18.戒厳令下の街を撮らせると、この監督の右に出るものはない。兵士のいる風景の凶々しさ。あの臨場感だけでまいってしまう。移動した末に兵士たちが見えてくるという図がいいんだ。「人民のための軍隊」など決してあり得ないことを知っている者の視線。戒厳令下の夜、白い馬がジープに追われて走っているシーンの美しさといったらない。字で書くといかにも象徴という感じだけど、白い馬=自由という図式を経て頭に来るのではなく、即、胸にジーンと来る。それまでの息苦しさや重圧感が、観ている者にしみ込んでいるから、あの馬の跳躍に憧れを感じ、ガンバレヨと声援を送りたくなるのだろう。理想肌だがお坊ちゃんの息子と、保守だが自信のある父に、アメリカの二面を代表させ、こちらはちょっと図式的だったか。『Z』以下の三部作に比べると集中力はやや劣るも、社会派でも面白い映画は面白いんだ、ということを周知させた監督だった。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-09-07 09:49:02) |
17.重くなりすぎず、政治的メッセージを伝えてくる作品。序盤に人間関係や舞台が明らかにされないのも、先が気になる作りだと感じた。 |
16.とりあえずJ・レモンが出てくる中盤前あたりまで、ずっとイライラします。ストーリーどころか状況がまったくわからないから。まず舞台がどこなのかさえわからない(チリだとわかるのはずっと後)。街中に軍隊が繰り出しているのも、戦争なのか、内戦なのか、テロ警戒なのか不明。ついでに、息子と2人の女性の関係性もわからない(妻と単なる友人とわかるのはずっと後)。 で、さすがにJ・レモンが出てきてやっとストーリーも落ち着きますが、この話、どうなんでしょうねえ。ひと言でいえば、よくある「陰謀史観」です。「これが真実だ」と言われればそれまでですが、どうも見方が偏っている感が否めません。なんか共産党か社民党あたりの偏屈なプロパガンダ映像を見せられているようで、個人的には好きではない。ただし、音楽がヴァンゲリスであり、よくテレビのBGM等で使われるあの曲がこの映画のエンディングテーマだったことはちょっと驚き。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-12-16 03:19:15) |
15.突然ですが、わたしゃ“心霊写真”なるものが大嫌いでして、まあ信じないのは当然としても、あのアホらしさというものには、どうにもこうにも我慢できない。死者の怨霊が、カメラとみりゃ「ねえ写して写して」って割り込んでくるってか。コワいでしょ、ってか。アホ過ぎる。超自然の存在であるべきユーレイたるものが、そんなにミーハーで、そんなにワカリやすくって、そんなに陳腐で、どうすんのよ。と、まあ関係ない話題から始めたのも要するに、この映画のコワさ、キモチ悪さ、といったものが、一味も二味も違うからでして。自分は今、一体どういう状況に置かれているのか。尋常ならざる状況であることだけは判るのだけど。間欠的に発砲される銃の音。川を流れてくる死体。さらには、何故か道を走る馬。床に無造作に並べられた無数の死体に圧倒され、ふと上を見上げるとそこにも死体が累々と横たわっている、という不気味さ。個人では太刀打ちできない何か巨大な存在が、チラチラと横顔を見せつつも、はっきりと正体を現さず、ただ辺りを取り囲んでいる。で、この状況に置かれた、二人の主人公、すなわち、拉致され行方不明となった男の、妻と父は、あくまで“日常的”な存在。二人の交流なり衝突なり、といったものが描かれるとき、彼らはあくまで、我々と同じ普通の日常人でしかないことを感じさせるのだけど、その彼らが、夫を、息子を捜しだすという“信念”によって、状況に立ち向かっていく姿、そこに感動を覚えずには居られません。いやまあ、「実話モノ」に弱いってのもあるんですけど・・・(今回はイヴ・モンタンではなく)ジャック・レモンとシシー・スペイセクという配役の上手さもありますね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-09-19 23:20:18) |
【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 6点(2011-05-19 23:33:56) |
13.チリのクーデター時代以降、あまりにいろいろのことがありすぎて、導入部の「事実に基づく」との丁寧すぎる注釈が逆にあざとく感じてしまう。アメリカ政府自体、ある面開き直っている現代では「別にこの程度ならあっても不思議ではない」と写ってしまう麻痺は恐ろしい。 |
12.軍事クーデターの恐ろしさが如実にわかる映画。実話を元にしているだけに説得力があり、チリのクーデターの背景を知ることができた。父と嫁の対立から理解合えるまでの過程がよく描かれていると思う。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-23 21:29:57) |
