3.いいなあ、これ。ずばり「ハピネス」=「射精」と言い切ってしまった率直さに感動しました。こういうのを見ると、様々な屁理屈とか、美しさを装った物語の数々にオトコたちが必死で隠しておこうとしたモノが剥き出しにされた感じがします。この世に起こる数々の悲喜劇は、結局のところオトコたちが繰り広げる「その瞬間」に至るための哀しいまでの努力、突き進む欲望が発端になっているんじゃないの、という極めてシンプルな結論をココまであからさまに描いた作品は珍しいでしょう。あり得ないほどデキすぎた展開や、映画ならではのファンタジーを極力排除し、むごたらしく現実をつきつける手法は前作の「ウェルカム・ドールハウス」と同じです。現実版「マグノリア」という感じがしてその実直さ、ストレートな物言いに感心しまくり。この作品が男性監督から出て来たという点について、極めて高く評価したいと思います。わたしはウディ・アレンの初期の作品が好きですし、スパイク・リーの作品が好きです。この作品は彼らの描いて来た世界にある種圧倒的に通じるものを感じます。たぶん自らのカッコ悪さを思いっきり笑い飛ばす彼らのふっ切れた部分に例えようもない潔さを感じさせてくれるのだと思います。ペーソス、と一言でまとめてしまうのは簡単なのでしょうが。