1.いつの時代も、“動ける”女優は魅力的で美しい。それは映画が「活動写真」と呼ばれた時代から娯楽的本質だと思う。
髙石あかりと伊澤彩織、主人公のJK殺し屋コンビを演じた二人の無名女優が、何をおいてもとても魅力的だった。
特に、圧倒的な体術を駆使して襲いくる男たちを凌駕する“まひろ”を演じた伊澤彩織は新時代の“アクション女優”として、この映画を観たすべての映画ファンの心を射抜いている。
「キングダム」「るろうに剣心」「G.I.ジョー」と日米の大作映画でメインキャストの“スタントダブル”を務めたという紛れもない一流スタントである経歴を踏まえたアクションの説得力と、朴訥としていてそれ故に瑞々しい存在感は唯一無二だった。
バイトの面接に落ちて、意気消沈のまま気だるそうにソファの背もたれ側からクルッと前回りして寝転がる。
そんなあまりにも何気ない1カットにこの女優の魅力が凝縮されていたように思う。
一方の髙石あかりも、特異なルックスと勘のいい動きや台詞回しに女優としての天賦の才の片鱗が溢れていた。
ビジュアル的にも、演じるキャラクター性としても正反対のアンバランスさが、逆説的に主人公コンビとして絶妙なバランス感を生んでいたと思える。
監督・脚本・編集を務める阪元裕吾の作品は、本作の前作の「ある用務員」を昨年観たけれど、映画作品としてのクオリティの低さに失笑を禁じ得なかった。
本作は、キャラクター設定こそ微妙に違えど、「ある用務員」にも登場したJK殺し屋コンビ主人公にしたスピンオフとも言える作品だが、クオリティと満足度は“爆上がり”している。
作品の世界観自体はほぼ同じユニバースと言え、雰囲気は共通していたが、演者のフィット感や、演出のディティールが段違いだったと思う。
主人公たちがバイト先に選んだメイドカフェのバイトリーダー的な先輩が貧乏で、コンビニのデカくて安いパンしか食べられない描写が秀逸だった。
めでたく続編製作が決定したようで、楽しみである。