4.上映当時、京都の映画館で見て大号泣しながら、新京極を歩いていたことを覚えています。
ストーリーは陳腐なのかもしれないし、主演の石田靖もお世辞にも演技が上手いとは言えませんが、これほど青春の残酷さと美しさを描いた映画はないと思います。
監督の島田紳介はおそらく意図していなかったと思いますが、青春というのは、この映画にも出てくるバイクレースの様なもので、何時の日か否応無くシグナルは青に変わり、僕達は人生のレースに駆り出されるわけですが、そのレース前に許されるフォーメーションラップの1周の猶予の間に、僕達はどうしても夢や希望を持ってしまうわけです。
この映画に登場する若者達の夢は、残酷にもいともたやすく現実にいうものに打ち負かされ、消えていくわけですが、それがために、夢を追いかけている時の姿は、大阪の街は汚いし、演技は下手ですが、青春のはかなさと美しさに満ちていたように思います。
最後、石田靖がレースで転倒し、エンジンが使えなくなった時に、監督が交換用のエンジンを石田靖が売っぱらったと聞いて、そのときに浮かべた、「とうとう彼にもこの時が来たか」といわんばかりの笑顔が印象的でした。