51.鎌倉妙本寺の総門と二天門の間には,ひとを正気に戻させる何かがある。ツィゴイネルワイゼンの豆まきのシーンでこのお寺が映るから言ってるのではない。 磁場,石や苔,樹木や葉,塗られたペンキ,コンビニ袋。それらを包む空気。「精神」という抽象的なものではなく,それらの物質がヒトに超好ましい影響を与える、その場所の一つが妙本寺なのだ。と,久しぶりに行って体感したのである。 そしてその「正気」とは残念ながら決して「善き現実」だけを見せるわけではない。可能なら遠ざけたい「死」や「理解が非常に難しいモノ」なども直視させ(確実に存在する!),それを鈴木清順は映画ツィゴイネルワイゼン中に結晶化したのであります。これ以上冷徹な映画は他にないだろう。何度も観たくなる。 この映画を観るのは今日でたぶん8回目だ。今回も非常に良かった。ヘルメットを被り,スポーツタイプの自転車で妙本寺に行ったのが再再再再再再再鑑賞のきっかけ。ツィゴイネルワイゼン現代版の撮影で,二天門からヘルメットをかぶって自転車で滑走する場違いで理解不能な異物として自分が参加しているような錯覚を覚えた。 清順ワールド恐るべし。10,10,10,10,10点!! |
50.鑑賞後、感想を形容する言葉がしばらく思いつきませんでした。で、結局出てきた言葉は「わからない」です。見て不快な気分にはなりませんでしたが、見た価値があったとはとうてい思えません。なんかよくわからないけど、凄いものを見たという気持ちにもなりませんでした。優れた芸術品は、人によく理解されなかったとしても、そう思わせるパワーがあるものです。この作品は、本当に人を選ぶと思います。 【川本知佳】さん [DVD(邦画)] 3点(2015-02-09 00:41:40) |
49.ちょっと変な話。赤く染まる骨、夫婦の会話の途中に聞こえる何かの声、娘の夢を頼りに本を返してもらいにくる女、屋根瓦にどこかから落ちてくる小石の音。はっきりとした「怪談」ではなく、ちょっと変という程度の「怪異」。この雰囲気がいい。サラサーテの呟き。あきらかに何か語っているのだが、よく聞き取れない、もしかするとよく聞き取れないように呟いているのかも知れず、自尊心がハッキリ語らせようとしないが、心の中にしまい続けているのもつらい、という想い。それが次第に嫉妬とか怨みとかに固まっていく。内にこもって骨を血で染めたり、ちぎりコンニャクの山を作ったりする。生きていると勘違いしている者の夢なのか、ストーリーは次第に曖昧になっていくのだが、画面は実に明晰なのだ。おどろおどろしさよりも、カラッとしたユーモアが漂ってくる(たとえば盲人三人の決闘シーン)。清順の世界とは、これだったんだ、あまりに明晰なゆえに掴み切れた気になれない夢魔。そして男2女1の三角形が繰り返されていく。嫉妬。外れた1が怨みを抱きながら2と並んでいる怖さ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-08-23 10:01:37) |
48.見世物小屋のような得体の知れない異様な気持ち悪さ、苦手です。観る人を選ぶけど好きな人はそうとう嵌るんでしょう。 |
47.鈴木清順監督の映画は今まで観たことありませんでした。各場面の繋がりは難解で、意味の分からないシーンもたくさんありますが、それがとても新鮮に感じました。意外とストーリーはしっかり出来上がっており、ただ難解な作品というだけではなかったので、予想以上に楽しめました。予備知識がある上で見ましたが、それでも衝撃的な映画でした。CSでは監督のインタビューも合わせて放送されており、「映画なんて形に捕らわれず、みんな自由に撮ればいいじゃない」と仰っていました。これはまさに監督の頭の中を映画化した作品なんだと思います。 【たけたん】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-02-15 18:35:22) |
