7.エリック・ロメールというフランス人監督の、1950年代の作品。
ロメール作品を観たことがなかったので、一つくらい観てみようと決意。
ロメール作品の中で、ツタヤに置いてあるものがこれしかなかったので、この作品を選択した。
プータローで腹の出た40男の主人公が、ひょんなことからホームレスへと堕ちていく。
その過程を描いた、ストーリー的にはいたって単純明快なものだ。
かっこいい主人公でもないし、別に感動できるストーリーというわけでもない。
だけど、ホームレスに堕落していく過程の描かれ方は、なかなかのもの。
徐々に迫り来る飢えに対する恐怖などが、リアルに描かれているのだ。
最初はこ綺麗なスーツを着ている主人公。
さまよい歩くうち、まずは靴の底が剥がれる。
そして、ズボンが汚れ、上着も汚れ・・・
少しずつ、それっぽい“身だしなみ”に近づいていくのだ。
これは細かい演出だが、観ていて笑いが出るくらい楽しめた。
しかし、終わり方が良くない。
でもとにかく終わり方が・・・
もう少しヒネリがあればなぁ。
まあ、この終わり方もこれはこれで良いのかもしれないが。
それにしてもこの主人公を演じたジェス・ハーン、あまりにノーテンキなボンボンが板につきすぎ。
腹はダボダボ、おまけに歩き方もチンタラチンタラしている。
しかも、“自称作曲家”っていう設定も更に笑える。
こんなに笑うべき作品じゃないのかもしれないが、こういう見方もアリかと。