4.90年代のロメールと言えば、四季の物語シリーズに取り組んでいた頃。
それを一旦中断して撮られた本作は、あのロメールが政治に言及する異色作です。
しかし変わらず登場人物は誰もが饒舌、ロメール節は本作でもすこぶる快調。
左派を自称するある田舎町の市長。緑が豊富で農業が主要産業。他にこれといった特色が無い小さな町に、
総合文化会館を建設する市長の計画に端を発する騒動、というほどのこともないですが、様々な人々の主張が面白おかしく繰り広げられる。
作品は7つの章に分かれていて、これが邦題にある「7つの偶然」となっています。
理屈っぽいそれぞれの主義主張が繰り広げれますが、結局は偶然の連続、偶然の積み重ねで世の中は回っていくということか。
軽いタッチの中に風刺や皮肉も効いている。汚職も無く箱物建設の利権に群がるような者も出てこないロメール流政治モノ。楽しい映画でした。