1.過去の2作品では、主演の田口トモロヲさんが平凡な小市民のイメージを漂わせて、その日常が非人間的な鉄のイメージに侵食されていく、といった印象がありましたが、今回は日本に住む外国人が主人公。その点では「平凡な日常」という前提はあまり明確ではなく、実際、鉄に侵食されるというよりは、もともと「鉄のイメージ」が主人公の中に潜んでいて、それがある事件をキッカケに、外部へと噴出してくる。3作品すべてが「破壊」というテーマに繋がっているけど、その意味では今回の作品がもっとも、「戦争」というものが意識されているような。ただ一方的に我々の日常を奪い去り、一方的に我々を巻き込む、というのではなく、我々自身が内部に抱え、キッカケがあればそれが一気に爆発しかねない破壊衝動としての「戦争」。今回の敵役もいわば、主人公に自分を斃すようにけしかけ、破壊へと導くためにこそ、存在していて。
自分から離れた子供と現れた謎の車を見やる主人公の視線・不穏な空気とか、素材のゴツゴツ感を活かしまくった異様なメーキャップとか、鉄男シリーズらしさが楽しめはするのですが、バトルシーンは、これはさすがにカメラの揺らし過ぎ、では。
とは言え、この悪夢のごとき映像の数々、やっぱり、クセになります。