28.いきなり「時間とは、浜辺で石遊びをする子供」ときた。最後は「明日の時間は“永遠と一日”」ときた。哲学的であり詩的である。そして難解である。時間の境界が取り払われ現在と過去が同じ画面上に映される。亡き妻が言うところの「私の日」、そして19世紀の世界が主人公の最後の1日である現在の中に現れる。明らかに現在とされるシーンにも恐怖をイメージ化したような国境シーンや不法滞在の少年を取り締まる警察の劇的な登場の仕方など、随所に幻想性を覗かせている。難解と書いたが、こういった映像にある醍醐味はじゅうぶんに楽しめる。そこに難解さは無い。意味を求めなければいいのだ。しかし意味を求めざるを得ないような映像であることも確かで、それでも映像に関しては全然いいとしても、発せられた「言葉」には、ただ詩的な映像を増幅させるためだけではなく、やっぱり必ずそこには意味があり、映画に没頭する傍らに意味を模索する自分がいて、時間と共に疲れてきてしまうのだ。重要な「言葉」が一つ二つならいいのだが。また無視できればいいのだが、なまじ映像が美しく、また考えるにはとっておきの静かな間が多いので無視できないのだ。だから映像における感動があっても常に消化不良感が伴う。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-07-06 19:07:55) (良:1票) |
27.「時とは、浜辺で石遊びをする子供」、「明日は“永遠と一日”」。美しい言葉と映像に心がしびれていくのがわかりました。男の子役もすばらしかったです。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-09-01 08:37:11) |
26.ただでさえ映像の重量感と無音の緊張感がてんこ盛りになっているのに、その描写対象が「1日のうちの過去の回想と現在の進行の併存」という限定されたものであるわけですから、これはもう眠いを通り越して窒息しそうになるのです。「霧の中の風景」が心地よかったのは、話の規模の壮大さやドラマ性が描写の手法にぴったり合っていたからだ、ということがよく分かりました。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-08-28 10:51:18) |
25.テオ・アンゲロプロス監督作品はこの作品を観るまで「霧の中の風景」しか観てない私が言うのも何だけどその映像の美しさやら長回しなどはこの監督が詩人であると言われる理由であると見ていて感じることが出来る。一方で見ていてもけして、つまらないことはないが、もう一度、見たいか?て聞かれると私には見たいとは言えないし、「霧の中の風景」のように感動もしなかった。そういう意味では高い点数を付けるのはためらってしまいます。ただ映像の美しい映画は嫌いでないし、低い評価を与えることも出来ない。何とも評価の難しい映画であると共に、美しい映像、静かな中に人生に対する厳しさ、老いていくことの辛さ、そういうものが全て描かれているような言葉なんかなくても映像の力だけで見せてしまうという監督の映像的なセンスというものはここでもまた感じることが出来た。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2010-02-21 18:37:39) |
24.同じテオの『ユリシーズの瞳』と見分けがつかないくらい苦手。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 2点(2007-10-12 16:43:02) |
23.切ない雰囲気や音楽はとても好きなのですが・・・どうも退屈してしまいますね。テオの作品を4本も続けてみたからなのかもしれませんが。 【トナカイ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-02-09 23:16:11) |
22.全編を通して恐ろしく長いワンカットと、ゆっくりゆっくり縦横無尽に動くカメラワークに驚かされる。さぞかし役者はタイミングを合わせるのに苦労したことだろう。次々現れるバスの乗客、黄色いコートの3台の自転車、19世紀の詩人など意味は分からないが凝った映像には惹きつけられる。逆に比喩と意訳に富んだ台詞は理解するのが難しく物語がよく分からない。 【WEB職人】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-10-10 15:40:00) |
21.画面に集中して観ていないと話の筋が分からなくなるようなアンゲロプロス作品の中でも、これは比較的分かり易かったので良かったです。言葉を買う詩人の話をする主人公の語り口や、亡き妻との想い出が巧みに交錯する辺りの演出は見事としか言いようがありません。彼にとってはこの一日が一瞬の時間であり、また永遠でも有り得る。この映画をもう一回最初から観るには根気がいるけど、長い長いワンシーンの中で完全に見届けることの出来なかった細部までまたじっくり見直したいです。それにしてもギリシャのバスって面白い構造をしていますね、一度乗ってみたくなりました。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-14 18:47:47) |
