2.サスペンスとしての構成は至ってシンプル。おそらくどんでん返しに次ぐどんでん返しサスペンスに慣れた方にはこれでは物足りないとは思います。でもこれはストーリーより、当時のモノクロ映画技術の粋を集めた、光と影とが織り成すスリルを味わう映画。これカラーだったらさほど面白くはないはず。モノクロ映画である事の長所が遺憾なく発揮されてますね。「ガス燈」や「レベッカ」あたりの、雰囲気醸成に秀でたスリラー映画に高い評価を与えている方に特にお勧め。「疑惑の影」のテレサ・ライトしかり、この種のサスペンス映画には護ってあげたくなるような可憐なヒロイン(この映画ではドロシー・マクガイア)の存在が必須という事を改めて痛感させてくれます。クライマックスの「らせん階段」を中心としたシーンの構成には唸りました。しっかし・・・こんなにも登場人物が少ないのにもかかわらず、ラスト10分前まで真犯人を当てられなかった俺って一体・・・(泣)