37.《ネタバレ》 意外と頭を使ってみる映画、という印象。 登場人物やその人間関係、起こる出来事の背景など、 よくわからない。 古き横浜と彩る音楽に5点。 【lalala】さん [映画館(邦画)] 5点(2011-08-28 13:47:04) |
36.退屈だった。チグハグ。残念ながらアマチュアレベル。アマチュアでももっといいものはたくさんある。スタジオジブリが真に存続を望むのならば、宮崎親子からの脱却にチャレンジする以外には道はないと思われる。鈴木プロデューサーからの脱却も。今作に関しても全てが商業ベースレベルにはない。ジブリの技術をもってしてでも見れないとはいかなる出来か。これよりいいものは、その辺の多少創作をかじったことがある人が、原作があるもので、ジブリの技術を総動員すれば、残念ながら遠からぬ物、それ以上のものができてしまうのは間違いない。冷静に見れば駄作以外の何物でもないとしか言わざるをえない。吾朗氏は本気でアニメをやりたいならジブリは離れるべき気がする。外に出て頭角を現せるまで行けたら(まとも観れるようになるだけでも、おそらく少なくともあと10年くらいかかる段階である気がするが…)正直、彼に関していえば才能がある、ないを語れるレベルまでいっていないと思われる。最低限そこまではしっかり下積みを積み基礎を身につけてから。才能云々はその先の話。宮崎駿監督の作るものですら全然良いとは思えないのに(特にここ15年くらい)、それをもはるかに凌駕して未熟に感じられる。最後の主題歌だけでそれっぽく見せるしか出来ない今のジブリに未来はないと痛感させられた。ここまでくるとジブリ自体が虚構にすら感じられる。 |
35.いや、気持ちのいい映画でした。街の色合い、登場人物の動き、流れる音楽、話の展開や、キャラクターの会話の掛け合い、どれもが小気味良く最後まで楽しめました。 個人的には理事長大好きです。 【ぬーとん】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-08-21 22:58:58) |
34.《ネタバレ》 原作未見。なので映画作品のみについて書きます。 走り出しにもたつく感じがあるけれど、だんだんと持ち直してきて次第に惹き込まれる感じの作品です。 ジブリらしからぬ内容と言えばそう言えるかも知れません。確かに「メロドラマ」感があります。でも、さりげない人物描写には秀逸なものがあり、登場人物の言動・行動のディテールにも拘りが感じられました。 舞台となっている60年代の横浜。まさに私が少年期を過ごした場所です。 海たちが理事長に会いに行くチョコレート色の電車は、横浜線や南武線で乗った気がします。この作品の場合には、東京に行くのだから山手線かな? あの市電は、桜木町から本牧に行く線かな?私は、横浜駅から六角橋方面に行く線によく乗りました。 ガリ版。高校生ぐらいまで普通に使ってましたよ。湿式コピーが導入された頃になっても、あの独特の書体は使ってました。誰が書いても同じような書体なので、俊が途中から海に原稿依頼しても大丈夫なんですよね?輪転機が導入されるまでは、ああやって1枚1枚ローラー転がして刷ったものです。 途中、電柱に広告のある「海洋博物館」。あれは、もしかしたらマリンタワーにあった「海洋科学博物館」かな? 他にも数々の懐かしい大道具・小道具が登場して、そういう楽しみ方のためにセルDVD購入しようかな?などと思ったりします。 ただ、一番の不満は海と俊との関係です。市電のシーンは素晴らしい。この作品最高のシーンではないかと思いました。でも、続きがあったんですね… 果たして、要るんでしょうか、続きが。戸籍上はアカの他人。でも、本当は血の繋がった兄弟。お互いどんなに惹かれ合っても、決して結ばれてはならない関係。そのままで良かったんじゃないですか?上映に当たってのコピーは「大切な人と観に行ってください」じゃなかったでしょうか?人と人との純粋な愛をテーマにした作品にして欲しかった…。しかも、もしかしたら、登場人物の話を総合すると、俊と海は元々は戸籍上の兄妹では?亡くなった海のお父さんが出生届け出しちゃったんだから。今は養子縁組してても、戸籍上の兄妹は結婚できないのでは?だとしたら、市電の告白後の展開はむしろ悲劇?そのあたりきちんと整理したのかな?などと思ってしまいました。 それにしても、最近このぐらいの作品を観ても感動しなくなってしまった自分が一番寂しいです。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-08-21 22:37:46) |
