1.《ネタバレ》 一つのストーリーを男子、女子それぞれの視点から二本の映画にした「青春ダブルアングル・ホラー」のうちの【女子篇】である。
男子篇と異なり、この女子篇は少なくとも最初のうちは普通のホラーに見えるはずとのことで、確かに普通に怖い場面もなくはないが、やはり男子篇を見てからではネタバレ状態で驚きがない。ただ男子篇同様にコメディとして見れば、男子のいない場所での女子のやり取りがかなり可笑しい。男子が聞くと引いてしまう類の話は含まれていないので、純粋に女の子連中のおふざけが楽しく、ガールズラブ寸前のじゃれ合いも微笑ましい。比嘉梨乃さんのメイド服アピールなども結構笑った。
ところでこの女子篇の個人的な見どころは、森川葵さんのスリーハンドレッド(2007米)まがいの大活劇である。劇中唯一死んでもらいたい人物をこの人が殴りつけていたときに、最初は黒いものが飛び散っていたのが最後は赤い液体になっていたのは大笑いした。ここでの罵声は「女子ーズ」(2014)で有村架純が吐いた暴言を思わせるものがあり、傲慢で滑稽な演出家を揶揄するのが共通していたようでもある。
そのほか、個人的に見たい女優が集中的に出ている点でも意義のある映画だった。自分としては三浦透子さんが映っているだけで注目してしまう性癖があり、特に怒った顔は好きだ(他の表情もいい)。またお色気担当の遊馬萌弥(ゆうまめいや)という人は初めて見たが、この時16歳くらいで最年少だったらしく、本人の性格とは違うとのことだが可愛いお色気をみせていて大変よかった。
ちなみに舞台挨拶によると監督は森川葵さんをメンヘラ女優の代表のように思っていたようだが、それはさすがに思い込みが過ぎると言いたい。
なお余談として、主人公の親友が主人公を「オスメント颯汰」と呼んで盛り上がっていたのは意味不明だったが、ここは自分だけでなく他の登場人物も実は何のことかわかっていなかったようである。「シックス・センス」(1999)の子役の名前など、よほどのホラーファンだけが覚えていればいいことだったようで安心した。