11.共に既に家庭を持っている男と女のロマンス。平たく言えば不倫モノということになるのですが、
そういう言葉で片付けたくはない雰囲気と内容、そして品を持った作品です。
本作の主演女優、セリア・ジョンソン。その表情の演技が特に印象的です。
巨匠リーンの繊細な演出と、彼女の繊細な演技が見事に重なり合う。
相手役のトレヴァー・ハワードと共に美男美女が極上の絵になるロマンスという訳ではなく、
2人が互いを求めあう感情を露わにする激しさのあるシーンがある訳でもない。
毎週木曜日の買い物に出かける午後のほんの半日の2人の心の機微を実に丁寧に拾い上げていく。
それが本当にいい映画です。
巨匠リーンの初期の90分に満たない小品ですが、リーンの後の大作にひけを取らない作品だと思います。