1.物語に必要のない描写を電車の画を有効に使いどんどん省略してゆく。原作未読なのだが、一昨日レビューした不倫映画の代表『恋におちて』と、郊外と都会を行き来しながら不倫を描いてゆくという点で一致しているのは偶然なのだろうか。ただしこちらはいかにも渡辺淳一らしい(?)エロチックな作品となっている。エロチックといっても、主演の小橋めぐみが醸す、どちらかというと清純なイメージの女のごく普通の性欲の見せ方だとか、服を脱ぐことの恥じらいと大胆さが生々しく表現されているといった心理的というか、より内面的なエロチック。もちろん「ヌード」という外観上のエロもある。ベッドシーンは日常をことごとく省略したのとは打って変わってじっくりねっとりと服を脱がせるところから映し続ける。セックスシーンよりもこの服を脱ぎ脱がされる描写を重要視する。それはその行為(セックス)よりもその関係こそが物語を語るうえで重要だからであると同時にそのほうがエロいから。なぜエロいかは、その脱ぎ脱がされる瞬間にこそ女優・小橋めぐみの恥じらいと大胆さが表出されるからである。そしてカメラはその生々しい女の性をしっかりと捉えている。