120.《ネタバレ》 兄弟だろうと女をめぐっては男と男だし、兄弟だから嫉妬したり、憎かったりってのもあると思う。また、好きな男に一度抱かれると、好きじゃない男からは触れられるだけでも嫌だとか、女性監督ならではの視点でハッとさせられる。事の発端、「触らないでよ」の後の真実は実際のところ稔にしか分からないのであって、遠くから見ていただけの猛は裁判等を通して揺れ動く。検察官が「智恵子には他の男がいた」「あなたはやきもちを焼いていたのではないか?」と稔を追及していくうちに、猛には距離的に決して聞こえるはずのない稔と智恵子の会話が聞こえてくる。こんな会話があったなら、突き落としたかもしれない。そもそもなぜ橋を渡ったのか?、最初から殺意があったのではないか?、とまで思えてくるだろう。人間の曖昧さ、立場によって変わる物の見方などが興味深く、面白い映画だったが、7年後の心変わりの理由がよく分からなかった。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-06-02 20:19:13) |
119.法事で久しぶりに帰省した弟に、密かに恋慕していた女を軽々と攫われる兄。そのことを感付きつつも、まだ内側に秘めていた兄の憤りが、吊り橋で兄を拒絶した女の態度によって噴出する。そこに殺意があったかどうかは、自分には大きな問題では無かったです。あの状況に至る兄、弟、女の関係性だけでお腹いっぱいでした。真面目によく働くがモテないオーラを出しまくって女性に縁のない実家暮らしの兄。実家を顧みずにカタカナ商売で都会に暮らし、遊び人のオーラを出しまくる女好きな弟。そして、実家を出て一人で暮らしながらも地元を離れず、土地柄と日常への倦怠と抱える女。見かけは幼馴染みとしてバランスを取っていた関係性が、弟と女のセックスによって崩れる。具体的には、弟とセックスしたことで、兄への嫌悪感が表面化した女の態度の変化で崩れる。都会と地方、継いだ仕事と獲得した仕事、個性と能力、優越と劣等など、様々な格差が引き起こした崩壊とも言える。それを映像で暴いたこの監督の構成力に感心しました。その後の裁判は、兄弟の心情の検証でした。タイトルの「ゆれる」は肉親に対して抱く心情の幅を指した言葉です。幼少時は信愛だけで成立していた兄弟の関係が月日とともに薄れて行く現実。昔の映像を観て当時を思い出しても、崩壊した関係が元の鞘に収まるとは自分には思えなかった。しかし、兄がバスに乗るシーンを見せなかったのは「ゆれる」心が希望を掴む解釈もアリとする監督の優しさのような気がします。兄役の香川照之が発する緊迫感から目が離せなかった。過去に観た彼の出演作の中では、これがイチバンです。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-05-17 22:41:42) (良:3票) |
118.ボクは、日々の生活の中で自分自身が思いもしない言葉を吐いたり、行動を起こしてしまうし、更にその様な偶然を装って、ワガママを通しています。また、そんな気まぐれにも振り回されてます。そんなこんなでボクは自分の感情や行動の「ゆれる」サマを感じ得れ、本映画に感情移入できました。一環して保たれる「女性から見た男ども」の視点も丁寧な映像と共に素晴らしく、楽しめました。 【reitengo】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-04-14 12:42:44) |
117.《ネタバレ》 吊り橋の文字通りのサスペンス(宙吊り)が効果的であったとは言い難い。西川監督作品は『ディア・ドクター』のほうがいい。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 3点(2011-03-24 20:58:31) |
