6.テレビの世界で社会派ドキュメンタリーでならしたポール・グリーングラスの集大成でありハリウッドへの布石となる渾身の作。この作品の手ブレは臨場感を出すための手段として意識的に使われている。それは単に事件をそのまま再現したいというだけで使われた手段なのかもしれないが、もしこの作品が事件をそのまま再現したものに過ぎないのならば映画としての価値を見出すことはなかっただろう。でもこの作品は単なる「再現」を超えていると思う。それはブレどころを押さえているからだと思う。ブレないカメラが行進する市民、敵対心を露にする若者、英軍のそれぞれの立場のそれぞれの行為をわかりやすく映し出す。冷静で冷酷で、なおかつ結束力のあるところを一瞬で解からせるIRAメンバーの描写もいい。そこに暴動の激しさを表すブレる映像がここぞとばかりに挿入されるから効果も絶大である。主人公とまではいかないがそれに近い存在の青年がいるのだが、この青年の行動にもっと添ったかたちの作品にしてくれれば、個人的にはより良かったように思う。エンディングテーマでさらにそう思った。U2の「ブラディ・サンデー」はかっこよくて好きなのだが、この作品とは合わない。映画よりも存在感がある。おそらく音楽がかもす虚構性が映画よりも強いのだ。真実っぽく語るよりも虚構に富んだほうが胸に染み本質に迫れるといういい例だと思った。だからこそ一人の虚構の主人公を物語の軸にしてほしかった。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-10-01 14:14:47) (良:1票) |
5.何の気なしに借りてみたDVDで、グッときた…「血の日曜日」と言う事件のことは聞いたことがあるけれど、ああいう話だったのかと身につまされた。鉛色の空と荒涼とした風景が悲劇と相俟って重苦しさ作り出し、ゆれる画面とマイナーキャストでリアリティ倍増。戦争は全てを不幸にする。 【芝居好き!】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-02-06 21:21:21) |
4.大して有名な映画でもないし、ポール・グリーングラスという人もさして有名監督ではないのであまり期待せずに見たのですが、ほとんどの日本人が知らないうちにこんなすごい映画が作られていたことに驚きました。1972年に起きた実話をきわめてマジメに再現する作品で、映画的な脚色やドラマティックな演出はことごとく排除され、音楽すら使わないという徹底ぶりなのですが、だからと言ってこの手の映画にありがちな企画倒れや製作者の自己満足に終わることなく、映画として十分におもしろく作られているのがすごいところ。この映画はもはや「ドキュメンタリータッチ」という生易しいものではなく、1972年1月30日という日を丸ごと再現することに挑み、成功しています。あたかもその日その場にカメラが居合わせたかのような映像やセリフが続いて空気感まで再現してみせ、観客もその場にいたかのような臨場感を味わわせてみせます。ドラマ的な脚色は廃されているため前半の話は淡々と進むものの、無作為なように見えて実は巧みに話をまとめていくので退屈さは感じさせず、見る側のテンションを落とさないまま「血の日曜日事件」へと突入していきます。「血の日曜日」での監督の手腕は本当に圧倒的で、平和的に行われるはずだったデモが徐々に混乱していき、やがて丸腰の市民への発砲へ至っていくまでの様子をデモ隊、イギリス軍の双方の視点を巧みに交えながら、きわめて的確に描いていきます。また画面作りもしっかりしていて、実際のデモの中にカメラがいたとしか思えないほどリアルな映像であの事件を観客にも追体験させる一方で、同時に映画的な見せ場としての機能も十分果たしており、不謹慎ながら見ている側を興奮させるのです。このポール・グリーングラスという監督はタダモノではありません。画面作りに並ではない才能を見せると同時に、インテリジェントな題材の脚本を自ら書き、もっとも適切な手法で見せてくるのですから。ウィリアム・フリードキンが今の世代の監督なら、多分こんな風になっただろうなと思わせるようなすごい監督です。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-10-24 22:32:18) (良:1票) |
【Miranda】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2006-03-05 23:49:43) |
2.When they shot the people there. The cries of 13 marty martyrs. Filled the Free Derry air. Is there any one among you. Dare to blame it on the kids? Not a soldier boy was bleeding. When they nailed the coffin lidds. 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-10-20 07:00:03) |
1.1972年にアイルランド、デリーで起こったイギリス軍によるアイルランド市民虐殺「血の日曜日」を映画化した作品です。物語は冒頭から事件に至るまでの様子を、イギリス軍とアイルランド市民との視点から交互に描いていくので、最後まで全く緊迫感が途切れません。「血の日曜日」という名前だけは聞いたことがあったけど、実際にどんな事件かは知らなかったので今更ながらに衝撃を受けました。何ともやるせない、深い悲しみに包まれた作品です…。ところで監督のポール・グリーングラスは後に撮る「ボーン・スプレマシー」を観た時にやたらと画面のブレが気になったけど、この時から既にブレまくっています。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-27 23:38:49) |