7.山下敦弘監督の味わいが実によく出た一本。
山本浩司が着ている服のダサさ加減も全開。
その彼女の微妙さ加減も絶妙。
夢を追うツール“赤じる”ってのは、単に象徴であって、そのツールが何であれ、若者は夢を追いかけて突っ走るものだ。
それが成功する確率っておそらく低いけど、若者は夢を追う。
それが周りから見たら、“バカ”げていて無謀であっても、当の若者本人は気にもしない。
そして、その夢が破れた時、更にどん底まで落ちていく若者もいれば、普通に社会に復帰する若者もいるだろう。
そんな顛末はどうでもよくて、本作で山下敦弘監督は、そんな夢を追いかける若者の、良くも悪くも“バカ”な姿をフィルムで表現したかったに違いない。
田舎では人間関係が限定されていて、例えば風俗で働いていれば、当然知り合いが客としてやってくることだってある。
又、狭い人間関係だからこそ、誰かと誰かが深い関係になっていてもおかしくないし、そういう複雑で乱れた繋がりが田舎には存在する。
その辺りの田舎の人間模様も、丁寧に描かれていて、リアリズムを感じる。
チープな線を意図的に、そしてリアルに表現しており、山下敦弘監督の描く世界観ってのは、庶民的日本的なリアリズムに満ちていて好感が持てる。
そして、若者の持つイタさがよく伝わってくる。
このような点において、楽しく、そして時には切ない気持ちになったりする。
地味ながら、実に人間的で、愛すべき作品だ。