11.『Z』『戒厳令』『告白』といった、コスタ=ガヴラス初期作品に比べると、かなり手ぬるい内容で、満足とまではいかなかった。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-12-27 21:12:30) |
10.重いです...今の僕には、考えることも受け止めることもできず、ただストーリーを理解することで精一杯でした...街中に無造作に死体が転がっていてそれに反応もしない市民たちがとても印象的でした。もっと勉強して観なおします。評価は何ともいえないという事でこの点数で。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-03-07 00:10:43) |
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9.どういう社会情勢だったのか分からんために何をごちゃごちゃやってるのやらさっぱり。もう少し勉強してからじゃないと楽しめないのかもしれない。 【ぷりんぐるしゅ】さん [ビデオ(字幕)] 4点(2005-04-24 05:29:51) |
8.街中に「何気なく」転がっている死体や、その辺を歩いているだけでもいつでも尋問・連行される光景など、軍事力が政治と結びついたときの恐怖を、この作品はまざまざと提示しています。また、アメリカの中南米に対する一連の侵略・クーデター支援の1つを分かりやすく記録化したという点でも、この作品は重要です。映画としては、前半で時系列が分かりにくかったり、後半が普通の捜索話になってしまい、家族としての焦燥感や絶望感が表現されていなかったりなど不満もあるのですが、この作品の意味するところは、我々は十分に認識しておくべきです。ジャック・レモンとシシー・スペイセクのがっちり組み合った演技勝負も素晴らしい。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-09-06 02:59:55) |
7.渋い社会派ドラマ。戒厳令という存在そのものが不気味でいい感じ。しかし政治が介入してくるドラマというのは、個人の力ではどうにもならないだけに何とも言えないやり切れなさが残ります。 【ラーション】さん 7点(2004-04-14 01:16:02) |
6.スティングの「ダンスアローン」とゆう歌の意味がこの映画観るとわかる。別の監督の「戒厳令下チリ潜入記」とゆう映画もすごかったです。本はもっとすごかったです。 【きなこ餅】さん 8点(2003-11-06 23:10:52) |
5.映画は、歴史と呼ばれうる現実に向き合うことができるか、とういう問いかけに対するひとつの試み。 【swampy】さん 9点(2003-07-03 00:12:08) |
4.コスタ・ガブラス監督らしい誠実な語り口でビシビシ攻めてくる秀作ドラマ。自らの父親をイメージして演じたというJ・レモンの説得力ある演技と、あてもない焦燥感にかられながらわずかに残された希望に向かって進み、行方不明[ミッシング]となった夫を探し続けるS・スペイセクの存在感ある演技。主演2人による力が大きい作品なのだが、オープニングのオレンジ色の不気味な雰囲気から内政不安定な南米の市街地描写へ昇華させるという何とも巧い演出。以降、一人の青年を数少ない情報から探していく過程を決して欲張らずに誠実に描いたこの映画は正しく傑作だ。 【チャーリー】さん 9点(2002-01-10 15:36:30) |
3.チリ、サルバトール・アジェンデ大統領により史上初めて選挙で樹立された社会主義体制を、軍部と米国とが武力で潰した史実を背景に、理想に燃えた米国青年の失踪を描く。圧倒的暴力の横行に恐怖と抵抗心が漲る。「アジェンデの実験」は結局水泡に帰した。その最中、この様な忌まわしいテロの横行継続を座視し、今やもう忘れたように俺らには見える世界を、もし、しょうがないと考えるなら、きっとそれは俺らに余裕があるせいだね。ハハ... |
2.いつの世も権力の犠牲になるのは弱者だと言うことか。連行された裕福な外人の息子が、弱者かどうかは甚だ疑問だが・・・ 【イマジン】さん 8点(2001-01-27 00:30:34) |
1.実際に起こったアメリカ青年の失踪をモデルにしているこの作品は、民主主義政権が戦車と銃器によって倒され、戒厳令下に入った首都の不気味な雰囲気を、ドキュメンタリー・タッチな映像で見事に再現されている。又、そのクーデターがCIAや多国籍企業が陰で糸を操っていた事を、J・レモンの父親とその息子の嫁が身を持って実証していく姿が感動的だ。 【ドラえもん】さん 8点(2000-11-26 21:46:18) |