61.《ネタバレ》 西村京太郎と小松左京を足して割ったような贅沢な作品。
のちの洋画ヒット作の「スピード」の元ネタとなったことでも有名。
前に夜中にやってたので気にはなったものの、
やはりCMが映画のテンポを邪魔をして楽しめないので、
借りてきちんと見直すことにしたのです。
面白い!
やはり邦画は昔はよかったと思う。
脚本も俳優もですがなによりこの作品は、
編集が素晴らしい。
洋画も含めてお手本にしてほしいくらい編集がうまい。
やたらと斜め構図の演出が目立ちますが、
古い洋画を大胆に邦画に反映したセンスのいいことといったら・・
邦画奇跡の作品といっても過言ではないのですが、
難を言えば宇津井健の最後のほうの正義感あふれる演出はどうかと。
あの(もし)というスピーチがなければ、
この作品を観る観客の想像に身をゆだねさせ、
娯楽作から社会派娯楽作まで高められたのではないか。
それはおかしいとかすっきりしないとか、
もし・・という解釈は観客の良心を呼び起こす手立てで、
それを映画の中で全部演出してしまうのは丁寧すぎだと思う。
ラストの画が見事でそしてそれまでの退廃的で観客に訴えるものがあっただけに、
そこは宇津井健の想像という使い方もできるので惜しいと思いましたが・・
今観るとチープな模型かとも見える場面もあるのですが、
そこはエアポートシリーズやカサンドラクロスのような感じで、
脚本がよいことと編集がうまいことの相乗効果で全く気にはならない。
おおまかには犯人側と国鉄側(JR)と刑事側なのです。
そして新幹線の中でのパニック模様。
時間と速度のトリックに科学のトリック、
そして最後には刑事側のトリック・・
最終的には「砂の器」をはじめとする松本清張的な演出。
邦画でこれほどドキドキしたシュミレーション映画は、
やはり他には小松左京ものくらいでしょう。