116.《ネタバレ》 兄弟のいる私には痛みが実感できる映画でした。特に兄、弟という関係について。心の底に渦巻き、目を背けることで何とか兄弟、家族という関係を保っている感情の蓋を無理やりこじ開けられ、日にさらされたような感覚すらあります。近親だからこそ生まれる憎悪、妬み、恨み、嫉みなどの負の感情がそれです。この映画の痛みが実感できないという方が羨ましいと感じます。 一つの例として喪主という立ち位置について。弟からしてみれば一家の代表者である兄が当然やるべきことであり、心のどこかで面倒ごとを押しつけられなくて良かったと感じる権利。兄にとっては自分の気持ちや状況など関係なくやらなければならない義務、という役割が自然に背負わされているというのが良い例だと思います。最後に兄はバスに乗ったような気がします。家族というしがらみを捨てることでようやく一人の人間として自立出来たのかなと。 【kirie】さん [地上波(邦画)] 7点(2011-03-03 12:10:40) |
115.《ネタバレ》 誰にも感情移入出来ず終わってしまいました。 兄弟の行動がチグハグで・・・特に弟が。 観ている私の感情が揺れてしまいました。 そういった意味では『ゆれる』でした。 香川照之さんの演技は良かったですけどね。 消化不良な映画でした。 【ぐうたらパパ】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-02-21 13:53:55) (良:1票) |
114.まず、映像が美しい。 この映像、演出は女性監督だから撮れたものだと思う。 オダギリジョーは本当に役にハマっていて、違和感がなかった。 1つの事件から起こる、人間の心の曖昧な部分をよく描いている映画だと思う。 |
113.映画館で公開すぐに観たんですけど今さらレビュー。/兄弟はそれぞれ自分が憧れる望みの人生や輝かしい大切な何かを互いに相手の人生の中に見出している。しかし、兄は弟が自分の領域に踏み込んでくるに及び弟の眩しさに耐えきれなくなる。弟は兄の眩しさが偽りであったと認識して失望する。望みの人生を手に入れることができないことが 人間の一番の悩みかもしれないが、本作は至上の価値を置くその望みの人生が目に見える形で否定される話である。この映画はそれぞれの人間の一番大切な価値を揺るがそうという試みだと思う。/しかし、なぜか私自身の心はあまりゆれなかった。多少あざといくらいによくできた小賢しい作りの脚本で観客の心を動かすという方向性は前作同様だが、個人的に(まったく個人的に)前作のような満足感がなかった。特に裁判後に違和感があった。ラストのナレーションが妙に野暮ったく感じられた。観客の心に一撃 を食らわす芸術性といったものを無理に追求しているように見える。はたして成功しているだろうか?・・・・。 私個人はほとんど映像美に魅せられることがなかったし(私のセンスが悪いのかもしれないけど)、鑑賞後の余韻もたいしたことなかった。自分は長くつきあえる同世代人としてこの監督にあまりに期待しすぎていたのかもしれない(ディアドクターもいまいち)・・・・でも、やっぱり期待してます。/タイトルは「乱れる」「流れる」なんかを意識してるのかな?(あんなのに太刀打ちできるわきゃない・・・)。ナルセ通からは身の程知らずとけなされるんだろうし、この監督にはそっちの方向(芸術性の高い映画)は似合わないと思う。自分としてはもっと娯楽性高めに、女伊丹十三もしくは女周防正行みたいになってほしい気がするんですけど・・・・。 【しったか偽善者】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-01-19 21:00:37) |
112.名作だし、名演技だと思います。しかし私は好きになれません。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-01-07 10:24:02) |
111.《ネタバレ》 いい作品でした。ラストシーンが切ないですね。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-11-07 20:42:46) |
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110.兄弟関係の醜い縮図や劣等感。共感できる部分が多いかも。 【朴モグタン】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-07-14 23:46:26) |
