1.トマス・ウルフ。学生の頃講義で名前だけは知っていたけれど、作品に触れたことはありませんでした。ましてヘミングウェイやフィッツジェラルドも担当した名編集者の存在も今作で初めて知り、当時の世相描写とあわせて興味深かったです。
キャスティングが成功してまして、破天荒な天才を演じたのはジュード・ロウ。イケメンなので分かりづらいけれど、かなり器用にいろんな役をこなせる人です。C・ファースは言うに及ばず安定感ハンパないですし、想いは常に一方通行のパトロン、N・キッドマンも痛々しいヒステリックぶり。下降気味のフィッツジェラルドのG・ピアースも良かった。
トムの抑え切れない表現欲と苦しみも、パーキンスの情熱と困惑も、アリーンの嫉妬心も生々しく伝わります。人間ドラマの濃さが尺足らずの脚本を補って余りある、役者陣の力演でした。