6.前半の人間の文明の歴史を巡る旅と、後半の多国籍の人々による多言語が飛び交うディナーという2部構成のようになっており、まずは前半のポルトガル人女性が小さな娘を連れての人間の文明史を巡る旅。寄港地ごとに母が娘にその土地で過去に何があったかをわかりやすく教えていく。本作に登場するれポルトガル人はこの母と娘だけであり、オリヴェイラ監督が観る者に人間とは、文明の歴史とは何かを訴えかけているようです。この旅に込められたオリヴェイラ監督のメッセージが全て理解できたとは思いませんが、この旅を通して古代から中世、現代に至るまで、文明の歴史は争いを抜きには語ない事に気付かされます。後半のディナーの中でカトリーヌ・ドヌーヴの、文明とは悲しき人間の歴史だ、という台詞があった。そして悲しき人間の歴史は繰り返され続け、いつ誰がどこで突然テロに巻き込まれてもおかしくない現代に至る。その衝撃のラストが鑑賞後もずっと心に突き刺さっています。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-01-23 20:16:40) |
5.衝撃的な映画でした。ラストや4カ国語ディナーにおどろきました、ラストカットには特に口があんぐり、二回続けてみました。こちらの作品に出会えてよかったです、もっとオリヴェイラ監督の作品をみたいと思いました。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-11-15 07:40:50) |
4.テオ・アンゲロプロスと似た感じなんですね、オリヴェイラって。 いや、テオがオリヴェイラ的なのかな? とにかく苦手な作風で、何を言っても批判じみたレビューになってしまいそうなので、短めにしておきます。 ただし、少女はとても可愛らしかった。 そして話題のラストも凄い。 とても悲しいラストだ。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 3点(2007-10-25 10:35:17) |
3.薦められ、映画館で観たのが3年前。入れ替え制だった映画館で観終わった人が口々に「よく分からない映画だったね」と言っていたのを思い出します。実際に自分も観た直後は全く分からない感じでした。ただただ過去の遺跡巡りが淡々と続き、突如ラストを迎える…一体どこが面白いんだこれはといった感じでしたね。二回目観て少しではありますが、理解出来るようになりました。作品を通じたオリヴェイラ監督の人生観や、主張については他の皆さんのレビューの方が遙かに詳しいのでそちらにお任せしますが、ただこれだけは言えます。これは面白い面白くないなんかで二分される評価を嫌う作品。ただ厳然と在ることでそこに存在を主張するような、そんな変わったタイプの作品です。説明しにくいですけど。 【kinou】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-04-22 03:18:07) (良:1票) |
2.「永遠の語らい」はその上映時間の約9割がヨーロッパ文明の賛美に費やしている。それが母と娘の対話でもあれば、知性ある熟女たち(なんだかいやらしいね)と船長マルコヴィッチとの多言語コミュニケーションの中でも繰り広げられる。最初の10分ぐらいの様子からして奇妙、ストーリー性はまったくゼロ、観客はひたすらに観光ガイドになりすました登場人物たちの説明に耳を傾ける。眠くなるのは当然だろうが、この映画に関しては眠るのがなんだか怖くて、つまり何かが起こることが前提になるような箇所が何気なくあらわれてくるのである。そして大抵は目を丸くするであろうラストは、そのラストが前提なのだとすれば9割を占めた会話は全部壮大な皮肉、ということになる。ってそんなことは見ればすぐわかるのだが、これだけ徹底的に説明風紀行がなされると、文明の衝突の構図が明確に見えてくる。そして、テロはもはや大昔から行われてきた戦争の文法では解くことが出来ない新たな破壊の形として浮き彫りになる。その意味で衝撃度は抜群にあるが、大きい音も静かに聞こえてしまうぐらいの静けさに独特の雰囲気をも感じた。なんにしても不思議な作品である。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-05-17 01:50:43) (良:2票) |
1.<はじめに:今回はレビューというより“鑑賞体験記”に近いです>今までオリヴェイラの作品は「家路」と「クレーヴの奥方」を観てたのだけど、正直言って「撮り方はユニークだけど、どこが良いのか分かんねえ」と思ってました。だからこの作品を観る前も「何だか凄いらしい」という評判は聞いていたものの期待と不安が入り混じっていたのです。んで冒頭、母娘が遺跡を巡りながら歴史について語るくだりあたりは「ふむふむ」とか思いながら、その特徴あるカメラワークの「意味」を探ろう、とかしてたのです。ところが中盤、マルコヴィッチ演じる客船の船長が三人の女性たちと「前代未聞で異様なやり方」で語り合う場面辺りからだんだん画面に引き寄せられていって・・・この感覚、口でうまく説明するのが難しいのだけれど・・・例えば、音楽って歌詞とメロディ(主旋律)だけでなく、それぞれの楽器やリズム、ひいては音そのものが渾然一体となって「音楽」になってるじゃないですか。それと同じく映画も、台詞とストーリーや役者の演技だけでなく映像の質感とかリズムが溶け合って、んで「映画」になると思うんですよ。で、この映画は正に「映画」そのものに魅了されてく感じというか・・・何だろな、こっちが理屈をこね回して「構えてた」のをゆっくり、優しくほぐされていく感じ。こういう言い方すると何だか超常体験みたいだけど(笑)、ホントそんな感じで最後までぐいぐい引っ張られて、最後まで見せられた(魅せられた)感じ。あんまりショックなんで続けてもう一回観てしまいました。何なんだ、この映像から匂い立つ豊穣な奥深さは!この映画、一応のテーマとしては「9.11以降の世界に対するヨーロッパからの真摯な“問いかけ”」てなことだと思うのだけど、個人的には「映画」そのものについて、言葉にできない無数の“問いかけ”をされたような、何とも不思議な映画体験でした。これはもう一度オリヴェイラ作品を見直さねば。凄えよ、オリヴェイラ爺さん、二百歳まで映画を撮り続けてくれい。 【ぐるぐる】さん 9点(2005-01-28 18:37:21) (良:2票) |