2.冒頭でいきなりぬる~いCG全開、「この映画、大丈夫なの~?」とハラハラしてしまいますが、映画が進むに従い、ちゃんと物語でハラハラさせてくれます。幼いひとり息子を前の夫の実家に預けたママさんが、息子の滞在先付近で紛争が発生したと聞き、必死に息子のもとへ駆けつけようとするオハナシ。乗っているバスが何者かの攻撃を受ける場面や、逃げ込んだ建物が攻撃を受ける場面なんかで、崩壊の過程が結構緻密に描かれていて、こういう描写にやっぱり手に汗握るんですね。凄惨な描写は比較的抑制されていて、でもそれを補うように、登場する数々の戦車が戦場らしい雰囲気をちゃんと作り出していたり。残酷描写に走らず、逆に、少年の夢想を利用してファンタジーを絡めてきたのが、(どの程度、成功していると言えるかはともかく)味付けとしては非常にユニークで、物語のご都合主義的な部分、希望めいた部分も、イヤミを感じさせることなくソレっぽく収めてしまう。
何よりも、この主人公のママさんの奮闘ぶりが、いいんですね。最初は場違いなミニスカート姿だったのが、ヘルメットを被って戦場を切り抜け、最後はたった一人、チョコチョコと走っていく姿、何ともけなげで、いとおしくって。