8.投下前日に結婚式を挙げた二人や当日早朝に生まれた赤ん坊、彼らに未来はなかった。今日できなくなくても明日があるからという願いはむなしく消えたのだ。長崎の原爆を描いた映画としてはやや物足りなく感じるものの、制作者のメッセージは強く心に残った。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-05 21:42:30) |
7.Oliasさんも↓で書かれていますが、これ同じ題材で、同時期に終戦記念日?2時間スペシャルテレビドラマ化されたんですよね。リアルタイムで観た、このドラマの出来があまりに素晴らしく、私は涙滂沱と流しながら感動してしまい、その後観たこの映画の印象が、すこぶる薄いものになってしまったんです。テレビドラマ版は、桃井かおりの役を何の因縁か大竹しのぶ、樹木希林、川谷拓三、音無美紀子、有森也美と、映画版と殆ど遜色ない実力派揃いのキャスト。「原爆投下直前」の、みずみずしい緑の色、スイカに付いた水滴など、生命の息吹きが画面上から伝わってきて・・・。ラストシーンは、その朝生まれたばかりの赤ん坊をかき抱き、聖マリア像絵画を祈るように凝視する大竹しのぶのハッとした表情でした。ヤバイ、書いててもまた泣けてくる・・・。同じ感動を、いやそれ以上の感慨を映画版で味わえるかと期待し、鑑賞に臨んだのですが、やはり先に観たドラマのインパクトが強すぎ、ドラマの粗筋をただ地味になぞっているような印象しか持てませんでしたね。順序が逆だったらまた印象が変わったかもしれません。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2009-09-12 10:10:05) (良:1票) |
6.これ、同じ頃にテレビの2時間ドラマで大竹しのぶ主演で同じ原作の映像化作品がありませんでしたっけ?あっちの方がずっと良かった気がします。こちらの弱点は、台詞の組み立てにしろ場面の切り口にしろ、対象の描写自体が平々凡々であること。なので、最後の一瞬に至っても、すべてが破壊される「容赦なさ」を感じ取ることができません。また、九州弁(脚本自体に怪しいところが多数あるが)を覚えるので精一杯だったのか、各俳優の演技にも切れがありません。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-08-19 03:26:25) |
5.沖縄戦の状況・広島の新型爆弾の噂に怯えながらも、結婚し・出産し・恋愛し・道端で遊ぶ人々。日常を淡々と過ごしている様子は特にセンセーショナルでもない。(セリフの端はしから長崎って九州だから沖縄の次は九州で決戦なんだ・・って覚悟というか諦めみたいなのがあったんだなぁ・・と、当時の九州に住む庶民の感覚を知ることは出来ます)だからこそ、投下されて・・あの赤ちゃんはどうなったの?あの新婚さんはまた会えたの?あの子どものいない夫婦は爆心地・・?と観終わってから、ジワジワと映画の存在が心の中で広がってくる。自分の中で「彼らを失った感覚」が抜けません。*DVDで鑑賞したのですが「英語字幕」 が無かったのが残念です。これでは日本人しか鑑賞できないですよね。日本以外の国の人たちにも鑑賞する機会を作って欲しい作品です。「英語字幕」を付けて欲しかったな・・。 【グレース】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-05-05 20:27:29) (良:1票) |
4.原爆投下24時間前の長崎を舞台に、そこに暮らす市井の人々の日常を淡々と追った群像劇。こういう映画は大切にしてかないといけないんでしょうけど、例によって私には全く合わないタイプの作品でした。臨場感の希薄なスタジオ・セットの中で、小津安二郎風の低いカメラ位置からの長回し。そこで演じられるのは婚礼や出産、戦争に引き裂かれる恋人等の、非常にわざとらしく見飽きた小芝居。伝えたかったことが無常観なのか悲劇性なのか判りませんが、そういったことが伝わってくる前に、私には退屈が先に来てしまう。鑑賞中は「早く終わらないかなぁ…」なんて思ったりもしましたけど、これはつまり「原爆早く落ちろ」って考えたのと同じこと。観客にこんな思いをさせちゃいかんでしょう。そんな意味を込めて、4点献上。 【sayzin】さん [地上波(邦画)] 4点(2006-10-04 00:00:59) |
3.邦画の戦争(原爆)映画では最高だと思います。原爆前って当然、普通の人は普通に生活しているって、改めて解ります。 原爆後の惨状をそのまま伝えるのも良いですけど、それってやっぱりどうしても目を逸らしたくなります。この映画は構える事なく観る事ができて、原爆とか戦争とかの課題をとても重く残してくれます。これこそスミソニアン博物館とかで上映して欲しいです。 【さら】さん 9点(2005-03-14 11:14:58) |
2.あの時代の日常を描くことによって、人々が霧のように消されてしまった悲惨を訴えようというその(平凡な)意図は分かる。だが、お世辞にも成功しているとは言えない。とってつけたように「幸せ」な夫婦や家族、未来に不安を抱く恋人達、厳しい食糧事情などを散発的に描いてみせているが、欠伸がでそうだ。朝鮮半島から徴用されてきた者たちは蛸部屋に閉じこめられて重労働させられたのだと思っていたが、取って付けたようなボロを着て物乞いに歩いている。そんなことが本当にあったかどうか知らないが、こうした場面から感じるのは、ウソ臭さだけ。そういえば、全体にハリボテを見せられているような感じがしてならなかった。 【駆けてゆく雲】さん 3点(2004-11-22 21:17:44) |
1.この映画は、長崎へ原爆が落ちる前日からその瞬間までの人々のありふれた日常を描いている。凡庸な人々の凡庸な日常が説得力を持って僕らの心に響いてくるのは、その背後で着々と進む原爆投下という非日常性との対比においてであろう。悪夢の瞬間によって、彼らの確固たる日常は脆くも破壊されることが暗示されているが、その救われなさこそが、僕にとって、胸が奮えるほどの救いだと感じられたのは何故だろう。この物語は、僕らにとって全く失われた物語として、決して語り継がれない物語としてある。彼らは、原爆の何たるか<破滅という不安>を全く知らずにそれを受け入れる立場になってしまったが、だからこそ、逆に彼らの日常が確固たる足場の上に成り立ちえたという幸福をみるのである。彼らは原爆という意味を知らずに死んでいったが、僕らはその意味を既に知っている。そのことがもたらす無意味な生という観念は、僕らを終末感というメランコリーの淵へ誘う。しかし、この映画が描く日常という確固たるリアリティは、そういう観念をフィクションとして無化し、浄化しているように思えた。この作品は単に戦争という、原爆という悲惨を描く物語としても読めるが、僕にはそれ以上に現代の僕らに向けた逆説的な「救い」の物語であると感じられたのである。 |