1.うわー凄い。鮮やかなミスリード、真実を知った時のカタルシス。構成力は超一級品です。
この作品を一枚の大きなからくり絵とします。端から時間の経過とともに目で追っていくと途中で紐が引かれて、それまで見てきた絵のパーツがひっくり返って違う絵が現れる。それが終幕までに何度か繰り返され、最後の紐が引かれた時現れた絵は最初と全く違っている、そんな感じです。
観ている側にあえて情報を伏せる場面もありますが、繋がりに不自然さが無いので違和感を抱かせません。騙され好きな方におすすめです。
なんだか不安な気にさせる音楽と映像も良いです。清潔感があって美しくでも冷ややかな画ヅラがとても印象的で、モデルルームのように生活感の乏しい豪邸のショットが頻繁に挟まります。大きな屋敷ってしん、としているだけで何故緊張するのでしょうね。
自動シャッターの巻き上げの部分とか冷蔵庫の電球がぽっと灯る瞬間とか、丁寧すぎるほどの描写にも注目。この映画全シーンが伏線みたいなものなので二度目に観たときはそんな何気ない場面のひとつひとつにも過剰に深読みしがちになりました。