1.反体制の風潮が後押しし、悪事に悪事を重ねるメスリーヌが徐々に時代の流れから外れてゆく。というか、そもそも世間とメスリーヌのあいだには端からズレがあって、そのズレがどんどんとあからさまになってゆく。ただたんに自分勝手で残忍な犯罪者にすぎない男が世間にまんまとのせられただけ。くどくどと語らずにそんな時代背景が見え隠れする構成でじっくりと見せてくれる。あいかわらず俳優頼みの演出だが。ようやく魅力的な女が登場するも、サニエの女優としての力がそうさせているにすぎない。結末は先に映されているので、そこに行くまでをいかに堪能させるかがこの作品のポイントとなるはずなのだが、その肝心のクライマックスとなるべきシーンの演出に呆れた。あの分割映像になんの意味があるんだ?分割にするなら別のアングルで別のもんを映そうよ。隠れている捜査官のびくつきをセリフでしか表現できない情けなさ。えらく長引かせたわりにドキドキしないサイテーなクライマックス。ここはどう考えてももうちょっと面白くできるだろ。