109.《ネタバレ》 今、レビューを書こうとしていたら、稔の表情が1つ1つ蘇ってきて、泣けてきた。観ている最中は全然平気だったのに。多分、急激に、母親目線で物語を再確認してしまったからだと思う。白い靴下履いてても、ちょっとくらいしゃべり方が女っぽくても、いいじゃん。なんで、すぐ、キモいって言葉で括られるの?女の人にだらしなくても、傲慢でも、才能があってあれだけ格好いいんだからちょっと大目に見て・・。周囲の人達にどんな風に評価されていようと、二人とも、お母さんから見たら、かわいい息子たち。出来ればずっと、子どもの頃のままの、仲の良い兄弟でいて欲しい。母親的には、ラスト、稔はバスに乗らずに、猛の元に戻って欲しいところだけど、たぶん、元には戻れないと思う。猛が裁判で「偽証」したとき、憑き物が落ちたように稔の表情がまともな顔になった気がした。大人になる過程で、自分と弟の「違い」を内面に鬱積させていった稔が、裁判を通して、猛に本音をぶつけ、最後に猛と自分を許したんだと思う。そして猛は、7年後に憑き物が落ちた。でも、もう、子どもの頃のような純粋な気持ちで関わり合っていくことは出来ない。お互いを許し合った気持ちだけを抱えて、全く別の世界で暮らしていくのがいいんだと思う。・・・と、二人のその後にまで、思いをはせてしまうあたりに、この作品が高評価の理由を感じます。 【おおるいこるい】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-05-19 14:28:51) (良:1票) |
108.どんな映画なのかよくわからず視聴し、最初の30分位までは退屈でしたが、『あの事件』のシーンから急激に面白くなりました。ラストシーンについても個人的には非常に良かったと思っています。各俳優さんの演技も非常に素晴しいです。惜しむらくは、私には兄弟の感情の推移がいまひとつ掴めない部分があったのと、聞き取り難いセリフが多かった事です。 【もんでんどん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-03-05 17:19:51) |
107.自分も兄弟がいますが共感できる部分が結構あります。 【シトロエン】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-02-05 22:41:51) |
106.《ネタバレ》 香川照之の演技がとにかく素晴らしい。 台詞の無い部分でも充分に彼の内のドロドロとした思いが伝わってくるような、まさにその役が憑依しているかのような演技。胸が締め付けられました。 強く引っかかっているのは、智恵子の爪跡が兄の腕にあんなに深く刻まれているにも関わらず、裁判でその事が全く取り沙汰されなかった事。死体から出た精液のDNA鑑定までしているのに、あんなに深い傷を負わせた爪には何も無かったのだろうか・・。 本作のような深いテーマを扱う映画だからこそ、こういう細かい点がいちいち気になってしまった。 それとあくまで個人的にだが、観る側に解釈を委ねるやり方が強く出すぎていて、深く感情移入できなかった。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-02-01 14:36:13) |
105.《ネタバレ》 映画全体が二重構造になってる。物語は終始、弟目線で進んでいく。自由奔放な弟がすべてを犠牲にしてきた兄に対して抱く恐れが、事件の解釈を二転三転させる。しかし、物語の最後で、弟は兄弟の「絆」を再発見し、それを取り戻そうと走り、叫ぶ。これだけなら普通の映画。だけど、この映画の面白いところは、「自分にはないもの」をすべて持ち、自分からすべてを奪った弟に対する兄による「復讐」の物語でもあるところだ。逮捕後の弟との面会のシーンから兄の復讐は始まり、弟は自分の知っている(そして自分に都合のよかった)兄の態度の豹変に戸惑う。そんな兄にとっては、7年間の刑期なんてことよりも、弟を揺さぶり、その心に消えない傷を植え付けることのほうが大事だったように思う。そして、その「復讐」は、あのバスに乗ることによって完了する。「絆」の再生の物語と「復讐」の物語。だから、ラストはあれしかなかった。あの笑顔も、弟目線と兄目線ではまったく意味が異なる。とても質の高い心理劇でした。ただ、残念だったのは、裁判のシーンが冗長でだれてしまったところと、クレジットで流れる曲。圧倒的に兄の心理に感情移入しちゃってた私は、あのクレジットで流れるオシャレ風な(弟=オダジョー的な?)楽曲に余韻を奪われてしまいました。あそこは静かなインストであってほしかった。 【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-01-20 05:09:19) (良:1票)(笑:1票) |
