2.ゲーテの戯曲を元にしたムルナウの傑作。
ムルナウの幻想的な演出はモチロン、冷徹なまでに重厚な空気で包まれる。
天上の天使と悪魔に運命を翻弄される人間たち。
疫病の苦しみから逃れるため、悪魔を召喚してしまうゲーテ。
メフィストフェレスはどんな願いも叶えてしまう。制約をしいて。
疫病と救世主、年老いたゲーテは己の無力さに絶望する。
若返り漲るような力を得ようと、結局は悪魔の力によって再び絶望に暮れてしまう。
余りに救いようが無い。
一時の幸せも、瞬く間に惨たらしく散っていく。
恐ろしいまでに冷徹な描写。
だが、ラストのあの美しさは何なのだろうか。あんな終わり方をされたら、黙って泣くしかないじゃないか。
何て最高に卑怯で泣ける泣けるクライマックスなんだ・・・。