好きなんですけどね。 【ロビン】さん 9点(2003-12-21 03:00:09) (良:1票) |
1.とにかく全編に降る雨に、セピアトーンの画面そのものが溶け出していきそうな映像の質感が素晴らしい! でもって、そんな世界に少しずつ同化していくかのような黒沢あすかのヒロインと、塚本晋也演じる男、神足裕司(絶品!)の3人が、これまた素晴らしい! …ハッキリいって2003年度の日本映画では、北野武以下を押さえてダントツのベストだとぼくは思ってます。とにかくこれって「3匹のかたつむり」が殻を脱ぎ捨てて「蛇(!)」になるまでの過程を描いた、実に意味深で、寓話的で、エロティックな作品であると。…ああ、何て美しいんだ。 【やましんの巻】さん 9点(2003-09-16 14:57:46) (良:1票) |