2.イスラエル、パレスチナという言葉には禍々しいイメージを持っています。見たくない世界。そんな気持ちの中でも、序盤は映画に入りやすかったです。
暗喩に満ちた内容ではありましたが、この映画でのイスラエルのさまざまな【日常風景】には"笑い"が含まれていました。
普段あまり見ることの無いイスラエルの風景に新鮮さを感じると共に、静かで寂しい引き画の連続に美しさも感じていました。
中盤、監督が出てきた辺りから雰囲気が変わります。賑やかな音楽が多用され、徐々に表現が露骨になっていきます。ここでも尚、皮肉めいた乾いた笑いがありますが、私はこの辺りから全く笑えなくなっていました。
やはりそこは、イスラエルだったのです。監督の何かを押し殺すような、虚無感に襲われているような表情が、イスラエルやパレスチナ自治区の住民の気持ちを代弁しているようでした。