1.《ネタバレ》 「ハリウッド映画」というより「アメリカ人情映画」と呼びたい作品。日本の黄金期・松竹女性映画といった趣の映画です。
「パイ作り」という「切り札」を持っていながら、自分の人生を歩みだせない主人公を、味のある人たちが包みこむ。
それぞれの登場人物がきちんと設定されていて、全ての人がキーパーソンであり、誰が欠けても、このパイ(映画)は作れないという個性を持っています。
みんなに嫌われている店長さんの「俺は与えるのもほどほど・もらうのもほどほどの男だ、女の判定を下してくれよ、俺は幸せだ。」という深いセリフも好き。
そしてみんながカッツリとかっこよく結果を出さずに(出せずに)そこそこに幸せを分かち合っているのも現実的です。
不幸・不幸というけれど、こんなに支えてくれる人たちがいる・パイ皮に包まれたパイのように包まれている。
見終わった後に、自分の周りの人に感謝したくなる映画です。
最後のシーンで主人公が娘(監督の実娘)と夕暮れに向かって歩いていく姿は、この映画の監督が完成後に亡くなられたこととも重なってしまい・・
美しいシーンですが、人生を考えさせられる重みがありました。
この作品は監督の人生そのものであり、娘さんへの最大のメッセージですね。
本当によく出来た「名作人情コメディ」でセリフも楽しかったです。
でも、やっぱり最後、私、泣きました。