20.永遠とは全てを包括し総括した絶対的な概念であるはずなのに、同時に絶望的に曖昧で不確定で、具体に寄らない卑怯で狡猾な逃げの表現でもある。永遠とは不確定と不毛と矛盾の総体だと思う。永遠というプログラムには脆弱性があって、それを埋めてくれるアップデートはないのです。老人の最後の一日。永遠の通過点の1つに過ぎない一日。だけれど時に、極度に限定された一日の質量は永遠のそれに匹敵するのだ、とこの映画は提示する。それは厳しく優しい矛盾、永遠が持つ脆弱性でした。老人の最後の一日、だけれどそこには紛れもない永遠がありました。優しく穏やかな「永遠」という澄んだ混沌がありました。 【ひのと】さん 8点(2004-11-21 12:03:28) |
19.すっげぇ退屈でした。なにが言いたい映画なのか理解できませんでしたし、理解したいとも思いません。こんな映画をありがたがる気にはなれません。 【K】さん 0点(2004-06-27 19:53:57) |
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18.恐ろしく退屈であったわりには、不思議と場面の一つ一つが鮮明に思い出される。隣のマンションの一室から聞こえてくる懐かしの曲も、その主を確かめる時間さえも残されていないのが、悲しかった。 【トバモリー】さん 5点(2004-04-22 18:19:13) |
17.長回しのカメラ、虚実の入り混じった展開に飽きた部分もあるが、終わってみれば滝のように涙が流れた。孤独な年寄りの出てくる映画にはヨワイ。 【mimi】さん 7点(2004-02-08 20:25:06) |
16.パルムドールを受賞したというから「すごいのかな?」と思いましたが、僕はどうもこういうタイプの映画は苦手です。なぜなら①多くの方が言うようにかなり眠たくなります。一応1回も眠りませんでしたが、正直キツかった(苦笑)。眠くなるのは映画の展開がゆっくりだからかな?②映画が長いです。「これだ!」という見せ場が無いから、なおさら長く感じました。③<現実と空想>という複雑なストーリーが少し分かりにくかった。こういう所はもう少し年齢を重ねれば良さが分かるかも知れません。【総合的】まあ辛口に書きましたが、良かった所もありました。それはラストの主人公の老人&難民の少年がバスに乗るシーンで、このシーンは見てて不思議な気持ちになりました。【点数】やはり今の僕には良さが分からない!あんまし低いと残酷だから5点です。 【ピルグリム】さん 5点(2003-11-02 23:04:48) |
15.おじいちゃんの人生反省の映画?これからの一歩?ちょっと何が言いたいのかよくわからなかった。だって何も始まらない。奥さんに愛されてた回顧シーンだけがよかった。 【桃子】さん 3点(2003-10-06 18:57:38) |
14.ビデオ鑑賞だったせいもあるのでしょうが、ところどころ眠くて困りました。こういう映画は嫌いではないはずなのですが、何故か入り込めなかったな。 【そうしょくみ】さん 3点(2003-09-14 02:05:25) |
13.1ショットずつが非常に長いんですけど、カメラはあんまりアングルを固定せずに、ゆるやかに移動やズームを繰り返して、一種独特の時間感覚があります。そうやって描かれる、ある一日。同じ一日でも違う人の目には違うように映るというのは、まあ当り前の事ではあるのですけど、改めて気づかされます。そういう時間の多重性が「永遠」でもあるのでしょうか。 【鱗歌】さん 8点(2003-09-12 21:46:26) |
12.必ずしもアンゲロプロスの映画なら何でも肯定する者じゃないけど、この作品だけは心の底から感動し、たぶん一生忘れられないだろうな。いつもは大文字の「歴史」が否応なく「個人」の運命を翻弄する…てな図式性=観念性が鼻につくところもなきにしもあらず。が、ここではひとりの知識人の内面の「孤独」だけが、きわめてヴィヴィッドに、そして人間的な共感を込めて描かれている。特に、主人公の初老の男が、去りゆく難民の少年に「もう少し一緒にいてくれ!」とすがる場面で胸が張り裂けそうになった…。先入観なしで見てください。ほんと、素直に”良い”映画ですから。 【やましんの巻】さん 10点(2003-07-15 14:51:24) |
11.生きていく怖さと死に向かう怖さが出会って、静かで優しい思いが染みてきた気がしました。ブルーノ・ガンツの笑い顔がしあわせそうに悲しくて、こんな笑顔はひさしぶりに見たような気がします。最後まで名無しのままの少年の笑い顔とともに悲しいけれど癒されてしまいます。アンゲロプロスの映画に出会えて幸せです。苦しいほどのリグレット。逝く前に耳に響いてくるのは誰が自分を呼ぶ声なんでしょうね。 【omut】さん 9点(2003-07-15 02:38:34) |
10.国境の柵にはりついていた人影らしきものが、やはり人影であることを2度目にして気づく。1度目は完全に熟睡。2度目はイライラ。心に何も響いてこなかった、っていうのが正直な感想。 【ミス・スポック】さん 4点(2003-06-22 18:04:42) |
9.寝る映画が必ずしも駄目映画でないことを教えてくれた作品。映画館で2回観ました(一度目は半分で寝ました)。詩とコート(外套)の映画です。映画そのものが哀愁たっぷりの詩のようなもので、芸術性が本当に高い。すばらしい。そして、なぜかコートを着た人が大勢出てくる。ブルーノ・ガンツの黒いコート姿は、彼のマジの私服らしいです。アンゲロプロス監督に「そのまま出てくれ。」って言われたのだとか。男の子が焚き火を囲んで「ォォ、セリム」と黄昏れるシーンは新手の催眠術かと思いましたが、一番鮮烈に頭に焼きついたのもこのシーン。 【クー】さん 9点(2003-03-23 06:07:35) |