7.時代劇はチャンバラを楽しんだり戦国武将の生き方を味わうもよし。そして、この映画のように市井の人々や農民の日常に思いを巡らすもよし。「幕末太陽伝」同様、落語を元ネタに江戸時代の庶民の生活ぶりが皮膚感覚で描かれ、面白い。貧乏長屋を舞台にさまざまな生業の人物が登場して悲喜劇を展開するが、その中で肥汲み屋の吾助は重要な役割を果たす。当時は人糞を農作物の肥料として売買するリサイクルが成立した。汲み取りの時など臭うのが当たり前で、画面全体から臭気が漂うような画作りは見事に当時の生活感を醸し出している。昔、ある俳優が人糞を肥料にして作物を栽培し「うまい(栄養価の高い)ものを食べた人の排泄物は肥料の効きが良い」と語っていたが、劇中でも吾助の「最近は肥えが薄くなった」のセリフがあり、景気低迷による食生活の悪化(=肥効性の低下)をにおわせている。終盤、主人公・熊五郎の妹は輿入れ相手として奉公先の大名ではなく、かねてより惹かれていた肥汲み屋を選ぶという痛快さ。裕福な生活より愛情が大事、と人情味あふれる展開で締めくくる。自分なりの考えをふたつ。「熊さん」「八つぁん」の名前ではモロに落語なので別名がよかった。また、タイトルは「ウンが良けりゃ」の方がよい。 【風小僧】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-11-22 11:21:23) |
6.やはり倍賞千恵子の笑いを噛み殺すシーンがとても可愛らしく、こちらまで笑顔になってしまう。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-11-10 23:33:30) |
5.熊さん、八つぁんといえば、落語でおなじみの世界。ドタバタ喜劇の中にもやはり山田洋次監督らしいぬくもりを感じさせる。おっと大発見、ちっちゃな男の子が出てくるが、どこかで見た顔と思えば、ケンちゃん(宮脇康之)ではないか。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-01-09 22:06:11) |
4.まずまず楽しめた。 欲を言えば、底抜けに明るい時代劇コメディも悪くはないが、『男はつらいよ』シリーズの様な一抹の寂しさがもっと漂っていればなぁ。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-01-31 18:15:52) |
3.う~ん、ごめんなさい。面白くないわけではないのだけれど、、確かにブラックではあるし、「力強い庶民の姿を活き活きと描いた」って感じだけど、その描き方が、何というか「優等生が一生懸命不良ぶってる」ように思えてしまった(後で知ったんだけど、山田洋次って東大出身なんだそうな)。それと、ちょっと気になったんだけど、冒頭で借金のカタに娘を女郎屋に売ってしまった親父が出てくるでしょ?例えばその後、その売られた娘が、女郎にはなったけど元気に生きてるよ、とかいうのを描いたりすれば良かったんじゃないかなーと、思ったりしました。ハナ肇は良かったんだけど、ねえ。 【ぐるぐる】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-05-12 17:55:46) |
2.山田洋次監督の映画では寅さんシリーズ以外のコメディの中ではこの作品が一番面白い。落語好きの山田洋次監督らしくテンポの良いストーリー展開とブラックユーモア満載でこれは楽しめる。同じ山田洋次監督の「馬鹿まるだし」や「馬鹿が戦車でやってくる」よりも面白かったし、好きです。それにしても山田洋次監督の喜劇の演出家としての才能の高さをこの作品を観れば解る。落語好きにとっては間違いなく楽しめるそんな作品です。あっ!そうそう、私もあの婆さん、怖かったなあ!けど、怖い中にも笑える要素がたっぷり描かれていて楽しかった。作品全体の雰囲気が何となく川島雄三監督の作品に近いものを感じたけど、私だけかなあ? 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-01-22 18:06:49) |
1.古典落語をモチーフにした山田洋次監督初期の時代劇コメディー。山田監督の「男はつらいよ」以前の初期作はこれが「馬鹿が戦車(タンク)でやって来る」、「馬鹿まるだし」に続いて3作目の鑑賞だったが、この映画は前の2本と違ってひたすらコメディーに徹していて、妙にシリアスなところもなく、単純に楽しめた。金を餅に包んで食べてしまうばあさん(武智豊子)が「八つ墓村」の濃茶の尼のようで怖い。「男はつらいよ」以降の山田作品では決して見られないようなブラック・ユーモアが出てきたのにはちょっとビックリした。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-01-03 03:14:38) |