104.《ネタバレ》 拘置施設にて弟との面会の場で見せた一面。お兄ちゃん屈折してるなぁ。そうなってしまうのも分からなくはないが。オダジョー扮する猛が峡谷の場面で赤いパンツを穿いていたが、あのナイスガイなら正月の福袋でどんな色のボトムスが出ても余裕で着こなせそうだなーと思った。伊武雅刀の演技はなかなかよかった。木村祐一は素のまま関西弁だったが、山梨だかその近辺の裁判所であのしゃべりの検察官、ありえなくはないけどちょっとだけ違和感ある。そんで「ゆれる」って題名なんだけど、これ以外にいいタイトル思いつかなかったんかなぁ~とか考えながら見てました。ラスト直前で弟が一人で昔の家族の思い出のフィルムを見た後に"つり橋が云々…"って心の声をつぶやいていたが、あれはあってもなくてもどちらでもいいような気がした。そして最後、あの後あの兄弟はどうなるのか?スッキリしないシメ方だが兄弟の葛藤がよく描けている物語で悪くはなかった。 【☆Tiffany☆】さん [地上波(邦画)] 6点(2010-01-15 04:01:34) |
103.《ネタバレ》 話題になる作品であることは理解できるけど、良い映画なのかどうかは疑問。少なくとも自分の好きな映画ではない。兄弟のどちらにも全く共感できないし、登場人物の誰にも感情移入できないのでつまらない。兄弟の関係も理解するには難しい。ただ一つ、興味をそそるのは、実のところ、稔に殺意はあったのか? という点。 突き落としたのか、手を差し伸べたのか、なんてことは(法的には問題だろうが)重要じゃない。猛が問うているように、なぜ稔は智恵子を追って吊り橋を渡ったのか? 苦手なはずの吊り橋だけど、子供の頃の映像では平気で渡っているように見えたし・・。作中、最も頷けたのはキム兄検事の追求だった。 あと、真木よう子。この映画で新人賞とってるようだけど、演技はうまくない。今もだけどね。 【フラミンゴ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-11-17 17:37:29) |
102.《ネタバレ》 ラストシーンに感激。ひねくれた人間であれば、きっと兄はバスに乗ってゆくだろうと思うし、希望を願う人間であればそのままバスには乗らず手を振る兄を想像するだろう。過程の描き方であって最後の答えや真実は必要ない。弟が「お兄ちゃん、お家に帰ろうよ」と叫ぶに至ったあと、絶妙なタイミングで終わる…これだけでこの映画は何倍にも膨れ上がり心に残りました。 【はんにまる】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-11-15 11:38:47) |
101.《ネタバレ》 決してテンポ良く展開する話でもなく、むしろ序盤はじれったいほど展開が遅いうえ、全編を通し何とも言えない重い空気感が漂っている。なのに全然眠くならず最後まで一気に見た。いい人なんだろうけどどうしようもなく女の生理的不快感を煽る痛い男、を香川照之が演じているが上手すぎて本気でキモかった。肉親をキモいとかウザイとか思い出すと、その根拠を赤裸々に知りうる身内だからこそ、また切りたくても切れない血縁があるからこそ、どうしようもない嫌悪感を死ぬまでもてあますことになる。猛が証言台で兄を切り捨てたのは、今までそうやって鬱積してきた気持ちが爆発してしまったのではないだろうか。そして兄はいつかそんな日が来ることを予期していて、自分を馬鹿にしてきた弟をあえて暴走させて自己嫌悪に追い込んだのだろうか。いずれにせよ、そこにあるのは無邪気な兄弟愛なんかじゃなく、シビアな近親憎悪だ。幼い頃はあんなに純粋に心を許しあった仲だったのに、どうしてこうなってしまったのか。幼い弟に手をさしのべる兄、屈託無くその手を握り楽しそうに遊ぶ弟。無邪気に仲良く遊ぶ兄弟の映像に、ついもらい泣きしそうになった。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-06 20:34:05) |