2.ピーター・ウェラーとトム・ベレンジャーなんて、なーんにも接点が無さそうですが、かつて、『新・明日に向って撃て!』で接点があったりなんかして。あれから20年、ふたりともすっかり大物になった、と言ってよいのかどうか、微妙な立ち位置で、こうやって安っぽい映画でバッタリ出会う気持ちってのは、どんなもんなんですかねえ。大きなお世話ですが。
大使館がテロリストに占拠され、主人公が単身、敵に立ち向かう、とくればいかにもダイ・ハードの劣化コピーっぽく、しかもその主人公がピーター・ウェラーと来れば、およそ劣化の進み具合も見当がつく、というものですが、そういう諦めの境地に立ってみると、これが意外に面白いんです。そもそも、あの「お便所エレベーター」のシーンのバカバカしさからして、なかなかセンスが光っておりますが、孤軍奮闘するはずの主人公はまるで奮闘せず、濡れ雑巾を被ってすまし顔。ダリル・ハンナの存在感にも押され気味です。これじゃあラチがアカンわい、と、映画盛り上げのために中盤からトム・ベレンジャーを投入して戦力補強。ってんだから、もはやダイ・ハードとは完全に別路線。劣化コピーと思わせたこと自体が意識的なミスディレクションだったのではないか、とすら思えてきます。
建物のアチコチには何ともアホらしい仕掛けが色々とあって、さすがは大使館だわい、などと誤った感心をしつつ、終盤にはちょびっとだけ意外な展開に、ちょびっとだけニヤリとさせられたりもして。
大勢の死者が出る悲惨な事件のハズなんですが、妙にほのぼのしています。