18.この女流監督、芸術というものを履き違えているのではないか? 冒頭の葬列ショットに目を奪われるがそれだけ。開始30分以降、強引な筋書きで森に入り、二人芝居が意味ありげに最後まで進むも、学生の自主制作映画にも失礼なくらいお粗末な作りが全編を貫く。突飛な言動がそこにあるだけで、何かを引き付ける魅力がこの映画にはない。"不運"にもカンヌ審査員たちの好みに合ってしまった。アーティストにおいて表現力と自己愛は紙一重だが、監督は圧倒的に後者だろう。多くの観客からすれば、私を含めて所詮"娯楽"目当てで観る人が多いのだから。 |
17.言葉や理屈で説明すると陳腐になってしまうことを映像で表現することはとても価値があると思います。が、この映画はやや表現が直接的という印象を持ちました。森の脅威や肌の温もりで生を実感するという表現自体が陳腐だという印象です。それがダメだと言うつもりはありませんが私は面白味を感じませんでした。先に見た「ブンミおじさんの森」の方が映像が美しく、ストーリーもスマートだと思うので物足りなさを感じました。 【エウロパ】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-08-10 12:41:13) |
16.TVでよくあるセミ・ドキュメンタリーであればわかるが 劇場映画としての企画としてありえないと思える。 【かれく】さん [DVD(邦画)] 4点(2013-05-03 12:51:13) |
15.漠然としていて、退屈で、とても居心地の悪い映画だ。“映画通”ぶって賞賛したいところだが、どう転んでも“好き”にはなれない映画だったと思う。 ただ、「命」の在り方を描いたこの作品そのものの“在り方”は、これで間違いないのだろうとも思える。 それは、「命」というもの自体が、漠然としていて、捉えようが無く、それを全うする多くの時間がある種の退屈さと居心地の悪さを秘めているからだ。 決して面白い映画ではなく、「つまらない」と断言できるが、この映画が「命」というものの本質を描こうとしている以上、それは仕方の無いことだと思う。 つまらない映画と言ったが、個人的には「尾野真千子」が観られただけで良い。 今作から10年前の同じ河瀬直美監督作品「萌の朱雀」にて、ロケ先の村の中学校で靴箱掃除をしているところをスカウトされ、主演デビュー。 当時立ち寄ったミニシアターでたまたまその映画を観た際の彼女に対する衝撃は忘れられない。 もちろん“素人”の演技であったことは確かだが、溢れ出る“女優”としての魅力と可能性に心を打たれた。 10年という時を経て、再び河瀬直美の独特の映画世界に降り立った彼女は、すっかり“女優”としての風格を携えていて、何だかそのことが一番感動的だった。 【鉄腕麗人】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-10-22 01:48:31) |
14.きっと素人には決して撮れない映画なんだろうと思う。神聖ささえ感じるラスト。素晴らしい。でも4点。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-02-02 01:23:12) |
13.言いたい事はとてもシンプルで全く難解な作品ではない。だが「生きる、死ぬ」というシンプルなはずのテーマを、やたらと小賢しく、芸術的に見せようとこねくり回しているのが見え見えで、観る側の感情移入を妨げている気がしてならない。それと台詞にいちいち深い意味を持たせようとしているせいで、会話中の言葉選びが非常に不自然に聞こえた。 主演2人の演技は素晴らしいし、河瀬監督の映像は相変わらずため息が出るほど素晴らしいので、海外受けするのも頷ける。言葉の壁のお陰で、映像と芸術的な雰囲気だけで作品を評価するだろうから。 「萌の朱雀」から観て、この監督の映像美には本当に感動させられるが、物語が何だか薄っぺらい。深みの無い純文学のような、そんな感じを受ける。いっそ完全に映像のみの作品(サイレント)を撮って欲しい。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 3点(2010-08-13 20:34:33) |
12.これを観た現在私は30代後半で、まさにいい年したおばちゃんなのだが、実は肉親やごく身近で親しい人間の死をいまだ経験していない。つまり、この映画を正当に評価できる人間としては相当に若輩者なのだと思う。特に後半からラストにかけて、まだ見たくないものを無理矢理見せられているような息苦しさが伴い、いずれは直視しなくてはならないことと知りながら、自分にまだその度量が無いことを思い知らされるきつい作品だった。多分、社会的な評価を知らなければ最後まで鑑賞できずに途中でリタイアしたと思う。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-04-05 01:38:40) |
11.本作品の持つ映像の美しさはただごとではありません。それだけでも見る価値があります。 【きのう来た人】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-01-16 06:22:18) |
10.酷い。これは認められないなー。焚火のとこだけ目が覚めました。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 1点(2008-10-23 20:18:38) |
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9.奈良県は「天国にいちばん近い都道府県」なのか? ちなみに私も奈良県在住ですけどね。あくまでフィクションとは言え、前半における老人たちの表情はまさに実生活のナチュラルさ。後半、森の中を彷徨う二人の姿、それはフィクションとしての物語なのだけれども、森はそれを圧倒的に包みこみ、もはやそこは、フィクションとドキュメンタリのはざま。生きることとは「人とのつながり」、であるならば、その二人の姿は、生と死のはざまでもある。我々はカメラを通じ、そこに同席し、森を共に彷徨い、森の底に沈みゆく二人の姿を見守る。いやあ、気色悪いんだ、これが(笑)。「映画とこうあるべき」という観点からは、少し外れた映画、いわば「はざま」の映画、かもしれませんけどね。観終わったときに感じる“居心地悪さ”を、不愉快に感じるか、観てよかったと感じるか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-17 11:47:57) |
