5.ストーリーテリング的には“いかにも”なクライムアクションもので、さほど目新しさはない。
ただミスマッチに思えたデンゼル・ワシントンとマーク・ウォールバーグの食い合せは、意外と悪くなかった。
デンゼル・ワシントンはこのところの出演作でのお決まりの役どころを、好意的に捉えれば安定的に、悪く言えば工夫なくこなしていた。
一方、マーク・ウォールバーグは、個人的にこれまでそれほど魅力を感じてこなかったハリウッドスターだが、先日「テッド」を観たばかりということもあり、演者としての幅の広さを感じることができた。
ヒーローからダメ中年、エリート軍人からレンタカー店員まで、役どころに対する柔軟性こそが、このスター俳優の「売り」なのだろう。
その他のキャスト的には、紅一点のポーラ・パットンが前々から気になる女優で、今作でも魅力的な雰囲気を醸し出していたのだが、最終的には決して“おいしくない”役どころが残念だった。
彼女にまつわる顛末がもっと小気味よかったなら、映画全体の印象が変わったことだろう。
最終的な顛末については、現される「巨悪」に対してそれで済まされるのか?という感じだが、そもそもB級クライムアクションとして観れば、充分楽しめると思う。
ただし、デンゼル・ワシントンにおいては、そろそろB級アクションを連発することは控えて、どしっと腰を据えた力作に挑んでほしいものだ。