1.べらぼうに面白い!
本作で描かれているのは、ゲームセンターの中のゲームの中の世界、そしてそのキャラクターの大冒険です。
ゲームセンターのお客が帰ったあとに、ゲームのキャラクターが「みんな!もう自由に動いてもいいわよ!」と言うのは、さながら子どもたちが寝ているあいだに動き出すおもちゃを描いた「トイ・ストーリー」のようです。
最近のこうしたアニメ作品には大人向けのメッセージが込められていることが多いのですが、本作はその点もぬかりはありません。
シュガー・ラッシュで示される大人向けのメッセージとは「仕事」のことでしょう。
主人公・ラルフはゲームの悪役で、「この仕事は好きじゃない」と言ったり、悪役の会で「悪役を辞めたい」と言ったり、さらに人間関係や住まいに不満を抱えています。
これが仕事に悩む大人そのものの姿に思えるのです。
そして映画では、こうした仕事に悩む大人たちを励ましてくれます。
それだけでこの作品が大好きになってしまうのです。
もうひとつテーマにあるのは「友情」という普遍的なもの。これには大人も子どもも感動できるでしょう。
個人的にはヒロイン2人の魅力にやられました。「ヴァネロペ」はちっちゃくも活発、そして毒舌家で寂しがり屋な女の子。
「カルホーン軍曹」は悲しい過去のトラウマを、ゲームの敵「サイ・バグ」への復讐心に変えた女性。どちらも最高にキュートです。
エンドロールや、併映の「紙ひこうき」に至るまで幸せな時間を過ごさせていただきました。
ただゲームファンにとって、ゲームキャラがほとんど活躍しなかったことだけは残念。せめて「ザンギエフ」くらいはスクリューパイルドライバーとかダブルラリアットをしたらいいのに!
なお作中のオリジナルゲーム「Fix-It Felix」は公式ページで実際に遊ぶことができますよ。