2.前作同様に軍隊ラッパから映画が始まって、え、時間逆戻り? これってタイムリープものだったの?
もちろんそんな訳はありませんが、そう考えたけりゃ、それもあり。純朴なる前作の主人公が送ったかもしれない別の人生。しかし、前作から少しモジっただけの主人公の名前は、その匿名性も表している訳で、あくまで様々な人生の一つに過ぎないんだよ、と。
渥美清の顔立ちが「匿名性」を表しうるかというと、そこはちょっと自信ありませんが・・・。
前作では長門裕之の目を通して主人公が描かれていたのに対し(どんなに久しぶりであっても当たり前のように姿を現すのが面白い)、今回は淡々としたナレーターの語りが入り、やや愛想が無い印象ですが、二番煎じを避けようという工夫でもあるのでしょう。軍隊時代以来の二人の友情、というところから視点を大きく変えて、主人公が友情や愛情をはぐくむ相手は、軍用犬であったり、外国人であったり、障がい者と言えるかもしれない「ケイコ」であったり。弱い立場の者たちへと視線が向けられています。
前作から視野が広がっているとも言える反面、若干、作為的に感じてしまうのは、脚本に山田洋次が加わったことと関係しているのか、どうなのか。
夕日を背景に、死んだ兵士の棺をかついで行軍する姿を遠景に捉えた描写、こういうのは、ハリウッド映画にも負けてないんじゃなかろうか。