5.冒頭の断片的なエピソードが、互いに連関することなくただ登場人物を導入するために並列に配置されているだけなのもイマイチ工夫が無いし、ロイ・シャイダーが自動車事故を起こすという、いかにも本編の伏線になりそうなネタがさほど活かされていないのも奇妙だし、何と言っても、あの素晴らしいまでにエゲツない『恐怖の報酬』(1953年)をわざわざリメイクしようってのが、すでに分が悪い。まあ、オリジナルと比べて、ああだこうだ言うのも、無粋かも知れませんけどね(でも比較されるのがイヤなら、そもそもリメイクなんかに手を出さない方が・・・)。
だけどやっぱり、本作にも、圧倒されてしまう。あのつり橋のシーンの、途轍もないシツコさ、そして緊迫感。いやホント、そこまでやるか、と。
ケモノ道みたいな、道なき道を進むクルマ。こんなところまで来てロケして、本当に無事帰れるのか、と、要らぬ心配までしてしまう。
さらには若干、エクソシストっぽいオカルト風味まで感じさせたりもして。確かにここには、このリメイク作ならではの世界が広がっています。これはこれで、スゴい映画。
ところで、最初の方のレストランのシーン、バックに流れているのはモーリス・ラヴェルの弦楽四重奏曲で、実際に店内に流れている音楽なのか、劇伴なのか、判然としないのですが、最後に、劇伴としての不協和音がそこに重なって、独特の効果を上げています。