7.座頭市シリーズは90分に満たない作品も多く、コンパクトな印象がありますが、この作品などはその代表で、結局このヒトとこのヒトとは実はこういう関係で・・・というのを辿っていくと、何だかやたら世間は狭いなあ、となってしまうのですが、良く言えば、まとまりのあるオハナシ。旅先で知り合った少年一家を助け、町を牛耳る悪辣な一味に立ち向かう座頭市。
はたまた、座頭市が知り合う女郎のお蝶さんというのが登場しますが、これが小川真由美。どこか妙に現代的ですねえ。で、妙に色っぽい。さらにそこに絡んでくる浪人風情の男が「あの」天知茂で、座頭市のライバルとして超重要な役どころですが、何なら、このヒトが一番、存在感無いかもしれない(笑)。いや、無い訳じゃないけど、ちょっと収まりが悪くって、もっとしっかり描くか、いっそ今回は割愛するか。なんか、勿体ない。けど、まあいいや。
どうしてこんなオカルト映画か何かみたいな不気味なタイトルにしたのか、内容はオカルトでも何でもなく、しかし大映時代劇なので、画面の暗さはオカルト映画以上かも知れませぬ。そんな中、クライマックスの殺陣が、シルエットが闇を切り裂くように引いたカメラで描かれて、不気味さここに極まれり。実際は明るい場所で撮影し、処理によって暗く見せているので、振り回される白刃が光を反射し、うごめく黒い人影に妖しい彩りを与えます。やたらカッコいい。死神たる座頭市の、面目躍如。