1.主演ウィレム・デフォー、ミッキー・ロークじゃ話題性としてはこの程度だろうと納得してしまうほど見落とされがちな本作だが、非常に生真面目に、セオリーに忠実に作られたサスペンス映画としてはもう少し評価されても良いかも知れない。どこまでもセオリー通りで大きな冒険も派手な仕掛けもなく、ヒッチコックを踏襲する正統派のサスペンス映画だが、主演のデフォーはもちろんミッキー・ロークやサミュエル・L・ジャクソン、メアリー・エリザベス・マストラントニオといったクセモノ系を集めたところで先行きの不透明感を高めることに成功した。こういうキャスティング依存型の作品にありがちな無駄などんでん返しの連発に走らず、最後まで正統派で真正面から勝負したことは評価できる。ヘタをすれば火曜サスペンスにしかならないところを、ここまで持って行けた演出の手腕も流石。意外な掘り出しモノだと思う。