12.綺麗な映像の数々ではあるが、そもそも実際の“竹富島”という島の光景自体がとても綺麗なものなので、これは“そのまま美しく撮れている程度”にすぎない。
つまりは、映画作品として考えるならば、もっと美しく撮れていなければ不足なのではないだろうか。
語弊はあるかもしれないが、“現実の美しさを過大に表現した映像”を期待していたのだ。
そういう観点からすると、“映像”に関して言えば、いまひとつというところだろうか。
しかし、もっと問題だったのは、映像以外の演出レベルに関してだ。
現地の人を採用し、リアリティを出したであろうことは容易に推測がつく。
しかし、もう少し演技指導をつめて欲しかった。
それに、あまりにも子役の演技がひどすぎるのも難点。
子役といえど、最低の演技レベルはクリアーしていて欲しかった。
そして、何と言っても一番問題なのは、“竹富島”を舞台にするシーンが前半の40分で終わってしまうことだ。
2時間近くある上映時間の中で、“竹富島”を舞台に繰り広げられる時間帯は、最初の40分だけなのだ。
その後は、主人公が東京に渡ってしまう為、主な舞台は東京になってしまう。
これは、普通の作品ならば、別に何も問題とするところでないであろう。
しかし、この作品を観ようと思った人達は、きっと“ジャケット”やその“タイトル”から、“美しい竹富島でのおはなし”を期待し、この作品を選んだに違いない。
なのに、この時間配分は一体・・・
出来栄え的には難点の多い本作ではあるが、“竹富島の美しさ”と“そこに住まう人々の素朴”さ、そして“その独特なる文化”を伝える作品であるという点において、非常に評価できる作品であると感じたからだ。
“竹富島”が好きな方、“竹富島”に行ってみたいと思っている方には、是非オススメしたい邦画である。
そして、主演を演じた“蒼井優”であるが、特別に美人であるとか、演技が上手というわけではないが、独特の魅力を持った女優さんだと思った。
今後の彼女の活躍に期待したい。→映画『フラガール』でブレイクしたようですね!おめでとうございます!