46.ワケわかんないのに退屈せず、最後まで見られた。骨はたしかに美しいなと思ってしまう。人間が誰しも内包している美と死。考えると怖くなる。全く関係ないが中原中也の「骨」も思い出す。ものすごく怖い映画なので今後おいそれとは見られないが、強烈に印象に残った。それと、藤田さんが時たまハーヴェイ・カイテルに見えたのも、どうでもいいが印象的。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [レーザーディスク(邦画)] 9点(2010-05-27 21:43:18) |
45.青地さんが中砂家を訪ねるシーンで、暗闇の中を手探りで進んでいく場面が好きです。 全体的に雰囲気は楽しめましたが、145分はちょっと長かったかも。 【TAKI】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-11-25 22:22:09) |
44.凡人の僕は、ただただ「大谷直子がかわいいなあ」と、そればかり思っているうちに見終わってしまいました。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-02-02 21:46:47) |
43.雰囲気を楽しむ映画なんでしょうね。自分にはマッチしませんでしたが。蟹・盲目の三人・蒟蒻・目な舐め等の発想は評価に値します。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-02-11 14:53:56) |
42.第一に面白くない。 そしていかにもな映像センスが自分とは合わない。 更に、原田芳雄が苦手。 大楠道代も楠田枝里子の様で気持ちが悪い。 だけど、不思議と印象に残る作品だ。 この特別な印象こそが、本作が高く評価される源なのかもしれないが、その良さを十分には理解できなかった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-02-05 19:03:37) |
|
41.グロテスクなのに美しい。意味不明なのに胸に響く。下手なのに魅惑的な藤田敏八。そんな様々な矛盾が絶妙に織りなす奇跡の怪作。 【丹羽飄逸】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2007-08-10 21:29:22) |
40.不思議だ。意味がわからないのに、2時間半があっという間だった。もう少し歳をとった時にもう一度見れば、点数は上がるかもしれない。 【T橋.COM】さん [DVD(邦画)] 4点(2006-07-02 23:08:25) |
39.日本の芸術映画の頂点に君臨する大傑作。 リンクが張り巡らされた奥深いストーリー、効果的なカメラワーク、 鮮烈な色彩、生々しくリアリティのある音、俳優陣の個性あふれる演技、 掟破りの演出。そのすべてが超一級であり、観る者に強烈な印象を与える。 【Ruby】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-04-19 02:35:43) |
38.僕たちが生きているこの世界は、隅から隅まで合理的に閉じてできているわけではない。だから、時々、合理的には説明できない、時間と空間を僕たちは体験することになる。そして、僕たちの中には、そうした体験が忘れてしまいたいほど嫌いな人と、逆にそこに言葉では表現できない安らぎを感じる人がいる。、、、、いうまでもなく、前者のタイプの人はこの映画は嫌いなはずであり、後者の人は大好きだと思う。、、、、、ただ安らぎを感じる人も、日常の合理的な世界に戻って来ることができるという前提でそう感じているにすぎない。すみからすみまで非合理的だったら、とっても耐えきれないに違いない。そういう点で、ツィゴイネルワイゼンは陽炎座と好対照をなしていると僕は思う。陽炎座まで行くと、合理的な世界の破壊は一線を越えていて、見ていて不安感が増してしまう。一方、ツィゴイネルの場合は、叙情的な音楽や、鎌倉の情景やらが命綱になって、こっちの世界に戻ってこれるという安心感がある。、、、、、あと、陽炎座の松田優作は、どう演じていいのか最後までしっくり来ていないように思える。そりゃ、普通の映画とは全然違うから、彼のそれまでの俳優の経験は全然通用しないわけだ。逆に、素人の藤田敏八さんの木訥でへたくそな演技の方が、この非合理的な世界の中で、どうしていいのかわからない雰囲気が出ていて、ぴったりして、しっくりくる。、、、、この映画を見てからもう随分とたつのに、ふとあのカニの「ちゃっ、ちゃっ、ちゃちゃちゃ」という音が蘇ってくる。 【王の七つの森】さん [DVD(邦画)] 10点(2006-02-28 14:11:23) (良:1票) |