33.港のシーンや、台所のシーンなど、飛び降り後の「ずぶ濡れボーイ・ミーツ・ガール」なシーンも含め、全編なんしか、瑞々しい。 特に「肉屋まで乗せてってやるよ」とチャリンコ二人乗りで坂道を下るシーン、そしてその肉屋でコロッケをシェアするシーンなんて、瑞々し過ぎて卒倒しそうになりました。 その「瑞々しさ」だけでなく、若さゆえの葛藤や切なさ、勢い、などの心情描写も、非常に旨い。 1960年代の横浜や、コクリコ荘、特にカルチェラタンなどの舞台設定も、実に旨く機能していて、面白かった。 蛇足ですが、左官屋の娘が哲学部のムサイ男の前で漆喰を器用に滑らせるシーンと、ちょっとズレた美大生っぽいメガネ女子・ハルに、宮崎吾郎の「萌えどころ」を垣間見たような気がするのは…気のせいだろうか。(超個人的な萌え所を、ひとのせいにするな!) 【aksweet】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-08-20 06:06:27) |
32.肩の力を抜き、心地よく観られた。いつもより音楽が雄弁で、説明は寡黙だった。そういう意味でこの映画は子供向きでは決して無いし、全てに納得のいく説明を求める人向きでもない。カルチェラタンといいメルといい、フランス語の影響が垣間見えるが、これは何故か少しだけ気になる。カルチェラタンのわくわく度といったら最高で、ジブリおなじみのモチーフである掃除も単に古いものを残す懐古趣味ではなく、きちんとした検討や改良を施すことを前提にした懐古趣味であることを示唆しているようで興味深いし、何より楽しい。この映画はラブストーリーであるところが良い。お互いが惹かれあう過程などあの程度で十分だ。人を好きになる理由をくどくどと説明するのは野暮であるし、そもそもあの恋は海原や父親たち、そして何よりメルが毎朝上げる旗が引き寄せた運命なのである。これを解さずして説明不足との批判は妥当しまい。何より説明せずして説明する手腕、説明しないことをしすぎないそのバランス感覚は非常に良かったと思うし、メルの人柄がよく伝わってきて心地よい良作であった。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-08-20 01:28:56) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 ゲドと比べると・・・、少なくとも商業ベースに乗せられるレベルの作品にまとまっていた。起承転結もある。70年代横浜の雰囲気もよく伝わってくるし、初恋ものストーリーは、いくつになってもそれなりに楽しめる。 市電のホームで海が告白するシーンは、とてもよかったと思う。 ただまあ、夏休みに上映する内容かと言われると、そうでもないんですよね。 他の人のレビューで、「める」な意味がわからないとあったけど、そりゃそうだと思うわけです。70年代少女漫画をかじったことがある自分には、海→ラ・メール(でいんだよね?)→める、なんだろうと、なんとなく察することができますが、 夏休み映画でジブリに期待して映画館に足を運んだ10代、20代にこれをわかれと言われても・・・ちょっと無理だろうなと。 ジブリの看板なしに、晩秋に小さい映画館でみたなら、佳作と思えたであろう作品。 【なつこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-08-16 22:24:16) |
30.《ネタバレ》 いい加減に、ジブリは十人が観て七人は「観て良かった」と言う映画を作らなければならないと思います。 決して「面白い」と言われなくても、観たあとに観客に感想を言わせ、人に話したくなるような衝動を起こさせなければならないと思います。 私はこの作品を鑑賞し、ある意味危機的なものを感じました。 人に「コクリコってどんな話?ネタばれで教えて。」と聞かれ話した時でした。あらすじを話してみたのですが、ここで気づいたのが、「今回の主人公は何もしていない」ということでした。 「そんなわけはない」という方は沢山おられるでしょうが、あらすじを書くと・・・主人公は高校で男と知り合い、一緒に部室の保存運動を行いながらいい感じになるが兄弟だとわかる。部室の保存のために理事長にお願いに行き、成功し、さらに男の出生のいきさつがわかり、兄弟でないとこが分かる・・・ 今までのジブリ作品は主人公が努力し、戦い、成長する物語が基軸だったと思います。 画や表面的な世界観を見せ、人物や脚本、世界観の奥行きは軽く作っているように見えてなりません。 「千と千尋」あたりから始まったこの流れをそろそろ転換しないと・・・厳しいのではないでしょうか。 【パンツァー・フォー】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-08-15 22:44:34) (良:1票) |
