6.三隅研次監督の遺作映画となった松竹の大作時代劇。三隅監督の映画を見るのがかなり久しぶりなうえ、遺作でしかも三隅監督はこういう大作を手掛けているイメージがないため見る前から不安のほうが大きかったのだが、案の定まとまりを欠く大味な映画という印象はあるものの、退屈せずに最後までそこそこ面白く見ることができた。幕末から明治初期にかけての四人の男の生きざまが描かれていて、それを演じる高橋英樹、緒形拳、近藤正臣、西郷輝彦の四人の圧倒的な濃さが映画を引っ張っていくわけだが、もうこれだけで男の映画という感じがするのがいい。でも、ドラマとしては物足りない部分が多く、題材は魅力的なのになにかもったいなく思えてしまい、それが三隅監督も自作映画の中で唯一クレジットされてる脚本にあるのかは分からないが、同じく三隅監督が手掛けていても、大映であれば違った映画になっていたかもという思いはある。メインの四人の中では緒形拳演じる中村半次郎の存在感がとくに抜群だが、彼が慕う西郷隆盛を辰巳柳太郎が演じているのは、この二人の実際の関係を役にダブらせているようで面白い。高橋英樹と松坂慶子はこの前年の加藤泰監督の「宮本武蔵」でも相手役として共演していて、おそらく松竹としてはこの時期、このコンビで売り出したかったのではないかと勘繰ってしまう。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2020-04-30 14:20:05) |
5.三隅研次監督最後の劇場作品は、なぜか松竹、なぜか自ら脚本を手掛け、なぜか2時間半を超える歴史大作。なぜか風雲篇・激情篇・怒濤篇と銘打たれ、しかもなぜか風雲篇と激情篇は一緒になっているので実は2部構成。という摩訶不思議な作品。混乱ぶりがうかがわれ、内容もイマイチまとまりがありません、ってまあ、そのまとまりの無さこそが大作としての風格でもある……のですかねえ。舞台は幕末、主人公は“ワイルドスギどん”こと杉虎之助(高橋桃太郎侍英樹)、浪人で典型的な剣豪タイプ。で、彼の視点で描かれていくのかと思いきや、物語はあっちこっちに彷徨い、1時間くらい観ていてようやく判明するのは、これは実は、立場こそ違えど互いに理解しあう、4人の若者たちの物語であったのだな、と。剣豪スギどんの他には、新撰組・沖田総司(西郷星のフラメンコ輝彦)、見廻組・伊庭八郎(コンドーです正臣。アレ、伊庭八郎って見廻組でしたっけ?)、そして薩摩藩・中村“人斬り”半次郎のちに桐野利秋(緒方拳、言えばエーっと何だろう)。これだけのメンツ集めりゃそりゃ4人のキャラも立ちまくり、お陰で結構、暑苦しいんですけどね。高橋英樹のいちいち堂に入った剣の構えと苦み走った表情。人体の不思議展もビックリの、人間カラ竹割り真っ二つ切断がスゴい。豪快さそのものとも言うべき半次郎を演じ切った緒方拳もスゴい。西郷輝彦だって近藤正臣だって、そこそこスゴいです(笑)。ただ、ようやく邂逅し意気投合した4人の姿を、その後うまく収束させることなく、何だか時代だけが過ぎて行ってしまうような展開が、どうも物足りません、うまくまとまらず、そこが大作の風格と言えば……しつこいっての。少なくとも、大げさなタイトルといい(何が狼で何が落日なのやら)、さらに大げさな○○篇というサブタイトルといい、内容に全く即してないしなあ。魅力的な題材が、魅力的に撮られてはいるんだけど、こう仕上がるハズではなかった、みたいな感じで、アンバランスな面があまりにも多い、不思議な作品でありました。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-07-28 10:38:12) |
4.これだけ魅力的なキャスティングでありながら、どうも生かされてないんだよなあ。各登場人物がエピソードごとにその立場にはめ込まれているだけで、どういう思考や発想でその行動をとっているのか、というところまでのつくり込みがないのです。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-04-27 23:42:42) |
3.原作未読。主要な剣士が各々しっかりした演技者のため、見応えあり。 【いわぞー】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-12-16 23:15:04) |
2.幕末から明治における四人の侍の生き様、葛藤、血のほとばしるような映画。高橋英樹、緒形拳、近藤正臣、西郷輝彦、田村高廣・・・みんなかっこいい。特に若い頃の高橋英樹がこんなにかっこいいとは思わなかった。高橋英樹と近藤正臣の立ち合うシーンは迫力、スピードといいマジで真剣なんじゃってくらいの雰囲気があって、まさに剣で語り合ってるって感じ。池田屋から西南戦争まで一気に幕末の動乱を駆け巡る2時間半でも足りないくらい濃い映画。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-24 01:01:31) |
1.幕末を舞台に時代に翻弄される男達のそれぞれの生き様を描いた作品。さすがにこれだけ長くて色々あると、最期は「よくここまで辿り着いたねぇ」としみじみしましたが、全体としてはあまり楽しめなかったです。個人的趣味で幕末・明治維新関係の話にあまり興味がもてない事もあるのですが、妙に現代的でドタバタしていてうわべだけな感じが好きになれません。それは役者のせいなのか?演出のせいなのか?はたまたどうしても気に入らないので遂に自分で書いてしまった三隅研次の脚本のせいなのか?三隅の映画は色々見て来たけど、セリフにない部分で語れる人だと思ってました。けど、この作品は語りすぎ。残念です。 【黒猫クロマティ】さん 5点(2004-10-14 11:58:07) |