1.(8bitさん、先にコメント失礼いたします)
ヒトラー自らレニ監督に依頼し創らせたという、まさに歴史に残るドキュメンタリー映画。
本作の最大の見所は、やはり終幕のヒトラー演説のシーン。
いつもに増してヒトラーが計算ずくのハイテンションとジェスチャーで、民衆を扇動する。
この演説シーンは、まさに圧巻で、自分がその場所にもし居たら、間違いなく洗脳されるだろう、と思わせるだけの凄みがある。
そして、この演説は、何故か聴いていて元気が出る。
仕事の疲れが、何故か取れていく。
つまり、過去の映像であるにも関わらず、ヒトラーという類い稀な人物のエネルギーが、画面を通して自分に伝わってくるのだ。
自分は別にヒトラーが好きではないが、少なくとも、この演説シーンを観ている間は、そう感じた。
民衆を一つの方向へ向けて一致団結させ動かす、その演説のエネルギーたるは、時空を超える凄さであった。
これだけの才能とバイタリティを持つ人間は、おそらく長い歴史をみても少数であろう。
こういった人間は、常人を超えた才能を持つがゆえに、その目標も高く、限られた時間でその高い目標を達成するために過激な手段を選択してしまう。
つまり、ナチスでいう過激な手段とは、独裁であり、戦争であった。
超人的な能力を持つ人間こそが持つ危険性。
そして、その超人的な人間が扇動した時に、衆人が影響を受けてしまう危険性。
更には群集心理。
ナチス・ドイツという世紀の悪玉が生まれ膨張していったその様子を、このドキュメンタリーは鮮烈に捉えており、色々な意味で映画史に残る傑作ドキュメンタリーと言えるのではないだろうか。