【アスモデウス】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-08-12 01:02:49) |
28.昭和30年代後半の街並みは鮮やかに描かれていたし、主人公の爽やかな恋愛模様と、カルチェラタン再生のわくわく感も良かった。 二人乗りの自転車で坂道をくだるシーンや、手際良く料理を作る所作や、学生たちが掃除やペンキ塗りをするシーンも良くできていて楽しかったと思う。 思うんだけれど、おそらく前提条件をわざと省略しているのだろうと思うが、登場人物が描き切れておらず、風間君のダイブや、ふたりが惹かれあっていく過程など、その心理や行動原理が理解しにくい。 理解しにくいから感情移入できず、結局のところ最後まで傍観者のままで映画は終ってしまった。 判断や想像を観客に委ねるのと、不親切なのとは全然違う。 「伝えたいなにか」があるのなら、雰囲気だけでなく、もっと丁寧に人物を描いてほしかった。 結果として、物語は単なる懐古趣味の域を出ず、非常に表面的な印象を受けた。 全体としての出来は悪くないだけにとても残念。(8.10 新宿ピカデリー) 【poppo】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-08-11 14:30:30) (良:1票) |
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27.《ネタバレ》 そう、僕だけではないはずだ、本作を観ていて近親相姦になってしまうことにハラハラしていたのは。冒頭のタイトル、確かコクリコの「リ」だけ赤い色であった。あの赤は、血のつながりを暗示するなんだか鉄臭い色だった。あの血の赤の刷り込みのあとに近親相姦が持ちあがってくるのだから、本作はタブーに挑んだのかと。 ってなっちゃうから、映画ラストで父を確定させる描写を避けるべきだった。もしそれで世論から「??はあ?、結局父は??ったくゲド以下だ!」とバッシングを受けたとしても、僕は評価する。 しかし真実は一つだけある。それは少女の嗚咽である。母に泣きついてうえーんと泣いたあのシーン。『千と千尋』『時かけ』『SW(当然サマーウォーズの略)』よろしく、アニメのヒロインは最後ガン泣きしなければいけない。本作にもあの少女の嗚咽があるのだから、映画から父が共通か否かが導き出せなくても全然いいのだ。共通であろうとなかろうと、そんなことはどうでもよい!ってなれるのだ。 |
26.《ネタバレ》 父親と比較するとどうしても評価が低くなる。当たり前だと思います。早い話が、父・駿は客を楽しませる天才だったと思うからです。駿の作品は、キャラクターが徹底的にブラシュアップされており、アクションシーンに非常にカタルシスを感じさせる演出がされており、いつのまにか観客に物語のテーマを伝えているものばかりです。それに比べて吾郎は少なくとも駿と同じ轍を踏もうとは、思って無いような気がします。駿のエンターテイメントのお手本のような作品群に比べ、今回の「コクリコ坂から」は、主役二人のキャラクターが確立されていない(これは声の問題もあると思いますが……)、アクションシーンに大きな盛り上がりが感じられない(風間君の最初のダイブや終盤の海を背にしての全力疾走など)、特に何を伝えたいかよく分からない(言えるとすれば偉大な父親像でしょうか)。客をどれだけ楽しませるかが、映画の出来となるのなれば駿の方に軍配が上がるのは必然と言えると思います。それでも本作は「ゲド戦記」の様な映画の基本すらテキト―な出来だとは思えませんし、宮崎吾郎が敢えて父親とは違う方向に踏み出そうと思っているのならば、その姿勢は心から応援したいです。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-08-07 23:54:46) |
25.《ネタバレ》 作品全体から伝わる真っ直ぐさがとても心地よかった。起承転結が少ない物語だけれど、映画の魅力は登場人物のキャラクタであると思う。風間君は文句なしの爽やか好青年で、海はひたむきで芯のあるヒロイン。その他脇役たちも、みんな擦れていない。 また、女子のハートをつかむ演出はジブリ作品の中でもハイレベル。自転車の二人乗り。学校を抜け出す。船に飛び乗る海を風間君が受け止めるシーン。ベタなんだけど、日常生活から離れすぎず、うまく切り取られていて、上手に引き込んでもらえた。クライマックスにかけては細かい突っ込みはせずに楽しめばよい。作品全体に漂う哀愁のせいなのか、じわじわと泣かせられる。とてもよかった。良くまとまっている。 