37.頭で「わかろう」とかしないで。 ただ、静かに、 この美しい毒を飲んでしまいましょう。 ゆっくりゆっくり。 【tj】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-01 07:22:18) |
36.どこかの映画館で「ツィゴイネルワイゼン」と「陽炎座」の2本立てという魅力的な企画があって、清順を未見のままにしていた甲斐があった!ということで飛びついた。が、その日は上映開始からすでに眠かった。これはちょっと無理かな、と睡眠モードに入ろうとしたが、映像がすでに夢うつつ。しかも強烈な切り絵を連続したような不可解な繋ぎと意味不明な登場人物たちに吸い寄せられてしまい、夢を見ながらギリギリ覚醒しているような状態で4時間を過ごした。そのおかげで、いまだにどっちがどの映画なのかよくわからない。言ってみれば「ツィゴイネル座」なのだ。ここのレビューなどを見て何とか分離させようとしたがやっぱりダメ。花束から綺麗に花びらが散ったかと思えば山奥へ原田芳雄の夫妻を訪ねるシーンが出てくるし、まつげを舌でなめられたのは松田優作だったような気がするし・・・でも、これでいいような気がしてきた。だってセイジュンだし。事実、「ツィゴイネル座」は私にとって最強の幻想映画なわけで。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-04-07 17:03:20) (笑:2票) |
35.レコードに入り込んだ声。でも、何を言っているかはいまいちわからない……実は、こういう意味のわからないものが一番怖い。助けてという声が入っていたとかなら確かに怖いけど、どこか嘘臭くなるし、なにより恐怖だけで「不安」がない。アメリカのホラー映画の恐怖はショックの要素が強く、日本のホラーはぞっとさせるような戦慄の要素が強い。リンチの映画は戦慄に近いが不条理な作りは「不安」を付けたし、恐怖という感情をさらに複雑なものにしている。清順のそれはさらに乱歩や夢野久作のような日本的な「妖しさ」がある。この、夢を見ているような足元もおぼつかない感じ。生と死、意味と無意味の中間。日常では絶対に感じることのない雰囲気にどっぷり浸かることができる。 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-01-27 06:15:08) |
34.言葉による一切の解説を拒むかのような映画。どんな映画かと人に問われたら説明する自信はない。悪い夢を見ていたような144分だった。 【ラーション】さん 10点(2004-12-23 17:53:30) |
33.難解ということでリンチの名前が挙がるんでしょうが、鈴木清順という人はどちらかというとゴダールの系統だと思います。映画文法を意図的に壊してますから。でもその部分だけであとは完全な独自の世界感を持っている。この作品では”あの世”というあいまいなものを彼の独特なセンスでもって描いているので余計に奇怪なものとなってます。驚かされるシーンは挙げればキリがないのですが、ひとつ。青地の現実と妄想(妄想も現実かもしれない)の中、小稲(あるいは園)が着物を脱ぎます。そこでオッパイもあらわにニッコリとポーズをとるカットが一瞬映し出される。ゴダールの踊らないミュージカル『女は女である』のアンナ・カリ-ナを彷彿させますが、こちらはオッパイ付きですからこちらの勝ち、、(冗談ですよ)。もうこのシーンだけでこの映画を愛せます。大正浪漫三部作の中でこの作品だけ未見のままで、本年ようやく観ることが叶った作品なのですが、期待を裏切らない傑作でした。これは今後、何度も観ることになると思います。 【R&A】さん 8点(2004-10-19 15:34:30) (良:1票) |
32.クラクラする凄い映画。映像と音楽の怪しさが◎ 【PAD】さん 9点(2004-10-13 15:10:14) |