8.緑が画面に過剰に溢れてくると、つい用心してしまうところがある。緑を見ると、直線的に「いやし」とか「やすらぎ」がイメージされるので、その手には乗らんぞ、と心構えしてしまったりする。損な性格だ。この映画でもちょっとそうなって、でもまあ、これ緑が主題の映画なのだから仕方がない。黄緑の世界から次第に深緑の奥へと分け入っていく話だ。スイカの赤、焚火の朱、古木の白などが、深緑と対比される。ただその深緑の奥の世界は、やや観念性が強くなりすぎた気がする。映画として出来がいいと思ったのは、前半の黄緑の世界の方だった。田を渡る風、果樹の葉。老人たちが周囲にいたことがけっこう大事で、それが観念に走らせない厚みになっていたのではないか。また全体としてヒロインに統一したイメージが結べなかった。茶畑で鬼ごっこになるあたりの明るさが、私には唐突すぎて感じられた。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-07-21 12:00:55) |
【Yoshi】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2008-03-24 23:46:37) |
6.シシ神がでてきそうな深い森で、死の悲しみを抱えた二人が惑う。この作品の良さはまだよく分からなかったけれど、とてつもなく悲しいときに見たら心が慰められるのかもしれない。 【さそりタイガー】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-03-10 01:25:38) |
5.いろいろ言われているこの映画だけど、映像だけで何かしらの物語を語ろうとすると、たぶんこんな感じになる。描いているのは、お墓参りの話。しかも、どれだけ大げさに表現したとしても一回のお墓参りで、死者への弔いが完了する訳がない。その意味で、この映画は、はじめる前と終わった後で、とくに死者への弔いにまつわる事態は進行も後退もしていないといえる。むしろ、生き残った人間のどれだけ切実な行為であっても、それが死者に届くことはなくて、生き残った人間自身を癒す方面にしか作用しないのであれば、この映画の主人公二人は自分自身を癒しただけともいえる。「自分で自分を癒すしかない」というこの映画があぶりだす真実は、河瀬監督の表現スタイルをあらわしてもいる。そのことに共感できるかどうかがこの作品を楽しめるかどうかを決める。 |
4.酷評喧しい作品ですが、そんなに悪くありません。たしかに最初は「『新日本紀行』が始まるのか」という感じだし、状況が掴めなかったり、セリフが聞き取りにくかったりする部分もありました。でも、風景と相まった素朴で武骨なストーリーには説得力があります。それに何より、主人公がいい。久しぶりに、凛とした強さと美しさを持つ女性を見た気がします。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-01-19 01:54:00) |
3.面白くない。一言これに尽きます。100人中95人は意味が分からずつまらないと言うでしょう。残りの評価する5人は外国人じゃないかな。演技は2人ともがんばっていたと思う。日本人でも意味がわからない作品が外国で賞を取るのは不思議です?北野映画を真似てるんですかね。この監督の作品は明らかに賞を狙いすぎの感があって嫌い。外国のインテリには受けるかもしれない。でも果たして外国人にも内容が理解できるんだろうか?そして自分の私生活も切り売りすればいい。でもこの監督ってそんなに権威なの?内容意味不明、国内興行で成功しない。でも外国で賞取った。マスコミはすごいと言う。この繰り返しですよね。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 1点(2007-10-11 12:44:18) (良:1票) |
2.認知症の男の生前の妻との思い出のシーンとか新米介護士とベテラン介護士の車中の会話とか妙にかったるいというか、物語を進めてゆくための説明が不器用というか、かと思うと茶畑でのかくれんぼに代表される美しい画がときおり飛び込んでくるもんだから、私にとっての実に微妙なラインを行ったり来たりしていたのだが、森に入ってしばらくしてから一転。雨が降り、森が森の本性を現したとき、女は「死」に直面する。純粋に「生」を欲する。生きたいという叫びの激しさにたじろいだ。一つの画の衝撃によって他はどうでもいいと思うことはよくあるが、これは画ではなく、生と死というテーマを元に進行していた物語に突然あまりにもテーマそのものの本質みたいなものを露骨に見せたストレートさにびっくりした。そしてそれは新鮮でもあった。もうひとつ言うとそのストレートさを森が許容する。あとはその驚きの余韻にひたっているうちに映画は静かに終わった。もちろん生の象徴であり死の象徴である完全な森の描写によって、画とテーマはすでに直結していたからこそ、そこに驚きと感動があったのだと思う。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-10-10 16:27:55) (良:2票) |
1.なかなか頑張っていて、おもしろい映画ではあるのだけれど、認知症のリアリティが全く欠ける点で、しらけてしまうのは、やむをえないであろう。 また、カンヌで受けそうな、インテリ向けの映画という見方もできるし、押しつけの価値意識が鼻につくともいえる。 【みんな嫌い】さん [映画館(邦画)] 4点(2007-09-11 12:44:08) |