3.《ネタバレ》 転生のドラマということで老衰や病死や銃の被弾などによる看とりのシーンが幾つかあるが、
煽情的な愁嘆場に陥ることなく抑制的なトーンで区切りをつけ次の犬生に移っていくのがいい。
邦画でも『いぬのえいが』というオムニバスがあったが、本作は転生を扱うことでオムニバス形式を採りつつ
一匹のキャラクターと飼い主のドラマで全体を貫いているのが特長だ。
モノローグによる犬の擬人化、動物と人の別離・流転・再会のドラマはスピルバーグの『戦火の馬』あるいは
さらに遡ってジョン・フォードの『香りも高きケンタッキー』の感動をふと呼び覚まさせたりする。
ラストで犬種も変わってしまっているデイジーが、自分が生まれ変わりであることを熟年に達した飼い主に如何に伝えるか。
ある小道具を介しての二者のやり取りが実にいいのだ。