ただ、作品全体として惜しいのが、少女漫画から抜け切れていない部分があること。 作品の芯や伝えたいことがどうしても私には見出せなかった。 なぜカルチェラタンを守りたかったのか。好きだから?それだけだと少し寂しい。 父親たちの友情が彼らにどんな影響を与えていたのか。勝手に物事を決めていく大人との壁を彼らは何を感じたのか。 ジブリお得意のわくわく感はカルチェラタンに入るところや、掃除のシーンでとってもよい雰囲気を出しているだけに、物語にある芯が見出せないのは非常に残念。 各登場人物のキャラクターは良かったけれど、もう少し深堀してほしい。たとえば、風間くんはもっと感情を出してもよかったかなと思う。登場シーンや討論会を見るともうちょっと活発な設定なのでは?なのに後半になると感情を押さえつけていて、人となりが見え辛い。直接理事長に乗り込むシーンは、淡々としすぎ。高校生が東京に乗り込むってすごいことなんじゃないの?なのに3人からはその不安さが伝わってこない。 ストーリーとは離れるが、気になったところは、絵とBGMの使い方。最初の街の景色がちょっと粗い。朝だか昼だかわからない。草がただの草であり、朝露と朝日を浴びる草ではない。それから海が旗をあげて汽笛を聞くシーン。これはすごく見せ所。なのにBGMと汽笛が被っている。これには唖然。ここは静寂が良いのでは。神聖な祈りの意味もあるわけだし。外国アニメと異なり、ジブリは音のない演出が上手い作品が多いだけに、少しがっかりした。 色々と文句もかきましたが、全体的には良い作品。もう一回見たいと思います。 【うらわっこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-07-31 22:41:47) (良:1票) |
24.この映画は一見さんお断りなんですか!?登場人物の関係がさっぱり分からず海は住み込みで働く家政婦なのかと思ってしまいました。海はなんでメルって呼ばれてるのか?カルチェラタンて何??って思いながらの鑑賞だったので感情移入できませんでした。おいてけぼり感満載の映画ですね。ジブリは好きだったのですが残念な作品ばかりになってきましたね。 【じょーー】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-07-29 14:44:45) (良:2票) |
23.宮崎吾朗の作品は、なんというか出汁を取ってない味噌汁みたいなんだよな・・・ これから先本数を重ねても宮崎五郎のカラーみたいなのは出てこないんじゃなかろうか? 駿と比べてどうのとか才能がどうのとかじゃなくて、そもそも情熱みたいなモノが足りないような気がする。 何かやらされて仕方なく作ってるみたいで、作品の表層にそれが出てしまっている。 【J.J.フォーラム】さん [映画館(邦画)] 3点(2011-07-28 01:54:00) (良:2票) |
22.「思ひで」「耳すま」とこの映画を同類と捉える人が多いようですが、僕は全然違うと思う。あっちは薄口なんですが、このコクリコは薄っぺらい。ただただ薄っぺらく大した事件や演出も無く終わっていく。見終わったあとに主人公の名前すら思い出せないのはアニメとして落第点。 【関白宣言】さん [映画館(邦画)] 3点(2011-07-27 22:34:16) (良:3票) |
21.上っ面だけなでたような毒にも薬にもならないペラペラで散漫で退屈な話。ツンデレ親子プロレスの果てに作られた父親と大人達賛歌。巻き込まれた観客が?なのも当然でしょ。好意的にとると、これで禊は済んだ、次はやれるよな吾朗!といった所。まあ本作には期待は無用ってことで。 |
20.非常に爽やかな映画ですね。ただ、テーマというか結局何が言いたかったのか分かりませんでした。 【アフロ】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-07-25 00:10:33) |
19.《ネタバレ》 大変爽やかな映画だと思いました。作中で発生する、とある(俊言うところの「メロドラマみたい」な)展開も、この爽やかな物語に起伏を持たせるためにはある意味相応しかったと、個人的には思います(以下原作未読でレビューします)。 僕自身はこの映画で描かれている時代を経験しているわけではありませんが、それだけに作中の風物や、あるいは登場人物の物の言い方なども、結構新鮮に見ることができました。 例えば作中、カルチエラタンの取り壊し反対のための討論集会の場面など、恐らく見る方の世代によっては「このシーンは学生運動を経過した頃の時代の空気を反映している」という風に受け取る方もいらっしゃるかと思います。僕も一応知識としては「そういうことがあった」という事を知ってはいますし、中にはそんな作中の描写を「単なる懐古趣味だ」と批判的に受け取る方もいらっしゃるかもしれません。 もちろんそういう意見を否定するつもりは全くありません。そしてそのシーンに対する、(知識としてしかそういう時代が存在したことを知らない)僕自身の感想を言えば、その集会のシーン全体からは、「我は我である」といった一癖ある人物たちが、何の屈託も無く自分の足場に立って自己の主張を展開し、また周囲もそんな曲者を「個人」として認め、その存在を許容しているという、何とも鷹揚な清々しさを感じました。それはまたあの印象的なカルチエラタンの個性的な住人たちが初めて紹介される一連のシーンでも感じたことでした。 こういう「楽天的な鷹揚さ」や、あるいは海と俊の爽やかな恋愛模様といった内容は、もしかしたら今のような時代に望むのは困難なものかもしれません。あるいはまた、上記一連のカルチエラタンのエピソードに代表される「屈託のない理想主義」といった内容は、実際にかつての1960年代の日本に(あるいは世界中、人類の歴史始まって以来延々と)人々から望まれ、あるいは挫折してしまった事柄かもしれません。 しかし過去に一度存在した(そして挫折してしまった)からと言って、「それを現代で望んでいけない」という決りは無いと思います。そして何より、過去に材を取ろうが、挫折をしていようが、「何かを望み、実現する」という様子を、どんな形であれ映像化し、またそれを目の当たりにするのは、いつの時代も変わらず心地よく、また感動的なのではないかと思います。 「自分自身宮崎駿作品のファンだった」と公言する吾朗監督だけに、端々に過去の宮崎駿作品へのオマージュと見られるシーンがありますが、そんなシーンの存在と、高校生の青春映画としての体裁、そしてスムーズな物語展開といった要素が相まって、僕はまるで一編のファンタジーを楽しむかのように、この別時代(別世界)の爽快な物語を楽しみました。 【マーチェンカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-07-24 16:43:02) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 「ゲド戦記」の酷さに比べれば、宮崎吾朗の腕は上がっているのはハッキリと見て取れ、物語としては少女漫画原作のいわゆるメロドラマという所で、これ自体は悪くないと思います。学生集会の馬鹿騒ぎも昔の宮崎アニメを髣髴とする、コミカルな演出もされていて、そうした意味で、この映画自体は思ったほど悪くは無いのかな、と思います。何にも無い、なんでもない日常に一陣の風が吹き込む感じというのは、個人的には好きです。但し、内容的にはどうかな?という部分がかなりありますよね。例えば国際信号機についてはフォネティックコード(旗のアルファベットコード)レベルの説明しか無いし、BGMの使い方が物凄く雑だったり、主人公が何故「メル」と呼ばれるのかを伝える部分が無いなど、普通に観に来た人ならだれでも「???」と思ってしまうことが満載で、こうした演出の配慮の無さは本当に宮崎駿が脚本書いてるのか?と疑いたくなるほどでしたね。細かい部分ではあるけど、こうした部分の緻密さがあってこそ、映画そのものを面白くなると思うので、こうした部分でこの映画が配慮に欠ける感があるのが残念です。 で、ここからはジブリそのものの問題ですが…なんでこうした物語の映画を夏休みに持ってくるのかがさっぱりわかりません。単に集客したいだけと思われても仕方ないですね。その意味では鈴木敏夫のプロデュース能力は高いのかもしれないけど、この映画を子供が見て楽しめるのかというとあたしはちょっと首を傾げます。ネタを持ち込んでいるのが宮崎駿という事もあって、完全に彼の趣味であるのはわかるのだけど、あれだけ子供に対して配慮をしていた筈の人が、ここまで子供をバッサリと切ったとしか思えない様なアニメの脚本を書くことに、疑問を感じてしまいます。宮崎吾朗監督が、宮崎駿と鈴木敏夫がジブリから居なくなったら、ジブリ自体が消滅するだろうと言ったようなニュアンスの話をラジオインタビューで受けていたが、正しくそうなんだろうなぁという気がしますね。後進を育てるような事をしつつ、その後進の芽を摘み取ってる感が否めない宮崎とプロデュース能力は抜群でありながら、それを追従するようなプロデューサーが現れない鈴木の二人を擁するジブリの先行きを本当に心配になってしまいます。 【奥州亭三景】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-07-24 10:29:21) (良:1票) |